がんとの新しい向きあい方 久留米から発信できる

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 久留米市のホテルニュープラザ久留米で2月6日、事業プロジェクト「久留米高度先端医療開発クラスター」の成果発表会が行なわれ、関係者ら200人が参加した。主催は福岡県、久留米市、㈱久留米リサーチ・パーク。久留米市近隣でバイオ産業を発展させる、福岡県と久留米市が推進するプロジェクトの一部。文科省の補助事業「地域イノベーション戦略支援プログラム(グローバル型)」を平成21年度から受け、今年度が最後の事業期間となる

㈱久留米リサーチ・パークが成果発表会
「治療で訪れた人に好まれる町に」と楢原利則久留米市長

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 小川洋福岡県知事は主催者あいさつで「研究結果として特に、テーラーメイドがんペプチドワクチンは第Ⅲ相の臨床試験を行なっており、薬事承認は近い。実用化されればサガハイマット(九州国際重粒子線がん治療センター=佐賀県鳥栖市)と連携し、久留米・鳥栖地域が高度癌治療の拠点になる」と語り「今後もバイオ関連企業の誘致も続けたい」と続けた。

 楢原利則久留米市長は「テーラーメイドがんペプチドワクチンに関しては、問い合わせで電話回線がパンクしたこともある。日本全国からの期待の表われだ。新しいがんとの向き合い方を、久留米から発信できることをうれしく思う。事業は今年度で終わるが、発展させた医療産業クラスターを構想したい」と今後の支援を訴え、「医薬品やその原材料に関連した企業の誘致には、積極的に取り組む必要がある。また市内に治療を受けにきた患者や家族に好まれる町づくりを進めたい」と述べた。

 テーラーメイドがんペプチドワクチンの実用化研究に関しては、研究代表者の久留米大学先端癌治療研究センターの野口正典教授が報告を行なった。

 九州大学大学院農学研究院の久原哲教授は、がんワクチンゲノミクスに基づくがんワクチン予後予測診断キットの成果報告を、久留米大学医学部免疫学講座の伊東恭悟主任教授は31種のペプチドを用いたがんワクチン副作用診断キットの研究開発の成果報告を、それぞれ行なった。

 九州産業大学工学部の礒部信一郎教授は、病理診断などに用いられる新蛍光試薬の開発を発表した。従来品に比べて、温度・pH・電子線などに強く長期間減光しない。また乾燥状態でも高い輝度を示すという。腎癌組織の多重免疫染色が可能で、ステージ診断に応用可能と公表した。今後は抗体標本法や永久標本の製法を確立して、国内外への市場展開を図りたいと抱負を述べた。

 福岡県工業技術センター生物食品研究所の楠本賢一専門研究員は、バイオ医薬品の原料となる組み換えたんぱく質を、短期間かつ簡便に製造できるシステムの開発について発表した。「人口脂質分子を用いたほ乳動物細胞への遺伝子導入技術」と、「バッグ培養・無血清培地による生産培養技術」の確立と実用化研究が報告された。癌治療を中心としたバイオ医薬品の創出のためには創薬基盤技術の構築が必要だが、今後はタンパク質性医薬品の生産に利用できるという。

 ㈱久留米リサーチ・パークの大内田昭信事業総括は「知的財産の有無が事業化を進める上で決定的な要因であると考え、必要な特許の確保に努めた。成果としては、ワクチン療法の実用化基盤が久留米大学に創設されたほか、12社のベンチャー企業が起業した。研究開発や人材育成の実績は基本計画を大きく凌駕し、国際展開についても目標をほぼ達成した。海外への販路拡大のための商談42件が成立・開始している。今後は製剤や原薬、診断・検査企業の誘致や、医療を支援するICT(情報通信技術)の開発などを進めたい」と語った。

 ほかに、文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課の木村直人課長が、産学官連携の現状と今後の関連予算案などを紹介したほか、東京大学大学院薬学系研究科特任教授で㈱ファストトラックイニシアティブ代表取締役パートナーの木村廣道氏が「先端バイオ技術が拓く次世代新産業の展望」のタイトルで講演した。木村氏は会場の問いに、「日本でベンチャー企業が増えないのは、成功事例が少ないから。若者に起業の勇気を与えるためにも、安定した企業運営をしなければならない」と答えた。

 写真は上から、大内田昭信=㈱久留米リサーチ・パーク事業総括、野口正典=久留米大学先端癌治療研究センター教授、久原哲=九州大学大学院農学研究院教授、伊東恭悟=久留米大学医学部免疫学講座主任教授、礒部信一郎=九州産業大学工学部教授、楠本賢一=福岡県工業技術センター生物食品研究所専門研究員。


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