プロを診た経験をフィードバックさせる

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福岡整形外科病院 院長 王寺享弘

おうでら としひろ 1977 九州大学卒、福岡赤十字病院、1978 九州大学医学部附属病院、1979 済生会八幡病院、九州大学医学部附属病院、1980 総合せき損センター、1981 九州中央病院、1982 福岡整形外科病院。■日本整形外科学会専門医・スポーツ認定医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会評議員、日本人工関節学会評議員、TKAフォーラム幹事、膝関節フォーラム世話人、九州膝関節研究会代表幹事、西日本整形災害外科学会。

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「整形外科医は運動不足ではいけない」と院長。この日も仕事のあと泳ぎに行ったそうだ。

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リハビリテーション室。ゆとりあるスペースで、患者一人ひとりに即した動作訓練を行なっている。治療からリハビリまで一環した対応ができることが強みだそうだ。

―こちらの病院の特徴を教えてください。

 農業協同組合(JA)との共同事業で設立され、JAが建物や土地の持ち主です。病院の理事会では当院の理事とJAの理事が討議して運営方針を決めます。JAで余剰金が出たら、当院に寄付を頂くこともあります。

 当院は昭和52年に設立されましたから、今年で37年になります。今の医療水準に合わない部分もありましたから、3年前にテニスコートをなくして新館を建て、本館をリニューアルして、病院の延べ床面積を1・5倍にしました。

 当院の特徴は手術を主体とした単科の病院です。手術のための体制を整えており、年間に1800例ほど行なっています。

 麻酔科の医師は常勤1人、非常勤で7人おり、整形外科医は私を含めて11人で、手術の腕を日々磨いています。4月からは1人増強予定です。

 手術が主体ですが、それが常に最良だとは思いません。体にやさしい方法で大丈夫な方には、そちらの治療を薦めるスタンスです。

 現在標榜しているのは整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科、それに麻酔科ですが、ご高齢の方も多いので、内科的なケアのために、循環器の先生が週に2回診療を行なっています。

 医療の進歩で80歳以上の方が普通に手術する時代で、90歳を超える方の手術をすることもあります。そういう患者様の周術期のチェックや対応をしていただいていますが、術前に別の疾患がみつかって手術を延期する場合もあります。心臓の手術をしたのちにお見えになった方もおられます。

 手術にはリスクが伴いますので、検査はシステマチックに行なっています。例えば肺血栓症にならぬように、術前には必ずエコーで調べますし、術翌日も調べます。術後は感染症予防のために、抗生物質を日に3回投与します。こういうことにはマンパワーが必要ですが、合理的に安全を確保することが可能です。

―病院運営で気をつけることは。

 当院は一般124床、亜急性期51床の中規模病院です。まわりには大きな総合病院がたくさんありますから、待っていても患者様は来ません。だから差別化が必要だと考えています。

 当院はスポーツ整形と、人工関節置換術を得意とする病院です。人工関節置換術は下肢が主なのですが、これを年間400例ほど行なっています。そういう専門的な強みを今後も伸ばしていこうと考えています。

 また、入院させるべき患者様が来た場合には、すぐに部屋を用意します。そして医師側の都合を優先するのではなく、患者様本位の治療計画をたてる方針です。入院は患者様の希望日からで、医師が決めるわけではありません。そして医師は、新しい知識が必要ですから、学会に多く参加してもらい、論文も発表してもらっています。中規模病院ならではの小回りと、高い医療を目指す意志が、当院には必要だと考えています。

 検査や手術の機械には今後も設備投資をしなければならないと思います。この分野で時代遅れになると差別化ができないと常々思っています。

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―プロスポーツのチームドクターだそうですね。

 今はソフトバンクホークスのチームドクターです。以前はアビスパ福岡のチームドクターをしていましたが、そちらは現在、当院の副院長が診ています。選手が病院に来ることも多く、迅速に検査を行なうことが強みだと思います。

 プロスポーツ選手の治療は「早く治して早く復帰させる」という高い目標を掲げています。若くて有能な選手が毎年入ってきますし、治せなければ選手生命にも関わります。だからできるだけ早く、きちんと治してあげなければいけません。

 プロのスポーツ選手を治していると、その話を聞いて高校生や大学生が治療にやってきます。その時、プロ選手を治した経験をフィードバックさせるわけです。膝の靭帯の手術など、積極的に行なっています。

 チームドクターには、チームが勝つうれしさを共有できる大きなよろこびもあります。特に治療した選手が活躍してくれると、うれしくなります。今は両チームを熱心に応援していますよ。

 アビスパ福岡では、裏に当院の名前が書かれた担架が使用されています。選手を運ぶ際、担架の裏を観客席に向けていますから、サポーターに当院は知られていると思います。資金繰りに苦労しているチームですから、今後も協力したいですね。ソフトバンクホークスの方は、年間指定席を買っています。くじ引きで当たった職員が観戦に行きますが、この福利厚生は好評です。職員によろこんでもらおうと、良い席をとっているんですよ。

―チームドクターになった経緯は。

 スポーツ整形で有名な先生と私が知り合いだったからです。

 ダイエーホークスが福岡にできた時、その先生がチームのトレーナーに私を薦めてくださいました。アビスパ福岡も同様の経緯です。選手が医師を指定することはほとんどないので、プロスポーツの整形はトレーナーがどれだけ良い医師を知っているかが大事なんです。


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