ダヴィンチの有効性について聞く

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熊本大学医学部附属病院 泌尿器科 教授  江藤正俊

■1986 九州大学卒。同付属病院泌尿器科研修医。1987 浜の町病院泌尿器科研修医。以降、原三信病院、総合せき損センター、県立宮﨑病院泌尿器科(副医長)、九州労災病院、国立中津病院医長、九州大学医学部付属病院泌尿器科助手を経て1999 米国ピッツバーグ大学外科研究員。2009 熊本大学大学院医学薬学研究部泌尿器病態学分野教授。■2006 第94 回日本泌尿器科学会総会賞、2011 第49 回日本癌治療学会優秀演題賞、2012 第27 回Annual EAU Congress Best Poster Award、2012 平成24 年度科学研究費助成事業審査員賞などを受賞。日本泌尿器科学会 日本癌学会 日本癌治療学会 日本移植学会 日本免疫学会 日本泌尿器内視鏡学会、国際移植学会などに所属。

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熊本大学医学部附属病院 泌尿器科 教授  江藤正俊

 ダヴィンチSiは、従来の腹腔鏡手術などに比べて身体に負担の少ない内視鏡下手術支援ロボットだ。このダヴィンチSiを使用した手術の特徴は医師が開腹手術を行なう場合と比較して30倍の視野拡大能力があり、腹腔鏡鉗子よりも精密な動きが可能となった。熊本大学医学部付属病院泌尿器科では、平成25年3月にこのダヴンチSiを導入し、6月より運用を開始した。

―ダヴィンチSi導入で、それ以前と変化した点は。

 導入前は、従来の腹腔鏡で前立腺がんの治療を行なってきたわけです。導入後の手術数が、まだ数十例で、単純な比較はできませんが、まず出血に関しては減少しておりますね。腹腔鏡手術も、開腹手術と比較すれば出血は少ないのですが、ダヴィンチを用いた方がさらに少ないといえます。

 神経温存手術というものがあるのですが、腹腔鏡の時よりも、ダヴィンチの方が手技的に容易になっていると思います。

 手術時間が短くなっているという印象もありまして、腹腔鏡の手術の場合、術者が患者さんの左側に立って手術を行なうのですが、ダヴィンチは座って行なえるので術者にとってもメリットがありますね。

 手術の最中は、ダヴィンチのコンソールの中は三次元で、糸一本をつかむにしても遠近感・距離感が容易に把握できますので、非常に手術がやりやすいという側面があります。手術の到達目標を設定するとしたらダヴィンチを使う方が、腹腔鏡手術と比較して症例数が少なくて済むという面があります。

 術者になるにあたっては、専用のトレーニングが必要で、実際にブタを使った実習を受けてメーカー側からサーティフィケートを取る必要があります。そのために、2日間のトレーニングが必要になります。

―アメリカでは前立腺癌になる人が多いそうですが。

 アメリカでは男性の癌罹患率で1位となっていますので、一般の方も前立腺がんに対して、日本人よりも知識があり、PSA(前立腺がんを発見するための血液検査)の普及率も非常に高くなっています。

 日本では現在、男性のがん罹患率3位で、数年のうちには2位、最終的にはアメリカと同じく男性のがん罹患率1位になると予想されています。

 前立腺癌の要因としては、遺伝的要素と食生活、ストレスなどが複合的に絡んで発症すると言われています。日本の前立腺癌の増加の原因として、いわゆる食生活の高脂肪食化によるものが一つ、もう一つは、PSAを測ることで早期に発見出来るようになったことも挙げられると思います。

 早期発見が重要で、特に50代から60代の方に積極的に検診を受けていただくことが重要だと考えていて、PSAの検診を、この世代中心に増やしていく必要があると思っています。

 前立腺癌の治療にもいろいろと方法があり、ダヴィンチを使ったロボット治療、腹腔鏡手術、放射線治療、ホルモン療法、そして密封小線源治療も早期の癌には有用性があるといわれていて、患者さんの病態に応じて適切な治療を選択しています。

 その中の一つとして現在、アクティブサーベイランスといいまして、前立腺癌の中でも軽症かつ早期で発見されたら、場合によってはすぐに治療せず、定期的にPSAを測りながら経過をみて異常が出次第、治療をするという方法があります。手術後や治療後は尿失禁やEDの問題が出てきますので、QOLを重視したものといえます。

 予防策としてはっきりとエビデンスがあるわけではないのですが、一説では日本食がいいと言われています。タンパク質を例にとりますと、豆腐など大豆に含まれるイソフラボンが前立腺癌の予防に効果があるのではないかと言われています。

―特に泌尿器科を目指している学生にアドバイスを。

 泌尿器科は、最初の診断から手術、抗癌剤治療まで全てに関わることができます。

 泌尿器内科、泌尿器外科という診断から治療までを独立してやれる所が非常に面白いですね。

 これから高齢化社会が進むと尿のトラブルが増えることが考えられますし、前立腺癌も増加傾向です。今後泌尿器科の需要はますます増えてきますので、将来性もあるのではないかと思います。

 またダヴィンチSiなどのロボット医療も非常に進んでいて保険が適用されるのは前立腺癌だけだという状況ですし、おそらく近いうちに腎臓の部分切除手術にもダヴィンチが適用される可能性があります。

 内視鏡治療も泌尿器科には歴史があります。経尿道的膀胱腫瘍切除術といいまして尿道からカメラを入れて内視鏡下に腫瘍を切除するという手技があり、実は1970年代から行われている手術です。これは泌尿器科が一番、歴史がある科ではないかと思っています。

 内視鏡手術から腹腔鏡手術、ダヴィンチと治療方法も非常に発展してきていて、面白いフィールドだと考えていますので、もっと泌尿器科に進む人が増えて欲しいですね。

―趣味・休日の過ごし方は。

 子供と過ごすことが多いですね。野球をしたりサッカーをしたりして体を動かしています。子どもは一般的に成長に伴って親離れをしていくと思うのですが、今はまだ息子二人とも小学生なので、私と遊ぶのが楽しみなようです。家の中でテレビゲームはあまりさせたくないと思っていて、私が率先して外に連れて行き一緒に遊んでいます。

 子供と遊べるのも今のうちだけだと思うので、出来るだけ一緒に過ごすように心がけています。(聞き手=新貝。写真=須原)


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