臨床心理士の想い19 坂梨 圭

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患者になる⑥

 新年あけましておめでとうございます。何がおめでたいのかよくわからないのですが、今年もよい年であるようにと思っています。

 年末年始はまったくテレビを見ずに忙しく過ごしたため、年が明けたという実感がなかった。気分は、テレビによって作られている。その影響のすごさを改めて感じた。

 「昨日の続きが今日で、今日の続きが明日。それ以上に幸せなことはないんじゃないの?」―以前、演劇にのめり込んでいた時に書いた脚本の台詞だ。

 普通に生活して、それを意識しないこと―日常の連続性が確信できることは幸せなことだ。

 胃も心臓も生まれた時から淡々と働いている。でも、そのことに感謝の気持ちはない。「胃が痛い、心臓が痛い」と思った時は患者になる時である。

逆説的に考えると、患者になることは、自分の身体への感謝の気持ちを持てる時かもしれない。

 閑話休題。学生時代からずっとやっていることがある。毎日簡単な記録をつけ、大晦日の日に、できたこと、できなかったことを振り返り、その年の行動率をだすのである。学生時代は80%を超えていたが、今は60%ぐらいである。多忙になったからか、加齢のためにやる気力と実践力が落ちてきたためなのかはわからない。

 「6割もできている」と考えるか「4割もできていない」と考えるかで気分がずいぶん違う。前者の方が前向きに考えられ、後者はあせりと不安を生む。しかしあせりも不安もなければ、漠然と生きていくかも知れない。

 「あせりと不安」は誰しも持っているものだ。不安があるから「必死になる」というスイッチを入れてエネルギーに変える。その入れ方がわからない人は問題だろう。

 受験生も将来に対する不安が大きいから、今頃は必死に勉強しているだろうし、不登校児童生徒も不安や葛藤があるから、カウンセリングに来るのである。不安や葛藤がなかったら、私たち臨床心理士は成り立たない。

 今年も10日が過ぎた。一つの仕事が終わると次の仕事とエンドレス。記録をつける、行動率をつける、何十年も続けているのは、こだわりだろう。他にもこだわり続けていることがいくつかある。そう考えると、私もクライアントの一人かも知れない。そう思った時、目の前にいるクライアントさんと共感できることがあるのかもしれない。


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