地域医療のスタンダードを目指して

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医療法人相生会 宮田病院 院長 中山眞一

1974 九州大学医学部を卒業し同第2外科入局 1975 九州大学医学部麻酔科研修 1980 国立福岡東病院外科(現福岡東医療センター) 1982 ~ 84 米国カリフォルニア大留学(UC Davis) 1985 国立福岡東病院外科部長 1993 医療法人相生会宮田病院副院長 2003 より同院長。■医学博士、日本外科学会指導医、専門医、麻酔科標榜医、 九州大学臨床教授(平成25 年) 福岡県病院協会理事、福岡県臨床外科医学会理事。

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医療法人相生会 宮田病院 院長 中山眞一

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―賞状がありますね。

 福岡子育て応援企業として仕事と子育てを両立できる職場環境づくりに取り組んだということで県知事から表彰された時のものです。職員のワークライフバランスには留意していると思います。看護師に対しては必須の取り組みだと思っていて、かれこれもう19年くらい続いている取り組みです。

―病院の特徴は。

 当院がある宮若市は、福岡市と北九州市の中間という地理的状況もあり、ほとんどの患者さんが地元の方々です。

 都会の病院のように、この治療に強い、この病気に強いというのを前面に出すのではなく、この地域で求められる医療を実践していきたいと思っています。出来るだけ全方位的に診療をしていきたいと思っていて、そういう病院が本来あるべき姿で、高齢化社会を迎えるにあたっては、ますます必要とされるのではないかと考えています。

 一人の医師が診ることができる領域には限界があると思いますが、専門医になるということは視野が狭くなるということで、往々にして他の分野には興味がなくなる場合が多いですね。車づくりなども少し以前は、ボルトを締めるだけの人、ガラスをはめるだけの人と分業していたのですが、現在は1ラインを一定のチームで作業するというふうに変わっていって、作業効率が上がったということを聞いたことがあります。しかし医療に関しては、そういう効率という面を検討する段階には入っていなくて、方向性としては専門医が優位である、素晴らしいというような評価が定着しています。

 コンピューターの画面だけを見て、患者さんの顔を見ない、触らないという人が若い医師に多くなっています。医師をつくる教育機関がしっかりした価値観を学生に指導するべきだと思います。例えば、わからないとしても、視・触診する行為そのものも大事だというのを教育されていません。視て、触って、聴いているうちにわかることが出てきます。しかし現実には、そこに比重を置いた教育がなされていないというのが一番の問題です。

 宮若市も他の地域と同様に高齢化が進んでいますが、幸いトヨタ自動車及びその関連企業があることで若いエネルギーもあるように思えます。病院は、人口や大きな事業体を抱えているかどうかで、残念ながらその方向性が決まってしまうようです。

 その中でどんな医療が求められているかを考えていかなければならないと思っています。

―高齢化社会でのハード面、ソフト面での受け入れ態勢について

 病院の建物自体は25年を過ぎています。移転するかどうかも議論になりましたが、現実に移転するとなると患者さんにも移ってもらうなどの問題が出てきますので、これから3〜4年後をめどに大改装を予定しています。

 現在、一般病床が95床、療養病床が86床、回復期リハビリ病床が51床あるのですが、今後、高齢化が進むにあたり、一般急性期医療が実際どれくらい求められるか、これは診療報酬の内容で変わることもあるのですが、一般病床をどれくらいにするかを模索中です。おそらく80床でいいのではないかと思っています。高齢化が進むので療養病棟は100床くらいに増やし、回復期リハビリ病床については、質の高いリハビリを求められるのなら51床は多いのではないかと考えて、40床半ばくらいが丁寧なリハビリが出来、担当者もやりがいが感じられると思います。

 当院の理念として「誠実さと温かい心で信頼される病院」というものを掲げています。

 例えば、当院には緩和ケア病棟がありません。しかし緩和ケアであろうとなかろうと、終末期の患者さんが入院された場合、患者さんとご家族に満足していただく医療が提供できるかどうかというのが病院にとっては必要です。ことさらに緩和ケアとうたう必要はないわけで、緩和ケアにするためには、廊下の幅がいくらとか個室にしなければいけない、看護師の数は何人などルールが定められていますが、そういうことよりも大事なのは、誠実で温かい心だと思っています。

 いろんなご意見があると思いますが、私はいわゆる緩和ケアに関してはかなり宗教的な要素が必要かなと思え、それを前面に押し出していくのは少しおこがましい気がしています。神様のような立派な医師、看護師が、患者さんにモノを説いて対応していくだけの覚悟がないと、きちんとした緩和ケアはできないと感じているのです。

 例えば、キリスト教に裏打ちされた緩和ケアをやっている所は立派だと思っています。それは宗教というバックボーンがあってこそ自然にできることで、一般的な日本人は多神教であり、ましてや宗教界の方が医療の世界に踏み入れることはほとんどないのが現状です。しかしキリスト教国では、それはごく普通のことで牧師が病院内を歩いているのが日常で、終末期の患者さんに対しては、医者の出る幕がないという状況で、最期の看取りも牧師が行なっているようです。したがっていわゆる看取りの場面では医療人として、できるだけ素朴な姿勢で、そして礼を失することのないように努めたく思います。難しいことですが。

 本来の病院のあり方というのは、例えば、東日本大震災のような地域の突発的な災害、事故が起こった際に対応できるかどうかだと思います。人口3万人のこの地域で、現実に救急車を受け入れているのは当院だけですし、外科の手術が行えているのも当院だけのようです。

 災害が起きた場合などに対応できるように人と設備を抱え、維持していくことは病院の存在意義として極めて重要なことであり、地域の安心の拠り所と思っていただけるように努めていきたいと思っています。(聞き手と写真=新貝)


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