明けましておめでとうございます。2013年12月1日付で福岡大学病院長に就任しました田村です。1973年開設以来はじめての内科系(専門は腫瘍・血液・感染症内科)病院長です。
当院の動向ですが、2011年1月に外来部門中心の新診療棟が竣工、その後本館の改修が2013年3月に完工し、全館オープンしました。病床915床すべてが稼働可能となり、看護師をはじめスタッフを増やしました。現在の大きな課題はスタッフのレベルアップと多職種連携による医療の質向上です。
福大病院の医療圏は福岡市西南地区です。この地域の医師会員から「紹介患者が戻ってこない」、「担当医が不明」等の声が聞かれ、患者やかかりつけ医との連携が十分ではありません。そこで重症患者や診断困難例の受け入れ、積極的な逆紹介、医師会との共催セミナー開催など、連携改善に努力しています。
私は医師になって40年経ちます。この間、一貫して「医療を取り巻く環境は厳しい」と言われ、一度も「良い」と聞いたことがありません。確かに本年は消費税率が8%に上がり、診療報酬の少々の引き上げでは病院収入は実質ダウンです。一方、我々は、保険診療内で多くの標準的診療ができる、世界に冠たる保険制度を持っています。ここは、診療内容の適正化、業務改善により、医療の質を落とさず効率的な病院経営で乗り切らなければなりません。
当院は特定機能病院で、その指定要件に、人材育成、先進医療、研究成果の公表があげられています。スタッフ一人一人の能力アップが必要で、病院の全スタッフに研究マインドで仕事することを求めています。目前の課題を克服する努力はモチベーションの維持に役立ち、日常業務による疲弊を防ぐものと信じています。さらに、多職種間、地域の医療機関との共同研究は、地域医療の活性化・レベルアップにつながるものと考えています。
九州の医療機関の全てが実りのある一年になることをお祈りします。