骨髄炎治療の川嶌式局所持続洗浄療法で知られる、社会医療法人玄真堂理事長、川嶌眞人氏の著作。北九州医報や臨床整形外科、大分合同新聞などに掲載されたエッセーをまとめたもの。氏は小浜市が主催する第7回杉田玄白賞を受賞するなど、医学史にも通じ、本書でも江戸・明治の医師たちが多数紹介されている。「医は仁ならざるの術、務めて仁をなさんと欲す」という、中津医学校初代校長だった大江雲澤の医訓を発見したのも氏で、雲澤についても詳しく知ることができる。氏の趣味は笛の演奏で、前野良沢が中津で流行させた一節截も4本発見した。発見したものは国の重要文化財に指定されたため、現在はレプリカを作り吹いているという。尺八より細く短く、前4穴後1穴。ペルーのケーナという楽器に似ているそうだ。