救急への構えを常に

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当直明けにインタビューに応じてくれた 医療法人聖峰会 聖峰会マリン病院 院長 岩尾 憲夫

昭和50年 鹿児島大学医学部を卒業し沖縄県立中部病院研修医、 昭和51年 同外科研修医(3年間)、 昭和54年 沖縄南部徳洲会病院外科、 昭和59年 福岡徳洲会病院外科部長、 平成4年 同副院長、 平成11年 聖峰会マリン病院院長、現在に至る。
■日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医 日本救急医学会専門医

急遽インタビューが延期になったことがある。院長に緊急の手術が入ったためである。その2週間後に再インタビューで訪れた今回、昨夜は当直で、あまり寝ていないと言う。聞けば週に2晩は当直し、緊急オペもしているそうである。自分の時間が取れるのは月に2日ほどだという。何がそこまで駆り立てるのか。それが聞けたらいいと思った。

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医療法人聖峰会 聖峰会マリン病院 院長 岩尾 憲夫

―目の前が海ですね

 ここを開院した14年前は福岡市にカタカナの病院名はなく、マリナ通りもそばにありましたから、小戸マリン病院という名前にし、そのあと地名の小戸を外して法人名をつけ、聖峰会マリン病院となったんです。

―何を特色としていますか。

 救急を含めて地域医療の要(かなめ)でしょうか。

 鹿児島大学を出たあと沖縄の県立中部病院で4年間、頭から足の先まで、脳外科、胸部外科、泌尿器、整形外科と、すべてを網羅したトレーニングを受けました。

僕のメインは消化器なんですが、救急に特化した外科をやってきたんですね。だから常に救急への構えができていて、昨夜も当直して、あまり寝ていないんですよ。

 当院は全部の救急を受け入れることを基本としていて、本当は婦人でも小児でもすべて診たいんですが、今は専門医を求める時代になりましたから、患者さんがオッケーなら当院で診て診断をつけ、もっとレベルの高いところを紹介しています。もちろん運ばれて来た救急は全部診ますよ。

でもここらは昔から救急の病院が少ない地域なんですよ。その中では地域に貢献していると思いますね。85床しかないんだけど、敷居が低くて融通の利く、かかりつけ医に近いような病院という感じでしょうか。

 急性期リハビリも、大病院ほどではないにしても、高度急性期をやる病院に近いようなことはやりたいと思いますね。高齢者は生活圏内で治療ができた方が良いですから。

もちろんうちでできないレベルであれば、この近辺に大病院がたくさんありますし、特に国立病院機構九州医療センターなどとは密接なつながりがあります。

―今も第一線に立つわけは。

 鹿児島大学を卒業して、一外科に入る予定で、2年間研修してくるつもりで沖縄に行ったんですが、日本に復帰して3年目でベトナム戦争も状況で、研修医にとってはあまりに過酷な環境で、月に20日くらい当直しました。

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―波瀾万丈でしたか。

 私は小学生の時に野口英世やシュバイツァーの伝記を読み、母が病気で入院した時に病院の匂いを嗅ぎ、中3で進路を決める時に、本気で医者になろうと決め、野球部のキャプテンを降りる代わりに生徒会長は続けるという条件で、同級生に脅かされたり叱られたりしながら勉強時間を確保しました。そして映画「白い巨塔」(原作=山崎豊子)の影響で、自分の手で病巣を取り除く外科医に憧れたんです。

大学時代は深みのある内科系の勉強をして、岩尾は絶対に内科系に行くと思われていましたが、研修医の時に外科手術の多いローテーションを選び、2年目で胆石や胃潰瘍の手術をやり、3年間で、900例の半数以上は執刀医をさせてもらいました。それが今も私のベースになっています。

 それ以降、どこに行っても救急は全部見る構えを変えていません。

 手術の技術取得については、昔で言う「丁稚奉公」や「ベテランの技術を盗め」じゃないけど、言葉にならないことがいっぱいあるんですよ。その環境に私は恵まれました。

―最近の医師に思うことは。

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院長室の机の上にある大きな帆船模型は、職員が作ってプレゼントしてくれたものだという。(写真=川本)

単にやさしいだけでは、患者さんを迷わせてしまうんですよ。医師ほどの知識のない患者さんに説明だけして、あとはそっちで決めてくれというのは無責任だと思うんです。

 そうでなく、必要なことを簡潔に話し、医師の考える方針を伝えて患者を引っ張っていく方がいいかもしれません。なぜなら、そうすれば医師の責任度がずっと大きくなるからです。でもそれが医療なんですよ。そうして患者に感謝される医者になりたいものです。

―ストレス解消にやっていることはありますか。

年に何度か山に登ることです。最近は九重連山の四季を楽しんでいます。登ったという達成感だけですが、自然の中で写真を撮って、診察室に飾ったり、季刊誌「まりん」の表紙に使ってもらったりしています。


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