「その人らしい暮らし」を視点に

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医療法人共和会会長 小倉リハビリテーション病院 名誉院長 浜村 明徳

1947 鹿児島市生まれ 1975 長崎大学医学部卒、同整形外科教室入局、長崎労災病院整形外科、国立長崎中央病院整形外科 1979 国立療養所長崎病院整形外科 1982 同理学診療科医長 1992 国立療養所長崎病院副院長 1998 南小倉病院院長(2001 小倉リハビリテーション病院に改称) 2003~2012 日本リハビリテーション病院・施設協会会長 2011~2012 全国老人保健施設協会副会長 2012 日本リハビリテーション病院・施設協会名誉会長。
現在、医療法人共和会 小倉リハビリテーション病院名誉院長、介護老人保健施設 伸寿苑 施設長、社会福祉法人松寿会 特別養護老人ホームこくらの郷 理事長、日本リハビリテーション病院・施設協会名誉会長。著書に「地域リハビリテーションプラクシス」(編著=医療文化社)「これからのリハビリテーションのあり方」(共著=青海社)、「地域リハビリテーション論 Version5」(共著=三輪書店)、「拘縮の予防と治療」(編集=医学書院)、「高齢者の暮らしにねざした機能訓練入門」(監修=医歯薬出版) などがある。
福岡県介護予防市町村支援委員会委員長 北九州市リハビリテーション支援体制検討委員会副委員長 日本リハビリテーション医学会代議員(リハビリテーション科専門医)

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医療法人共和会会長 小倉リハビリテーション病院 名誉院長 浜村 明徳

―リハビリを通して、これからの日本をどう見ますか。

 30代の後半から、欧州のリハビリ事情を視察しています。団長がベトちゃんドクちゃんと深く関わった、恩師の澤村誠志先生(現兵庫県立リハビリテーションセンター病院名誉院長)、私が副団長で、デンマークやノルウェー、ドイツやフランスなどを見て、日本は追いつけないだろうというのが当時の印象でした。医療としてのリハビリがそうでしたし、家庭での介護も同様でした。

 それを考えると今の状況は、ずいぶん充実したと思いますね。

 これから何が必要になるかということですが、高齢者に対しては、医療本来の役割を果たしていきながら、地域で連携して、住民も含めた地域全体の支える力を備えていかなければなりませんし、全体として大事なことは、国民自身が自覚をし、自分の生き方を考えて決めていくことが大前提になります。

 もう一つは、病院のリハビリのあと地域に帰るわけですが、帰った場所に介護保険やかかりつけ医のサービスがあっても、介護保険はゴミ捨てなどしてくれないわけですから、日々の生活の細かい面で支え合える体制づくりが大事になります。

 しかし「地域で支え合う」という考え方はいいのですが、都市部では孤立化した生活になっていますので、実現するのは本当に大変です。医療や介護だけで抱え込んでも解決しません。

 医学的に元気になる手立てはあるんです。けれどもそれを自分の生活スタイルにあわせて、どう取り込んでいくかが大切になってきます。そこに目を向ける医療になっていくべきです。

医療でリハビリをすればいいということだけではなく、高齢者が日本に生まれてよかったというところにつながらなければいけないわけですからね。

―ヨーロッパと日本との、文化や宗教の違いがおよぼす影響はありそうですか。

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 私の印象ですが、キリスト教的なボランティア精神や、社会民主党の福祉システムづくりなどが影響しているような気がします。

 もう一つは、自立して生きるという意味での個人主義でしょうか。さらに、西洋の合理主義も関係あるでしょう。それらが複雑に絡み合って、障害を持っていても、その人なりの権利が保証される社会が、完全ではないにしても出来ていると思います。

 日本の場合は仏教的です。たとえばキリストの寝た姿はありませんが、仏教には涅槃像がありますね。病気に対して「安静に」を、横になって休むと考えるのは、東洋的、仏教的なところがあるかもしれないと、荒唐無稽ですが、私なりに考えたりもします。

 ヨーロッパでは、一つの国に白人もいれば黒人もいて、黄色人種もいる。いろんな人種が暮らしているので、違いを認め合いながら自分の国を作ってきたんですね。職場でも、違う文化の人たちがお互いを尊重して一つの組織を作ることが、日常的に行なわれているわけです。

 そこが日本では、最初から分かり合える人種として成立している面が多くあります。そんなことも、障害を持った人たちの差別や偏見を生むことにつながっているのかもしれません。違うものを包括できにくいのが日本の文化の弱点かもしれませんね。そういったことも、リハビリに携わっている人は、哲学的、社会学的に考えなければいけない大事なことだと思います。

―「たかがリハビリ」とは言えないですね。

 リハビリの本当の成果は暮らしの中で出るものなんですね。自分の家で、その人らしく暮らせて、初めて病院でやったことの意味があるわけです。

 だから、これからの高齢者のリハビリを考えた時、やはり「その人なりの暮らし」なんですよ。

 医学的には、生物としては、あの人もこの人もみんな一緒です。でもそこから先、家に戻ると十人十色の生活があります。

 我々は最近、「生活」という言葉をよく使います。それはパターン化した、生活の上澄み、共通点だけが分かってきていますが、地域で暮らすと考えた途端に、十人いれば十通りの生活がありますから分からなくなる。ただ、高齢者の在宅生活では、その人のまわりにいる人とのつながりが重要になってきます。

 リハビリでは、歩けるとか起きられるとか、基本的な生活が出来るようになることが、第一の課題になりますが、その次に来るのが「その人らしい暮らし」で、これが大変なんです。それを、これからここでやろうとしているんです。超高齢化社会のリハビリ病院として、モデルケースになれればいいですね。

―高齢化社会の往く末は。

 個人的な希望を言えば、言葉が不適切かもしれませんが、団塊の世代が人生の落とし前をつける時が来ていると思います(笑)。高度経済成長時代から今までのさまざまな対応を任されている世代です。父母を見送たあと、団塊の世代同士で支え合う仕組みを作れればいいですね。

―紙面で伝えたいことは。

 尊厳とともに見送る場面にも立ち会う仕事ですから、「人生最後の応援団」としての自覚が求められます。他科の医師に申し上げたいことは、高齢者の治療の中にリハビリ的な視野を取り入れてほしい。安静中心にして、気がついたら起きられなくなっていたというのでは、何のための医療か分かりません。人生最後までその人らしく生きることを支える医療ができればと思います。(聞き手と写真=川本)


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