高度な医療を迅速に提供し来年末の全面オープンに向け奔走

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愛媛県立中央病院 病院長 西村 誠明

1980 岡山大学卒、岡山大学第三内科入局。1983、3年間の研修の後帰局し太田善介教授の指導のもと、槇野博史現教授とともに腎疾患について治療・研究にあたる。研究テーマは腎臓の立体構造を電子顕微鏡的観察。1988 岡山中央病院勤務。1994 高知県立中央病院内科医長、2002 同内科部長。2004 愛媛県立中央病院医監内科部長(腎臓内科)、2008 同腎糖尿病センター長、2012 同病院長。1990 岡山大学医学部第三内科非常勤講師兼務、現在に至る。1995 から2008 まで高知医科大学第二内科非常勤講師兼務、2003 から2004 まで同科臨床教授。2009 愛媛大学医学部臨床教授、現在に至る。専門は腎臓で、現在は日本内科学会認定専門医・指導医・四国地方会評議員、日本腎臓学会認定専門医・指導医、日本透析医学会認定医・指導医。

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 建て替え基本構想から10年あまり。地下2階、地上12階の新本院が今年5月に完成し、外来診療をはじめた愛媛県立中央病院。最新設備を導入し、より迅速に高度な医療を提供できるようになった上、震災に備えあらゆる事態を想定したシステムの構築、ヘリポートの整備など愛媛県民の医療の中枢となる病院に進化している。総病床数は、感染症3床を含め827床。

  新しい病院が出来て、救急医療に今まで以上に対応できるようになりました。建て替え前は、救急と周産期部門が別の建物にありましたが、新本院では一般も緊急も一つの建物にまとまっていますから、圧倒的に連携しやすくなりました。

 さらに動線を改善して、救急の部門から手術室、集中治療室へとすぐにエレベーターで移動できるようになりました。屋上ヘリポートができたことにより、緊急時にはこのヘリポートからエレベーターで集中治療室へ直行できるようになっています。これが可能になったのは設備面では一番大きいですね。

 当院には、愛媛県全体の救急災害医療を支える使命があります。災害時を考えて、新本院は震度6強の揺れも吸収できる免震構造となっています。電気については2系統を備えました。四国は、いずれ南海地震がやってくるといわれています。愛媛県は東西に広いので、もし起これば間違いなく津波がやってくる地域があります。その地域の大きな病院が震災に遭い機能しなくなった時のことも考えています。

 我々の目標は、いかに県民の健康を守っていくか。災害が起こったとき時に機能できる病院である必要があります。県全体をカバーしなくてはいけないのは、県立病院として当然です。ですから、病院づくりも県全体を考えながらすすめています。

 当院の場合は、郊外などまったく別の場所に移転するのではなく、同じ場所で全面新築を進めています。ですから、古い建物を壊しながら新しい建物をつくっています。実は、この新本院が建っているところはもともと駐車場だったんです。新本院を建てるにあたり駐車場を壊したので、駐車場をつくるために古い建物を壊す、という感じで段階的に建ててきました。プールを壊したり、貯水槽の工事をしたりと時間がかかっています。

 こうして新本院を作っていた間も、旧病棟はフル稼働していましたし救急にも全て対応していたんですよ。

 我々の病院は、郊外に移ってしまうと交通の便が悪くなります。もともと、利便性を考えて市内の中心部に建てた病院なので、移転はできません。ですから、どうしても狭い敷地内で建て直さなければなりませんでした。

 今回導入したPFI(公共施設の運営等を民間の資金で行なうこと)で病院を成功させるには、民間企業と医療チームみんなが一つになって同じビジョンを持つ必要があります。病院とPFI関連業者を切り分けるのではなく、みんなが一緒になり、いかに患者さんの医療を支えるかという考え方をしていきたいですね。一緒になって何かをしよう、患者さんの健康を支えていこう、と一つになるということ。これだけ大きな病院でそれができたら、この事業もうまくいくと思っています。

 何事にもチームワークは大切です。相手に責任をなすりつけない、と言えばいい方が悪いかもしれませんが、PFIのような事業は、そういった協力体制が作れるかどうかだと思います。

 病院というのは継続するべき施設です。ですから、民間企業も1年や2年のスパンで考えるのではなく、この事業が10年・20年と続いていけばいいと考えればいいのではないでしょうか。大儲けする事業ではありませんが、患者さんに満足していただきながら細く長く利益を出していくという考えかたでいいのではと思います。

 当院には、およそ2千人の職員が働いているので、ひとつにまとまるということはなかなかできません。そこで院内改善推進本部を設けました。これは、部署ごとにアイデアを出して業務の仕方を改善しましょうという取り組みです。目的は、働く職員と患者さん両方の意識を変えていくこと。患者さんの満足度を上げるのも当然大切な目的ですが、職員の満足度も上げたいと思っています。いかにして患者さんによりよいサービスができるか。例えば、待ち時間のことや病院の雰囲気のこと、ここの病院に来て元気になって帰っていただくためのという方法、これを職員と患者さんにいろいろな観点から考えていただくために、改善推進本部として活動しています。

 例えば、「即腕アトム」というリハビリテーションチーム。これは、カルテ打ちの速度を上げて、余分な時間を使わずに済ませようという取り組みです。テンプレートを利用すると効率的ですし、患者さんの記録がより細かく一定の形式で残ります。経過を比べることができるので、患者さんの回復状態が把握しやすくなりました。

 県立病院の役目とは、愛媛県民全体への医療提供と併行して健康づくりをしていきます。健康づくりは県立病院としては当然すべき事だと思っています。予防、健康管理、県民の健康づくり。それが一番だと思います。具体的には、病気の啓蒙活動をしていき、病気にならないための話を伝えていこうと思っています。最近医師不足と聞きますが、ありがたいことに当院には若い先生がたくさんきてくれています。若い先生を育てていくことも愛媛県全体の医療を支えるためには重要です。

 若い先生への要望は、患者さんを大事にする心を持ち続けてほしいということですね。医師になった以上は、それができないのでは話にならないと思っています。病気の患者さんを助けるといっても、薬を投与すればいいといった単純な考え方ではなくて、患者さんの考え方や生活などまで考慮しながら、総合的に患者さんを元気にしようという気持ちでいてほしいです。

 逆に、私は若い医師に対してまだまだ環境を整えてあげなくてはいけないと思っています。少しでも働きやすいように。それが、県民の健康を支えることにつながりますから。

 私が医局にいたころは、担当の教授に怒鳴られることもありました。愛のムチですね。教授に言われたことをたまに思い出します。「医者になって1年目であろうが20年目であろうが、患者さんにとってはお医者さんである。だから早く技術や知識を覚えないと相手に対して失礼だ。話を聞き、変化を診てきなさい。看護婦さんの方がきっと上手にやっているから、情報を得ながら早く患者さんを診られるようになりなさい」そう厳しく言われたのです。忙しい先生でしたけれど、患者さんのところに行って自分が納得するまでゆっくり話を聞いておられました。そんな教育を受けた私は、患者さんのところに行き話をして変化を見抜く洞察力を養いました。自分も積極的に話をすれば、患者さんも症状の変化を伝えてくれるようになります。若い医師にも、患者さんと信頼関係を築きながら診療できるようになってほしいですね。(聞き手と写真=山下)


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