医療従事者と協力し正しい知識を広めたい

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特定非営利活動法人 山口県腎友会 理事長  吉村 隆

 山口県腎友会は昭和50年10月に設立された団体で、腎臓病の患者団体としては全国でも古い方だという。腎臓病の患者とその家族ならば誰でも入会できるが、会員の殆どは腎不全の患者とその家族。伊藤事務局長によると、取材時(8月)の会員数は1,493人とのこと。現在は山口県庁のすぐそばにある、大手町に事務局を置いている。県庁の入口にある、山口県指定有形文化財旧山口藩庁門から歩いて5分ほどの距離だ。

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左から伊藤義人事務局長、吉村理事長、職員の西みゆきさん。理事長は今年6月に福岡市博多区で開催された第58 回日本透析医学会学術集会・総会に参加したかったらしいが、ホテルが取れずに断念したそうだ

 平成12年3月にNPO法人を取得し、この時事務局を宇部から大手町の県社会福祉会館に移しました。先代の理事長の時です。今事務局があるのは、山口県社会福祉協議会の建物になります。

 NPO法人化前の会長が宇部にお住まいだったため、当時の事務局は宇部にありましたが、民間の一軒家を借りていて、家賃が高かったので移ってきました。行政と関わることも多く、県庁と近くなったのは活動がやりやすくなり、良いことでした。ここには常時3人しかいませんが、理事会の時は県内全域から集まります。ここは狭いので、近隣の会議室を借りますけれど。

 会員でもこの場所を知らない人はたくさんいますよ。5月に毎年開く総会には、以前は希望すれば誰でも来られたのですが、NPOになってからは、代表者だけがきます。

 県内の63病院が透析をやっており、会員が所属しているのは51病院です。その51病院にある患者会が、腎友会の一番小さな単位の下部団体です。その上に市町村単位の腎友会があり、その上に山口県腎友会があります。

 だんだんと会員は高齢者ばかりになってきて、少しずつ減少しています。新しい人も入ってきますが、若い方は仕事がありますから、入る人は少ないですね。「仕事をして、透析もして」という生活をしていると、土日は休養したり、また透析で出勤しなかった分の仕事をしたりするでしょうからね。なかなか入会してもらうのは難しいことです。全国で見ても、透析患者31万人に対し、全腎協(社団法人全国腎臓病協議会)の会員は10万人弱です。設立当時は90%以上あった組織率が、ずいぶん減っていますね。今は医療の進歩で若い患者が昔より減って、導入年齢が高くなっているようです。

 全腎協や自治体などと協力して、腎臓病に関する正しい知識の普及や社会啓発、腎臓病患者の自立と社会参加の促進などによって、医療や福祉に寄与することを目的として活動しています。国や行政に対して医療体制充実の要望をしたり、市民公開講座を開いたり、機関誌を発行したりしています。

 僕は今62歳ですが、透析24年目。下関出身です。

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「写真苦手なんだよね、僕は」と、吉村理事長は恥ずかしそうに言った。それで上写真のように、3人で写ることになった。

 発症は働き盛りで、子供も小さな頃でした。当時は防府に住み、良く働き、良く飲んで、良く遊んでいましたね。急に痙攣が来て、病院に行ったらすぐ導入だと言われました。腎不全は、末期にならないと自覚できない怖い病気です。

 すぐにシャントを作りましたが、透析からは逃げ回っていました。どうにか治そうと半年くらい、土日に神戸や四国で針治療などを受けました。本人は気付きませんでしたが、同僚が言うには蛇行して歩いていたようです。食欲もどんどんなくなってきて、それで観念しました。

 と言っても初めの頃は無茶していましたよ。冬でも水を飲んで、凄く太りました。その後勉強する機会を得て、まじめになりました。だから腎友会が正しい知識を伝えることは、重要だと考えています。誰もが医師の言う事を素直に聞くわけではないですから。

 カリウムによる反応は個人差がありますが、食べれるものが制限されるのもつらい病気です。僕はカリウムを食べるとすぐ出るタイプ。だからできるだけ生ものは食べないようにしています。缶詰を食べたりね。低カリウムの野菜もあるようですが、まだ関東近辺にしか出回ってないようですし、値段も高いですね。

 日本の透析技術は進歩し、自己管理をすれば40年生きることが可能になりました。しかし長期の透析をすることで合併症に苦しむ方が多くいるのも事実です。今後、団塊の世代を中心に、介護が必要な透析患者も増えてくると思います。透析患者が介護保険に加入していても、利用可能な介護老人保健施設は全国的にも少ない状況です。透析施設、通院事業、介護老人保健事業の併合施設の構築は緊急の問題です。しかし政府は、財政難を理由に、医療や福祉を切り捨てる方向に向かっています。何とかしてこの寝たきり患者や通院困難患者の問題を解決したいと思っています。

 実は僕も、最近合併症で足の指が壊死し始めました。去年の冬から痺れるようになったのですが、毛細血管まで血が回っていないらしいです。それで効果があるかどうかは分かりませんが、温泉に入っています。山口駅の隣に湯田温泉駅がありますが、山口市は温泉で有名な街です。僕は1日おきに入りに行っています。

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JR西日本山口線の湯田温泉駅。隣は山口駅で、県庁の近所に温泉地があるのも山口市の特徴。右側には、無料の足湯があり、なかなか熱い。

 私たちは当事者として、この先透析患者が減少するよう、「慢性腎臓病の早期発見と予防」や「腎移植セミナー・ドナー登録」についての周知活動を強化したいと考えています。以前から全腎協を通して言っていますが、医師会、看護協会、栄養士会と協力し、CKDの啓発活動に取り組んでいきたいですね。一緒にやることはもちろんありますが、もっと回数を増やして定期的にできたら良いなと感じます。

 透析患者の治療費は、1人当たり年間約500万円です。この治療をほぼ無料で受けています。国の医療費は年々増えてきていますから、我々の活動はこれを減少させることにもつながると考えています。

 最近の透析患者は、医療費負担0が当たり前のことだと勘違いをしています。これは私たちの先人が活動をして得た恩恵です。「私たちの医療費は社会の人々が支えてくれている」ということに、感謝をしなければなりません。だから私たちは、その恩恵に対する感謝の気持ちを持って、社会に対しての貢献活動をすることは使命であると思うのです。これからは患者だけでなく、家族や医療スタッフとの勉強や交流の場を設けて、医療側にお任せするだけの透析でなく、患者本人が病気をよく知り、自己管理しながらの透析治療をすることが大事だと、そう伝えていきたいですね。

 今のまま何もしなければ、次世代の医療・福祉は後退していき、患者のQOLは低下してしまいます。次の世代に患者会の存続を引き継げるように、次世代の先導役を見つけ育てることも、今後の課題です。


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