美術立体造形工房ARTREK 代表 角孝政
社会福祉法人はばたき福祉事業団が、献血参加を推進するための活動向けに作ったキャラクターが、けんけつちゃんだ。キャラクターデザインと設定は電通が担当した。各地の献血施設にマスコットが飾られるが、広島市中区の日本赤十字社広島県赤十字献血センターの1階にも、大きなFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製のけんけつちゃん人形が飾られている。今回はその、広島の人形の製作者に話を聞いた。
―いつごろ依頼を受けたのですか?
僕は下請けで、平成23年の末ぐらいにジグアート有限会社さんから依頼を受けました。
実際に製作していたのは、翌24年の3月です。
まだストーブを使う時期でした。ジグアート有限会社さんは博物館や美術館の展示物や建築模型が得意な会社で、遺跡の型取りなどもされています。僕はFRPの専門家なので、FRPの仕事を相談されることがよくあります。なので僕も、博物館や美術館の展示物うぃ手掛ける機会は多くあります。
僕の仕事の7割はFRPです。FRPは手間がかかりますが、軽い上に屋外でも使える丈夫な素材です。
―どのくらいの期間がかかりましたか?
けんけつちゃんと、その島の形の台座を作りましたが、製作期間は1ヶ月くらいです。
あの島のハート型の池から、けんけつちゃんは地上を覗いている設定らしいです。それは厚生労働省のウェブサイトにも書かれています。
製作する上で必要だったので、設定資料を読みましたが、好きな食べ物はソフトクリームらしく、普通で意外でした。好きな言葉は「ちょっとチクッとしますよ」らしいのですが、言うのが好きなのか、言われたり聞いたりするのが好きなのかは知りません。
設定資料には色指定もされており、製作者が配色を勝手に変えないよう、すべて色番号が細やかに決められています。例えば、けんけつちゃんの目は黒く見えますが、実はグレーなんですよ。
―広島県赤十字献血センターには夏休み、小学生が遊びに来るそうです。渡部係長によると、制作された人形は大人気らしいですよ。
僕が作ったものが市民に愛されているのは、本当に嬉しいことです。そういう話を聞くと、造形をなりわいにする活力になります。
美術立体造形工房ARTREKでは、製作依頼のほか、工房見学なども受けている。先日は歯科医院の依頼で子供用すべり台を作ったそうだ。
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