本紙が創刊した翌日、第23回参議院議員通常選挙がおこなわれた。医療問題とも関係のあるTPPの動向が注目されているだけに、政党間の力関係を気にした医療関係者も多かったと予想する。
話は変わるが、取材先で医師の偏在が話題に上がることがある。医師の偏在は、人口の偏在が大きな原因であろう。
過疎化の一因は、交通網の未整備にあると記者は考えている。電車の通っていない地域に行くのは苦労する。「せめてバスが通っていれば」と感じることも。しかし取材先の多くは医療施設で、比較的開けている場所にある。日本にはもっと不便なところも多い。
離島やへき地医療では、ヘリコプターを使った空輸も盛んになりつつあるが、救急搬送を主とした輸送は、地上搬送がほとんどだ。つまり救急医療は、「近くに救急隊がいる」「近くに病院がある」こと以前に「車が通れる、走りやすい」道があることが大事なのではないだろうか。
そう考えた時、道路の重要性は「1日に何人使うか」ではないことがわかる。
平成21年の第45回衆議院議員総選挙の際、過疎地の道路や橋を無駄と言い放つ候補者がいた。大手マスメディアは喝采を送った。
結局地元の支持は得られず、小選挙区では大差で敗れ、比例区で復活した。3年後の第46回でも大敗した。しかし今回の参議院議員通常選挙で、その候補者が当選してしまった。
税金の出所だけに税金を使えば、しだいに人口は過密し、結局は都市部も住みづらくなる。暗雲が垂れこめた感もある。