リサーチマインドを持って

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九州大学大学院 医学研究院 生殖病態生理学 九州大学病院産科婦人科  教授 加藤 聖子

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かとう きよこ
 1986 年九州大学卒、同産科婦人科に入局。松山赤十字病院、九州大学病院、九州がんセンターで研修後、米国ラ・ホヤ癌研究所に3 年間留学、帰国後、生体防御医学研究所ゲノム創薬治療学分野や順天堂大学産婦人科で勤務、今年春から現職。

 九州大学医学部医学科で23年ぶり、2人目の女性教授だという。2児の母で、夫も産婦人科勤務医。趣味は読書。推薦図書として「沈黙」(遠藤周作著)を挙げた。医療者として考えさせられることが多く、何度も読むそうだ。

―当紙の取材は男性医師に片寄りがちです。

加藤 産婦人科だけでみれば、若い世代は6割7割が女性医師なので、これからは今までよりも高い確率でスタッフや幹部クラスに女性がなってくるのではないかなと思ってます。そうしないと、特に産婦人科の分野は成り立っていかないと思ってます。

―乳がんや産婦人科は、やはり女性医師のほうがいいのですか。

加藤 自然な形で半々ぐらいが理想かなと思っています。女性が向いてる分野もあるし、男性が向いてる分野もあります。

お互いに協力してやっていけるのが一番かなあと思ってるんですけど。

―ご専門は。

加藤 一番の専門は婦人科腫瘍、がんのほうです。2番目としては更年期とか内分泌ですね。

 更年期外来でホルモン補充療法をするんですけど、これは乳がんのリスクを若干上げますので、そういう患者さんに対しては、乳房検診などは積極的に行なってますし、あるいは子宮体がんとか卵巣がんとかの患者さんは、遺伝子的に、体質的に乳がんにもなりやすい場合もあります。同じような遺伝子の異常によって起こることもありますので、特にそういう方たちには乳房検診などはすすめています。

―今のような話は広く知られているんでしょうか?

加藤 自分で受け持った子宮体がんの患者さんには、他の人より乳がんになりやすいから検診を受けようねとか、乳がんだけじゃなくて、大腸がんのリスクを上げることもありますが、あまり一般の方々には知られてない事実かもしれないですね。

―がん患者には、いろんな苦しさがあるでしょうね。

加藤 それはありますね。特にがん患者さんの治療は、病気を治すことプラス精神的サポート、プラス家族の支援だと言われています。

 今は緩和医療の研修会やセミナーも行なわれるようになっています。緩和というのは最後の看取りのステージになってからするものではなくて、がんだと言われたその日から、精神的サポート、家族のサポートも含めてするものだというふうな考え方ですね。

 医者は病気を治すことばかりに専念してしまうので、そういうセミナーは積極的に受けるように、若い先生たちには言っています。

―医者になろうと決めたのはいつごろでしょう。

加藤 高校生の時ですね。私は宮崎出身で、母が小学校の教員をしていたので、そういう専門職、免許を持った職がいいかなあと。それで教員も考えましたし、弁護士にもなりたかったし、あとは医者ですね。上智大の法学部も受けたりしてたんですけど、幸いに九大の医学部に通りましたので、こちらに。

―なってどうでした?

加藤 それは良かったと思っています。産婦人科を目指す時のきっかけは、当時医学部に女子学生は少なくて、120人中7人くらいしかいませんでしたので、自分が患者の立場になった時に、女性の医師がいてくれたらうれしい科はどこかなと考えた時に、産婦人科かなと思ったんですね。

「キーワードはリサーチマインド、パートナーシップ、リーダーシップ。若い人にはぜひ、研究心=リサーチマインドを持ってほしい」

―女性でよかったということはありますか。

加藤 私の方はそう思わないんですが、患者さんからはときどき言われます。女の先生で話がしやすかったとか、男の先生には言いにくいことを言えたとか言ってくださいますよね。そういうときは良かったなと思います。

―紙面を通じて訴えたいことはありますか?

加藤 今、産婦人科学会の常務理事として広報委員長をしています。そういう立場から言わせていただきますと、やっぱり産婦人科の医師が不足してるんですよね、ここ5、6年前から。

 一時期盛り返していたのですけれど、初期研修で産婦人科を回るのが選択制になってしまって、産科の出生のよろこびとか、がんの患者さんが治ったときのうれしさとかに触れてもらったり、手術の面白さとか、産婦人科の良さを知ってもらう機会が失われて、産婦人科を希望してくれる若い先生たちが減ってきているのが現状なんですね。だから、初期研修の間1か月間でもいいので、産婦人科に触れてほしいと思うのが1つ。

 そして先ほども言いましたように、女性医師が増えてきていますが、女性はどうしても出産や育児があります。私も2人の子供を育てながら医師をやってきたのですが、これからは産婦人科だけではなく、いろいろな分野にいる女性医師が、とにかく辞めないで、少しでもいいから続けていくための支援を行なってほしいと言いたいです。

―今のような現状は当然わかってるはずなのに、なぜ改善されにくいのでしょう。

加藤 むつかしいですね。古い体制が変えられないことや、女性もモチベーションを高く持って声をあげていかなきゃいけないのかなというのは感じています。私も主張してきたわけじゃなくて、あれこれやり繰りしながらやってきたのが現状で、もう少し体系的に、みんなが平等に機会を与えられるようにしたらいいなと思います。男女共同参画がむつかしいというのは、古い体質がなかなか取り払えないというところがあるんじゃないかなと思います。

 男性医師もがんばっていますので、女性医師ばかり支援すると、逆に不平等感を持つこともあるかもしれないので、そうならないようなシステム作りが大事だろうと思っています。

―将来医者になろうと思っている人にどう声をかけてあげますか?

加藤 まず努力を継続することですよね。そしてあまり視野を狭くしないで、いろんな分野の方々と若い時から関わって、フレキシブルな考え方を持っておいた方がいいと思います。若いうちから真正面ばかり見ている人は挫折しやすいですね。人には多様性があるんだということを若いうちからわかっておくと、たとえつまずいても別の考え方がまた出来ると。そうすると結局続けられますよね。(聞き手=川本)


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