9月はがん征圧月間 予防と検診で人生すこやかに

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公益財団法人 福岡県すこやか健康事業団 会長 原 信之

【はら のぶゆき】=1966九州大学卒、1967胸部疾患研究施設、1977第二外科、1981国立病院九州がんセンター呼吸器部長、1993九大医学部教授、2006( 財) 福岡県対がん協会会長などを経て2009より現職。

 昭和35年(1960)から毎年9月を「がん征圧月間」と定め、全国で癌予防について正しい知識の徹底と早期発見・早期治療の普及活動が行なわれる。日本対がん協会福岡県支部のある「公益財団法人福岡県すこやか健康事業団」の原信之会長に、同事業団の取組みや福岡県の状況などを聞いた。

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すこやか健康事業団学術研究センターの職員。手前右から城戸真和企画室長、原会長、野村幸学術研究推進室長、池田晶子調査研究推進班長、後列右から松鵜博美、中村ちよみ、中村和歌子、田中佑佳、安武薫、松本隆志の各氏。井上雅子センター長は公務で不在。

 旧福岡県対がん協会などと合併して今年で5年を迎えました。学術研究センターを設立し、そこを中心にして、予防医学の研究や質の高い検診の啓発活動、研究助成や学術講演会などを開催しています。

 なかでも9月のがん征圧月間に向け、癌の予防と早期発見、早期治療を目的に、がん征圧の集いを開催し、リレーフォーライフ実行委員会のメンバーにもなって活動しています。

 がん征圧の集いは、がん征圧月間の重要なイベントの1つで、がんに関する講演やパネル展示などを、寸劇や音楽演奏なども取り混ぜて行なっており、また市民のお祭りの博多どんたくや、久留米で開催されている水の祭典にも参加し、がん検診や予防の重要性を啓発しています。さらに、学術研究センターでは、3、4か月に1度、いろんな分野の専門家を招いて、学術講演会を公開講座形式で行なっています。

 リレーフォーライフは、今年9月14、15日の両日、海の中道公園で開かれます。

―癌の情報が多い中で、がん征圧に向ける国民の意識は高くなっていますか。

 残念ながら検診受診率はそんなに高くなっていません。国の目標は50%ですが、せいぜい20から30%といったところです。

 健康意識そのものは高まっているようですが、ダイエットや若々しさのほうに目が向きがちなのかもしれません。野菜を中心とした食生活と禁煙のことは知っているし、喫煙者の数もかなり減って、全体としては19%くらいですが、40代50代は依然として40%以上で、大きな変化はありません。意識は高くて、みんな知識として知っているけれどもなかなか実行できない。

 検診のためのアンケートなどを見ていますと、自分は健康だから受ける必要はない、病気になれば診てくれる医療機関がある、などの意見があり、わざわざ検診を受けて病気が見つかるのがこわいという気持ちがあるのでしょう。

 外国の検診率が高いのは、韓国では大統領令だし、欧米では、健康は自分で維持するという民族的な違いと、入院したら医療費がすごく高いので、そうならないようにしようという考えです。

―原会長のがん征圧への思いはとても強いですね。

 私は大学を卒業して、胸部疾患研究施設で外科をやっていたんです。最初は結核が中心でしたが、だんだん癌が増えてきて、外科医であれば癌が対象になってきます。九州がんセンターで11年くらい診療と研究をやりました。

 近年肺癌と肝臓癌以外の治療成績はとてもよくなり、全体としては50%以上が治るんです。その理由に癌の治療が進歩したことと、まだ低いとはいえ、検診で早期発見できるようになっていることがあります。

 ただ、一番の問題は高齢者の増加です。癌は高齢者の病気とも言われていて、癌患者を調べてみますと、7割か8割が高齢者なんですね。

―前回のインタビューで最後にスピリチュアルの話をされました。

 WHOの健康の定義に、肉体的、精神的、社会的に加えて、人間の尊厳の確保や生活の質を考えるために本質的なものだという観点からスピリチュアルという言葉を加えることが提案されました。(※Health is a dynamic stateof complete physical,mental, spiritual and socialwell-being and not merelythe absence of disease orinfirmity.)

 医学は、健康であること、そして病気を治すことを大前提として進歩してきて、平均寿命も男性で79・6歳、女性は86・4歳の長寿を達成しました。しかし、健康で自立できている寿命ではないということです。男女共に6年から10年くらいのあいだは、寝たきりだったり自立ができない状態です。その期間を短くすること、そして尊厳ある生を維持することが重要だと考えるようになりました。

 諸外国ではそのような考えに宗教が大きな役割を持っていますが、宗教心の弱い日本人は、その点が遅れているように感じています。しかし、私個人的には、日本人は特定の宗教を持たなくても,自然や日常の生活の中に神(宗教)の存在を見出していると思います。物質文明がある程度達成され、置き去りにされていた心に、若い人も含めて目を向け始めているようです。

 すこやかに生きるためには、癌であっても早く取り除くことが出来れば普段の生活が維持できるし、メタボも改善すれば病気にならずに、与えられた寿命の中で元気に生きていくことができます。そのためには定期的な検診と予防が重要です。今60歳の人でも20年以上は生きていかなければなりませんからね。

―会長自身はどんな健康管理をされていますか。

 今もこうやって元気に働けるのはありがたいですね。一線を退いていますから、仕事は8時30分から5時までですので、昔と違って家でちゃんと食事をしています(笑)。〈日々に新たに、また日に新たなり〉の気持ちを持ち、毎日の生活リズムを大切にして過ごしています。


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