日本一の景観がある病院に向けて

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独立行政法人国立病院機構 柳井医療センター  院長 住元 了

1976 修道高校卒 1982 広島大学卒 広島大学医学部付属病院研修医 1983 国立療養所広島病院 1985 広島大学医学部付属病院医員 1986 東京医大八王子医療センターレジデント 1987 国立小児病院小児医療研究センター研究員・厚生技官 1991 ウイスコンシン大学留学 1993 県立広島病院副部長 1995 広島大学附属病院助手 1996 土谷総合病院 1997 中国労災病院医長 2001三原市医師会病院副院長 2008 柳井病院副院長 2012 柳井医療センター院長

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5階デイルーム。院長のバックに見えるのは周防大島。はめ殺しの窓が弧を描いて並んでいるのが分かる。右下に見えるのは遊歩道。左下は、工事業者用の駐車場。解体工事が終わり次第、外来管理棟を建造する。現在院長室から海は見えないが、新棟が出来れば、院長室からも雄大な景観を望める。

 旧国立療養所系の国立病院で旧称は「国立療養所柳井病院」。その後平成16年に「独立行政法人国立病院機構柳井病院」と名を変え、住元院長の院長就任に合わせて現在の名称に変更した。以前は結核を中心に看ていたが、結核医療の終焉に伴い、脳神経難病や一般急性期を看るようにシフトしてきた。現在結核は一切看ていない。昭和56年に手術棟を竣工すると、昭和59年に広島大学第二外科から田村泰三名誉院長が赴任し、外科医療を行なうようになった。外科部門は一昨年から腹部救急治療も始め、24時間365日、腹痛の患者を診ている。4年前からは、入院が必要な合併症を持った透析患者の治療に力を入れており、今年4月に人工透析外科を新設。現在40名ほどが入院している。通院は基本受け入れていないが、近隣機関でのシャントトラブルには対応している。

 広島県外に広島大学の関連病院は愛媛県と山口県にあるが、山口県の関連病院は柳井医療センターのみ。

 現在は神経難病の中核的病院で、山口県全域のみならず広島県の西部地域からも患者が訪れる。以前は結核病院であったため、広島大学第二内科との繋がりが深かったが、現在は広島大学脳神経内科の実地病院として最も大きな病院となった。神経内科には宮地隆史副院長以下、7名もの医師がおり、100名を超える入院患者を抱えている。「iPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究が進むにつれ、将来は当院が神経再生の研究病院に繋がっていくのではないか」と、住元院長は話す。前述の人工透析外科は血漿交換も行なっており、腎不全だけでなくギラン・バレー症候群など神経難病の治療にも関わっている。

 しかし多くの神経難病は早期に治癒する病気ではない。「療養生活を少しでも快適に過ごしていただきたい」と院長は考えており、病棟を新築する際に多くの要望を述べた。

 病棟は鉄筋コンクリート造5階建てで、敷地内で瀬戸内海を望むのに最も適した場所に建てられた。病床数は変わらず280。1つの階には56床ずつあり、神経難病を含む一般病床が200。80床が重度心身障害児の病床。屋上には太陽光パネルが設置され、地球環境にも配慮がされている。

 院長の熱望により海側の壁面は弧を描くような構造になっており、見晴らしのために全面ガラス張りで、開放感ある造り。腰壁で半円状の壁を持つ建築物はあるが、これほど採光部の大きなものは珍しい。窓は強度を持たせるために開閉は出来ず、はめ殺しにした。㈱中林建築設計事務所で専務を務める中林設計士によると、「国立病院機構本部のブロックプランを基に、海が見えるデイルームには気を配った。海側だけではなく、山々も美しく見えることから、患者様が景色を楽しむことに配慮。院長の意向が反映された建築物。病院側が協力的でスムースに設計できた」とのこと。事実各階のデイルームには、患者の姿は多い。デイルームだけではなく、病室は大きな窓と広い部屋になっている。

 他にも病院は療養生活に配慮して、障害者が散歩出来るような回復遊歩道を整備している。今後はそれを病院全体に延伸していく予定。また、園芸療法にも力を入れ、花壇は車椅子に乗ったまま作業が出来るように工夫されている。今後は植樹し、木陰を多く作る計画もある。

 「143ある国立病院中、ナンバー1の療養環境を目指す」と院長は夢を語る。「入院している間は散歩を楽しんで、家族も見舞いに来たくなるような病院にしたい」

 病院は神経難病の分野を今後も拡充させるために、神経内科の医師を増員したいと考えているが、慢性期の神経難病ばかりを扱っていては、若い医者への魅力には乏しい。そこで院長が考えているのは、脳卒中治療だ。原田暁=前院長(現名誉院長)の専門が神経内科で、脳卒中を始める計画は当時から既に有ったが、脳外科医のサポートとMRIの導入が難しく、在任中は実現できなかった。現在MRI用の建屋を工事中で、MRI自体も確保済み。9月に搬入し、10月から稼動させる予定だ。脳外科医の手配も既に始めており、年内には脳卒中の治療を始める予定。重度の患者は岩国医療センターや広島大学に搬送出来るように、ヘリポートを作る予定もあり、無論受け入れにも利用を考えている。「療養所」のイメージを払拭するため、ケーブルテレビで病院の紹介番組を流しており、今は急性期を扱う病院として地元住民に認知されつつある。

 以前は附属看護学校を持っていたが、2001年に閉校。しかし看護部の努力で、看護師の不足は全くない。非常勤看護師の単価も上げ、脳卒中医療に対応する準備は万全だ。

 リハビリテーションのスタッフも補充を始めている。外来管理棟と官舎も新築する。

 院長は広島生まれの広島育ち。週末は広島市に帰り、お好み焼きには一家言を持っている。

 医師としてはまだ現役で、今も診療に出ている。青春時代は移植の研究のため、東京とアメリカで過ごした。

 本来医師の家系の生まれではない。親戚に医師はおらず、父も医師ではなかったが、2人の兄は医師。今兄弟とその子供たちだけで、11人の医師がいる。


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