競合ではなく協働が必要

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小林市立病院 事業管理者 坪内 斉志

入院の必要がない患者は逆紹介する

1984 鹿児島大学卒 鹿児島大学医学部付属病院麻酔科医員 1985 鹿児島市立病院麻酔科勤務 1986 鹿児島市医師会病院麻酔科勤務、鹿児島大学医学部付属病院第一外科医員 1987 天保山記念病院勤務 鹿児島大学医学部内第一外科研究生入学 1988 垂水中央病院勤務 1989 社団法人鹿児島共済会南風病院勤務 桑原記念病院勤務 1990 曽於郡医師会病院勤務 1991 済生会川内病院勤務 1992 鹿児島大学第一外科部外研究生 1994 江南病院勤務 1997 鹿児島県立薩南病院勤務 2000 小林市立市民病院勤務 2004 同副院長 2010 同事業管理者。

 宮崎県小林市は熊本県と鹿児島県との県境を持ち、また宮崎市からは遠く離れている。人口は5万人と少なくはないが、高齢化が進んでいる。人材の流出も著しく、看護師の確保も難しい。

 147床の小林市立病院は、そんな場所で地域医療支援病院の認可を受けた。救急に力を入れている。今年の6月から回復期リハビリテーション病棟も設けた。西諸医療圏(小林市・えびの市・西諸県郡高原町)では最も大きな病院だ。

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右に見えるのは西諸医師会会館。その左(中央の建物)が、医師会立准看護学校。

 脳外科や循環器外科はありませんが、小さな病院にしては手術が多い病院です。外科は私を含め常勤5名、非常勤3名の体制です。整形、泌尿器科は常勤で2人ずついます。整形の大きな単科病院が近隣にありますが、合併症の患者さんは当院に来ます。泌尿器科も周りに手術出来る病院がありませんので、充実しています。

 当院は鹿児島大学の関連病院ですが、県外ですので、診療科目によっては手薄になってしまうこともあります。3年前に4人いた内科医が、野本浩一先生を除きみんな鹿児島に帰ってしまいました。3か月で逆紹介を千500件ほどやったようです。

 野本先生は当時、当院の事業管理者だったのですが、1人で内科を切り盛りするには負担が大きいというわけで、副院長だった私が事業管理者になりました。兼務で7代目の院長になります。現在も定年を延長していただいて、内科は野本先生お1人にお任せしている状態です。消化器に関しては、我々消化器外科が診ることで対応しています。外科も鹿児島大学からは、今は私と徳田浩喜副院長の2人だけになってしまいました。産婦人科はなくしましたし、小児科は宮崎大学から非常勤で来てもらっている状態です。

 鹿児島大学から派遣してもらっている先生もまだ多いですが、西諸出身の先生も増えてきました。麻酔科の窪田悦二先生は、九州大学や県立宮崎病院、県立延岡病院などに勤められていましたが、最後は故郷に恩返しがしたいということで、帰ってこられたんですよ。5月に着任してもらった救急科の先生は、この地域で開業される鹿大の先輩の息子さんですが、小林に帰って地域貢献がしたいということでした。昼間の救急車は全部受けてもらっており、非常に助かっています。また、外科にも小林で開業される先生の息子さんがいます。小林市役所には健康推進課地域医療対策室という部署があり、医師集めにはそこが協力してくれてもいます。

 医師不足も深刻ですが、看護師集めが特に大変ですね。当院の隣に西諸医師会の准看護学校がありますが、それとは別に今度小林に看護学校が出来るので、これに期待しています(学校法人宮崎総合学院は今年1月、看護師を養成する小林看護医療専門学校〈仮称〉の設置を決め、2015年の開校を目指している)

 新卒者で小林に就職というのはほとんどいません。当院に来て13年ですが、その間に採用した新卒の正看護師は2人だけです。電子カルテの導入もあり、高齢の看護師には難しい仕事も増えました。若い人に増えて欲しいと考えています。今は看護師不足で休床もありますが、130床くらいに回復させたいですね。

 多い日は1日400件ほど外来のある日もあります。出来るだけたくさんのスタッフを病棟に配置したいので、入院の必要がない方はなるべく逆紹介をして、地域の先生方に助けてもらおうと考えています。競合するのは意味がなく、地域を守るためには協働が必要です。外科に関しては、70〜80%逆紹介をしています。もちろん開業の先生に出来ないことは我々がやります。それが当院の存在理由ですからね。

 病院建て替えは平成21年。私が事業管理者になる直前ですね。地方公営企業法の全適になったのも21年ですから、私から見れば「最悪のタイミング」ですよ(笑)。大変でした。

 平成23年に地域医療支援病院になり、入院と救急に力をいれています。

 人吉市など熊本県から来ることはあまりありませんが、都城市や湧水町(鹿児島県姶良郡)からの救急もあります。湧水町は峠の関係で、鹿児島の病院より近いんです。当院では受けいれられない救急もありますが、開業医の先生から相談されて、受け入れ先を探すこともあります。宮崎市郡医師会病院のモービルCCUは何度か利用しましたが、当直医を乗せる必要もないし、大変助かりました。

 ヘリポートは今年の3月末に県と市の補助で作りました。病院建て替えの際、屋上に作る案もありましたが、予算の都合で実現しませんでした。建物の補強や、エレベーターを屋上まで上げたりと、億単位のコストが上乗せされるので、当時は不要だと判断したんです。まだドクターヘリが飛ぶようなことは考えられませんでした。しかし昨年の4月に宮崎大学附属病院に救命救急センターが出来、ドクターヘリの運航も始まりました。それで駐車場の一部を潰して、ヘリポートにしたんです。出来る以前に、市内の運動場をヘリポートにして搬送したことがありましたが、ランデブーの時間調整など準備が大変でした。今は簡単で良いですね。コールして20分かからずに飛んできてくれます。先日宮崎大学の落合秀信教授の講演を聴いたのですが、コールから最短3分で出ると言っていました。大学病院が救急に力を入れてくれたのは、本当にありがたいです。

 実はテストフライトをする前に搬送する事案が出来まして、早く出来ていてよかったです。その後、テストフライトをしました。当院だけでなく、地域の先生方が搬送する時も使いますし、当院以外の病院も使います。そういう意味では屋上よりも使い勝手が良かったかも知れません。使って良く分かりましたが、宮崎や鹿児島は島や僻地も多いので、ヘリは有用な手段だと思います。

 鹿児島と比べて宮崎は市民活動の活発な土地です。西諸にも4年前、延岡の「県北の地域医療を守る会」を参考に「地域医療を考える会」が出来ました。協力していただき非常に助かっています。


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