過疎地の医療、こう守り抜く

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佐賀市立富士大和温泉病院 病院長 木須 達郎

1975名古屋大学卒、九州大学第一内科入局、三信会原病院内科勤務 1976 九州大学医学部附属病院研修医 1980九州大学医学部助手 1981佐賀医科大学助手 1986同講師 1992 (富士町大和町)共立病院長 2002富士大和温泉病院長(移転新築による変更) 2005佐賀市立富士大和温泉病院長(市町村合併による変更)

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 とにかく過疎地の病院ですよね。富士町と大和町の共立病院という名前でやっていましたが、平成17年に佐賀市と合併して佐賀市立の病院になりました。

 この地域の面積は大体、佐賀市の49%ほどありますが、人口は3%に足りないくらいです。過疎地の医療は往診するにしても、介護をやるにしても非常に効率が悪い。だからこそ自治体病院としてやっていかなければできないわけです。

 この地域の高齢化率は県下でもかなり高くて、65歳以上が33%くらい。佐賀市平均が24、25%ぐらいでしょうか。そういう地域に生まれ育った人たちが、これからも同じ地域で安心して生活していけるよう支援する病院を目指しています。

 医師確保には非常に苦労してきましたが、去年の4月、佐賀大学医学部附属病院地域総合診療センターが設置され総合診療の先生が2人みえました。去年は血液内科の先生も1人増えて現在10名体制でやっています。その点ではほっとしてます。

 都市部の病院は勉強したい若い人に魅力的で医師が集まりますが、過疎地の中小病院は医師が集まりにくく経営上も苦しくなるわけですよね。ここから佐賀大学病院まで車で20分、好生館まで一本道を30分です。過疎地であってもへき地ではないですから、移動手段のある若い人は佐賀市内に行き、当院の利用者は高齢者が多いです。だから私もほかの先生も往診したりして、大病院の先生が普通やっていないようなこともやっています。

 「笑顔まごころ思いやり」をモットーにしています。患者さんや家族に対してだけでなく、職員同士も仲良くしないと、いい医療サービスは出来ないだろうと思います。

 地域から支持されなければこういう病院は存続出来ないですから、富士町の健康マラソンや各種の祭りにも職員が参加していますし、医師や栄養士、リハビリスタッフや薬剤師が地域に出かけて健康講話もしています。院内でコンサートをやっていますが、私の妻と娘が、ピアノとバイオリンを演奏したこともありますし、楽器の出来る研修医に披露してもらったこともあります。私は何も出来ませんが。

 佐賀医大の消化器内科にいたころアマチュア無線をやっていました。2級の資格を取り、家にタワーを建てて楽しんでいました。医局で旅行に行く時や学会の会場で連絡を取り合うのに便利だったからです。でも携帯電話の登場でいっぺんにすたれましたね。

 工学部志望でしたが昭和44年の東大入試中止のため進路を変更し、医学部に行くことにしたんです。もしも工学部に行っていたら会社に勤めて、今ごろは定年退職しているでしょうね。

 昔と今の若い医師の考え方や気質はだいぶ違うでしょうが、昔から「自分の家族みたいな気持ちで診なさい」と言うように、心ある医療をしてほしい。うちの病院のモットー「笑顔まごころ思いやり」というのは何ごとにも当てはまると思うんです。私は結婚式の挨拶でも言って、もう口ぐせみたいになっていますけどね。どんな相手に対しても、そのような気持ちでいたら、何ごともうまくいくと思います。

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古川敏病院経営統括監(左)と木須院長

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病院の背後に川が流れ、自然環境はとてもいい。院内1階の壁には患者の手による絵画が掲示してあった。

 病気になった方やその家族を見ていると、自分の親も80代ですから、家族の方の気持ちが本当によくわかります。病気になったにしろ介護が必要になったにしろ、患者さんと家族の思いをひしひしと感じますね。

 当院は一般急性期病棟が54床と療養病棟が44床の、計98床です。この辺りは急性期をみる病院がないんですよ。透析は移転新築後開始しましたが、透析のみの施設では出来ない骨折後のリハビリを依頼されることもあります。以前は眼科の先生がいましたから透析患者が目の手術する時、一時的に転院をする需要もありました。

 高齢者が多いから急性期で入院されて退院されるまで結構長くかかりますよね。療養病棟に移ったり、介護保険の訪問看護や、訪問リハビリ、通所リハビリなどをケアマネージャーが調整して、自宅に帰ってもらうとか、あるいは施設に入ってもらうとか、そういう切れ目のない連続的な医療と介護の一体的提供、すなわち地域包括ケアを目指しています。

 訪問看護はどうしても必要だと思います。高齢者が多いし、老老介護も多いですからね。だから訪問診療、訪問リハビリもやっていますし、以前は訪問入浴もやっていたんです。訪問入浴車は熊の川温泉の湯を使ってたんですよ。温泉病院の名称は入浴に熊の川温泉の温泉水を使用している事からつけられました。

 何かが強いとかの特色はありませんが、全国健康保険診療施設協議会の理念が地域包括ケアで、それを昔から基本理念として、保健、医療、福祉、これを一体的に提供しています。高齢者には人手もかかりますが、職員は、この地域の医療を自分たちが支えるんだという意識で頑張っています。病院に6つのプロジェクトチームがあって、いろんな役割を職員で分担し、この地域の医療を守りぬこうとしています。お揃いのTシャツを作って、地域医療を守る宣言を書いて、いろんなイベントの時に着ていますね。

 さまざまな困難な状況を抱えながら、公立病院改革プランに取り組み3年間前倒しして黒字になりました。そして黒字が3年間続いているのは職員みんなの力です。
(聞き手=川本、写真=佐藤)


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