医療法人財団 博愛会 博愛会病院 院長 林 隆一
昭和57年の設立当初から、「日本一患者さんに優しい病院」をスローガンにしている博愛会病院(=福岡市中央区笹丘)。特化した乳腺外科とリハビリへの取り組みについて聞いた。
財団博愛会の会長が高校生で理事長が中学生のころに、患者さんにやさしい医療をしたいと痛感させられる出来事があり、その時の思いが博愛会誕生のきっかけです。
昭和57年に無床のクリニックから始まり、その思いをみんなが共有しているんです。それで理事長が院長の時に、初心を忘れないようにと、今の理念が作られました。私が院長になっても理念は変えずにきました。
―出身はどちらですか?
福岡県柳川市です。父親が柳川で開業していたこともあって愛知県の大学を出て医者になり、地元へ帰るために福岡市で病院を探し、今の理事長と出会ったんです。
病院の建物の中に足を踏み入れた時の雰囲気や職員の対応を見ていて、ここは自分に合うと思いました。前に働いていた愛知県の病院が救命センターのある三次病院で、治療して帰すという繰り返しを10年以上やってきて、もう少し患者さんと関わり、優しい医療がしたいという想いがずっとありましたからね。
職員の人間関係がいいとか、病室の雰囲気がやわらかいことは当たり前で、大事なのは人として尊厳をもって患者さんと向き合うかの問題です。
うちの看護部長がよく言っています。自分の家族や親戚に、ぜひうちにおいでと言える病院でありたいと。
―ほかに特徴はありますか。
乳腺外科とリハビリに機能特化して、福岡市地域で乳がんの手術件数は、がんセンターの次くらいの上位を維持しています。
乳腺外科統括部長の渡邉良二副院長がこちらに赴任して乳腺外科のみに特化し、更に充実しました。回復期リハビリ病棟は95床のベッド数で、1年365日時間をかけた質の高いリハビリを提供しているという自負はあります。
乳がんはもうすぐ女性の12人に1人くらいになります。欧米は検診率が80%とか70%以上ですから死亡率が減っていますが、日本は30%ぐらい、福岡県は20%あるかないかです。だから当院の役割として、乳がんの治療のみならず病院周囲の地域だけでも検診率を50%程に上げたいとの想いで取り組みをしています。
ところで記者さんは、リハビリという言葉にどんな印象を持ってます?
―回復のためのストレッチや筋トレ、関節のケアなどでしょうか。
それは機能障害というところのリハビリで、生活障害というのがあるんですよ。口から食べる、歯を磨く、着替えるとかこれができないと家に帰れないですよね。歩けてもトイレでズボンを下ろせなかったら困るでしょ。歯を磨いたり、脱いだり着たり、そういうリハビリが大切なんです。
これができないと家に帰れないですよね。歩けてもトイレでズボンを下ろせなかったら困るでしょ。歯を磨いたり、脱いだり着たり、そういうリハビリが大切なんです。
今、うちの回復リハビリ病棟には、医者と看護師、介護士のほかに、歯科衛生士、栄養士、薬剤師とソーシャルワーカーなどいろんな職種が一緒に、横並びでやってるんですよ。回復リハというのはチーム医療がうまくいくシステムです。医者だけでは出来ない、栄養の面もあるし、薬のこともあるし、口の中の大切なこともある。そういう意味ではチームとしてまとまりやすいです。
今、うちの回復リハビリ病棟には、医者と看護師、介護士のほかに、歯科衛生士、栄養士、薬剤師とソーシャルワーカーなどいろんな職種が一緒に、横並びでやってるんですよ。回復リハというのはチーム医療がうまくいくシステムです。医者だけでは出来ない、栄養の面もあるし、薬のこともあるし、口の中の大切なこともある。そういう意味ではチームとしてまとまりやすいです。
―近年、医療の現場が大きく変わりました。
先端医療は大きな病院に任せて、我々はコツコツと次につなげる仕事を一生懸命やっていきたいと思いますね。乳腺は乳腺で特化して、乳房形成や、まだ癌になってない人の切除とかも取り上げていかなければと思います。
博愛会グループには、ウェルネスという健診センターがあり、男女別フロアで人間ドックや健診をしており、併設しているクリニックで、生活習慣病予防に力を入れています。介護部門は地域サポート部(老健施設、デイサービス、訪問看護ステーション、ヘルパーステーションなど)を設け、博愛会ならではの、やさ 博愛会グループには、ウェルネスという健診センターがあり、男女別フロアで人間ドックや健診をしており、併設しているクリニックで、生活習慣病予防に力を入れています。介護部門は地域サポート部(老健施設、デイサービス、訪問看護ステーション、ヘルパーステーションなど)を設け、博愛会ならではの、やさしいサービスを提供しています。
―趣味はありますか。
福岡に14年前に来た時から始めたテニスです。目指しているのは、いつもテニスが好きで好きで、躍動的にプレーされている医師会の先輩方。あとは年に1回、北海道にスキーに行くこと。大自然の中での爽快感や、行き帰りの飛行機でいろんなことをゆっくり考えられ、リフレッシュ出来ますね。
―医者になりたい若い人に助言するなら
まず第一は患者さんの話に耳を傾け良く聞くことが大切で、また相手の顔色や表情からどういう病態が潜んでいるのかピンと気づく感性を持ってほしい。機械に頼るのは必要ですが、基本的なことはやっぱり、聞いて、診るということですよね。でもそれをやるには、やはり経験なんです。