開院1周年で発展途上 もっと良い病院に

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伊万里・有田地区医療福祉組合 病院事業管理者 井上文夫

1974九州大学医学部卒、九州大学附属病院研修医(第二外科入局) 1975国立別府病院外科 1978九州歯科大学外科助手 1980防府消火器病センター勤務 1982福岡県済生会八幡病院外科医長 1985西有田共立病院院長 2006有田共立病院院長 2012伊万里有田共立病院事業管理者

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カヌーを6艘持ち、3艘は自作。船大工の意で「棟梁」と呼ぶ人もいるそうだ。自作の際、空いた医師宿舎を艇庫に使い、FRP樹脂でフローリングをダメにして事務長に叱られたという。下の写真は、仔犬のころからカヌーに乗せている愛犬とハウステンボスの運河で。

 かつて「二級国道202号福岡有田線」と呼ばれた国道沿いに、伊万里有田共立病院はある。有田共立病院と伊万里市民病院が統合されて出来た病院で、行政区分上は有田町に所在しているが、伊万里市との境に位置し、昨年の3月に開院した。合併まで二つの病院は、互いの市街地にあった。

 総務省のガイドラインに従って統合したんじゃないかと見られるかも知れませんが、僕らは以前からいっしょにやろうと計画していました。平成の大合併と言われた市町村合併のころ、有田町と伊万里市は合併寸前まできたのです。自然、病院統合の話題にもなります。しかし統合した病院をどこに置くかで、有田も伊万里も譲らなかった。どちらも自分の方に置きたかったんです。それが原因で市町の合併自体がなくなってしまったが、どちらの病院も老朽化していましたから、早く建て直さねばならなかったんです。だから僕は怒ったんですよ、「こんなボロボロの病院では、患者さんがかわいそうじゃないか」って。それで病院の統合が出来ないなら、有田単独でやろうと建設委員会を立ち上げました。そして作ろうということになった時、伊万里側が病院を統合したいと言ってきて、統合することになりました。

 統合した自治体病院はたくさんありますが、上手くいっているところばかりではないようです。「統合すれば病院がよくなる」と単純に考える人もいますが、そうならないのが現状です。特に職員の待遇を一律化させるのはむつかしい。

 有田の職員は全国平均より低い給与で、伊万里の職員は高いものでした。統合したら全国平均にしたいと考えていましたが、それでは伊万里の職員の給与が下がるわけです。それで伊万里市役所の幹部が抵抗しました。しかし同じ仕事量で差をつけるわけにもいきません。ですが最終的には納得してもらって一律化することが出来ました。統合で、伊万里から来た人はかなり給料が下がりました。僕は「たくさん辞めるかな」と心配したのですが、ほとんどの人は残ってくれました。だから統合後最初の、全職員の前での挨拶で僕は、伊万里から来た職員に「感謝しているよ」と言いました。これが一番苦労したことです。一年経ちましたが、何とか無難にスタートを切ったかなと思います。

―有田共立病院と関わられたきっかけは。

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松浦鉄道西九州線の車内から撮影。向こうの建物が伊万里有田共立病院。夫婦石駅では開院に先立ち、病院への専用連絡通路が整備された。

 教授に呼ばれて「来週から行ってくれ」と。ただそれだけです。それが37の時でした。

 僕が来た時は老人が社会的入院をする病院でした。だから毎日回診して、どんどん退院させました。ベッドがスカスカになって事務長に怒られましたが、入院させる必要のない人は帰さなきゃいけませんよ。いま立派な病院になったかどうかは分からないけど、まだ発展途上ですから、まったく満足していません。もっと良い病院にしたいと考えています。

 良い病院には常勤医師の確保が重要です。法的には当院の医師は足りていることになっていますが、僕は十分だとは思いません。新しい研修医制度以降、地方の中規模病院にとっては極めて厳しい状況と言わざるを得ません。大学とは関係なく就職してくれた先生達が当院にもいますが、本当にありがたい。そういう先生方にとって、魅力的な病院になりつつあるのかな、と感じています。また、僕の母教室が応援してくれているので、外科医だけはいつも若くて腕の立つのが揃っています。今も外科は僕を含めて5人、全員九大の第二外科です。同級生で仲の良い者が第二外科に行くというので一緒に入ったのですが、後悔はしていないですね。

 当院の外科にはOB会があって、毎年中洲でやるんですが、ほとんど全員が参加します。毎年楽しみです。

 昨日も肺癌の手術をしました。もう年だし、しない方が良いんでしょうが。あんまり出しゃばるのは良くないから、なるべく若い人に任せようと思っています。

 有田に縁はなかったのですが、僕は隣接地である佐世保の出身です。だから同級生とは会いやすくなりました。それで同級生やその家族の手術をここでだいぶしました。今もそういった人に頼まれれば手術をしています。佐世保に大きな病院がいくつもあるのに、こんな田舎に来てくれるのはありがたいですね。


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