ガラパゴスの亀でいい
日本方式の携帯電話が外国で不評だとの理由で、日本はガラパゴス化(孤立した進化)していると、自国を揶揄する評論が躍ったことは記憶に新しい。短い時間で見ればもっともらしいが、長い時間で見たら、浮世絵をはじめとする日本独特の芸術はガラパゴス化ゆえに誕生したものである。寿司、醤油に代表される日本の旨味、優雅な立ち振る舞い、着物なども島国=ガラパゴスの中で生まれて熟成し、今も外国人の目をとらえて離さない。古人はこれらを、自分と身近にいる庶民のために生み出した。
自分と身近な人のためにていねいに、楽しく快適に、という日本人の発想は今も失われていない。電化製品や自動車は言うに及ばず、漫画やコスプレに代表されるサブカルチャー、便座が温かくて湯の出る便器、軽快に2足歩行するロボットなど、どれも外国を意識して生まれたわけではない。
ガラバゴス化を日本人は誇りに思うべきだ。そしてそこに磨きをかけなければ、ガラパゴス化の恩恵を受けられなかった幾多の国の中に埋もれていくだろう。ガラパゴス化してこそ日本なのだから。「日本の常識は、世界の感動」だ。(川)