医療の進歩と、死生観の大切さ

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長崎労災病院 院長 横山博明

少し早めに病院に着いて1階受付前のソファに座っていたら、館内に女性のアナウンスが流れた。「救急搬送のため、まもなくヘリコプターが屋上に着きます。風と音にお気をつけください」。13時26分のことだった。外に出て空を見上げると、遠方上空に小さな機影が現われ、弧を描きながら大きな音とともにぐんぐん降りて来て、頭上を横切って屋上に消えた。横で85歳の男性もその様子を見物していて、「おとといにも来た」と言った。彼は81歳の妻が股関節治療で入院しており、毎日のように見舞いにきているそうだ。あとで横山院長に聞いたら、ドクヘリが来るのは年に50回くらい。離島と県北からが多く、整形外科関連の外傷と脳卒中の患者が多いとのことだった。

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【Profile】 横山博明
脳神経外科専門医/日本脳卒中学会専門医
1947 高知県生まれ。長崎大学医学部卒
1973 長崎大学医学部付属病院勤務を皮切りに、山口県立中央病院、米国ウィスコンシン大学病理学教室留学、長崎大学医学部脳神経外科講師を経て
1982 長崎労災病院脳神経外科部長
2001 同副院長。2009 同院長に就任し現在に至る(同院勤労者医療総合センター長、同脳卒中センター長を兼務)。

趣味は舟釣り。年に2回ほど友人の所有する舟で一緒に沖に出ている。 「高知より長崎のほうが魚はおいしいですね」と話す。

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ドクターヘリでの搬送先は、当院のほかに長崎医療センター、長崎大学病院、佐世保総合病院、北松中央病院などです。昔は自衛隊のヘリを使っていましたが、機体が重くてどこにでも降りられるわけではなかったのです。それで長崎県が予算を出してドクターヘリを購入しました。当院が新しく建て変わって屋上にヘリポートが出来たばかりのころは、年に1回か2回でしたが、救急医療のためにもドクターヘリが運用されるようになってから増えましたね。

院長になって4年が経ちますが、当院は長崎大学の医局からの若いドクターも多いので、救急の患者さんはなるべく診てもらうようにしています。急に容態の悪くなった患者さんを落ちついて診ることができるようになったら、大抵の現場はこなせるようになりますから。

当院は昭和32年に、北松炭田の労働災害に備えて、3診療科、100床で開設された病院ですが、今は中規模急性期病院として、その役割を担っています。整形外科では年に2千件以上の手術をしていますので、手術症例が多いことは若いドクターにとって魅力でしょうね。また内科系もがんばっており、心筋梗塞などの救急にも今後ますます力を入れていく予定です。

―医療の急速な進歩は、よろこばしいことですが、最後に人はどこに向かうのだろうと思うことがあります。

40年あまり脳神経外科をやっていますが、最近は高齢の患者さんが多く、現在脳外科病棟に入院されている患者さんの半数は70歳代です。重傷で高齢の入院患者さんの場合、心肺停止の際の措置について、本人が元気なうちに延命治療を受けるか否かの意思表示をしていればよいのですが、そのような患者さんは少数で、ほとんど家族の希望に託されます。そのような現場に立ち会った時、元気なうちに本人が希望を書いておいたほうがいいと、つくづく思いますね。私は65歳ですが、中国の唐時代の古典には「古来稀なり」と、70歳まで生きた人は稀だったと書いてあります。だからそろそろ私の希望であるリビングウィルを書きたいと思い、妻ともあれこれ話しています。子供たちもある程度私の気持ちを分かってくれているようです。

私個人は、「どう最期を迎えるかは自分で選んでいい」と思っているんです。こういったことを以前、会報に書いていますし、4月には龍谷大学の教授を市民公開講座にお招きして、仏教と終末についてお話しいただく予定です。医者が人の命を助けるために尽力するのは当たり前ですが、手塚治虫の「火の鳥」にもあるように、永遠の命が果たして幸せなのかどうか、親―自分―子―孫と順番に亡くなるのが自然の摂理ですからね。とはいうものの、90歳が近い高知の両親は共に元気で、実は未だ死について話したことがありません。

―高知と長崎といえば坂本龍馬が思い浮かびます。

長崎の人は、長崎が天領だったせいか、本当に人がいいですね。それに、九州から出たがらない人が九州には結構います。坂本龍馬は私と同じ高知県出身ですが、「龍馬がゆく」(司馬遼太郎著)が出るまでは、そんなに有名ではなかったんじゃないかな。

―「明日の医療」という観点で日本の医療をどう見ますか。

近年、医療へのニーズがとても厳しくなり、入院したら元気になって家に帰るのが当たり前のように思われがちです。しかし高齢化社会ではそうならない患者さんもたくさんいることを理解していただきたいと思います。それと、できれば皆さんに、自分の最後の迎え方について書いておいてほしいですね。


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