地域医療の未来像を津久見から

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

津久見市医師会立津久見中央病院院長 / 大分大学医学部臨床教授  桑原亮彦

津久見中央病院は、津久見市医師会立の病院で、津久見市唯一の病院だ。同じく医師会立の老健「つくみかん」や医師の宿舎を兼ねる検診センターとは、渡り廊下で繋がっており、病院自体が医師会館を兼ねる。向かいに医師会の訪問看護施設もある。津久見湾とみかん山に挟まれた、絶好のロケーションだ。もうそろそろみかんの花の良い香りが一面に漂う季節だと、津久見市医師会の朝生剛次事務局長(津久見中央病院事務長兼務)が教えてくれた。

42.jpg

【Profile】
1979 鹿児島大学医学部医学科卒業。九州大学医学部第2外科に入局し、国立別府病院研修医
1980 九州大学医学部附属病院第2外科研修医
1981 福岡市立第1病院外科医長
1982 大分医科大学第1外科(講師)
1991 津久見市医師会立津久見中央病院副院長
1994 大分赤十字病院外科
1995 愛寿会杉村記念病院副院長
2004 明徳会佐藤第一病院副院長
2005 津久見中央病院院長
日本消化器外科学会認定医 日本外科会専門医

―外来カウンターが立派ですね。

他の医師会立病院は通常閉鎖式で、一般外来はとりませんが、この病院は市の補助を受けた関係もあって、一般の外来を受け付けています。大分県の医師会立病院で一般外来をとるのは津久見だけです。内科・外科・小児科・整形の常勤と、非常勤で耳鼻科・泌尿器・皮膚科・呼吸器をやっています。市が小さいので、今は耳鼻科や泌尿器科で開業されている先生がいらっしゃらないんですよ。そういう現状から市民の要望もあって、外来をやっているという感じです。それで大分大学から先生に来ていただいています。

津久見は大分でいちばん人口の少ない市ですが、医師の数も不足しています。高齢者が多く、病気が多岐にわたりますから、この病院の役割は小さくありません。総合診療を学ぶには良い環境ですが、専門をやりたい先生には向かないですね。

小さな町ですが、私たちの外科は去年200例くらい手術をしています。院長になる前を含めると11年くらいいるから、この病院で2千例以上やっているでしょうね。

―消化器外科が専門と聞きました。

はい。今は私以外に2人、外科医がいます。医師は全部で11人です。もう1人外科医がいるんですが2月に検診センター長に就任しました。それで外科が3人、内科が4人、小児科1人に整形2人になります。大分大学の方から日曜日の当直と、透析を手伝ってもらっています。それでなんとかギリギリ回っている感じですかね。

「近隣との連携で難題は解決できる」

―臼杵市医師会立のコスモス病院と連携していますね。

当院もコスモス病院も外科が3人づついるんですよ。ですが、それぞれの専門が違うんです。自分の専門以外の患者さんが来た時に、自分達に難しかったら大分大学に送るようにしているんですけど、臼杵にはその専門の先生がいる場合もあります。臼杵から津久見を見た場合でもそうです。それで、お互いの得意ではない分野をカバーするために、緊急性や専門性の高い手術を合同でするようになりました。また月に一度、6人で症例検討をやっています。もう3年続いています。

私の同門である大分大学地域医療学センターの白石憲男教授をコーディネーターにして、両市医師会の委員の先生たちが、3か月に一度集まりながら連携を進めています。またお互いの事務長も頻繁に交流しています。両医師会立病院の外科は6人全員が大分大学第1外科の出身者ですから、全員仲が良くて連携がやりやすかったんです。私も大学は違いますが10年近くいましたし、その間に卒業した後輩の医師もいますから。今は外科でのみの連携ですが、内科や救急でも進めるべきだと考えています。地域医療に問題はたくさんありますが、協力すれば解決する問題もありますからね。「人手が足りない時に近隣と組む」という方法は、今後の医療を考える上でモデルケースになるんじゃないかと思います。ドクターをそこに常時たくさん置いても、仕事がないわけですから。大分大学の北野(正剛)学長にも推奨していただいています。私は日本の地域医療の将来をうらなう意味でも、なんとか臼津連携を実現していきたいと思っています。

―どうして医者に。

祖父も父も医師で、高校2年生の冬までは建築家になりたいと思っていました。ところが兄貴が医者を継がずに、工学部に行っちゃったんです。それまで「どこに行っても良い」と親は言っていましたが、突然医学部に行きなさいと言いだしました(笑)。でも医師になってから後悔したことはないですね。

実家は耶馬溪で、親父が26から86まで60年間開業医をやっていました。あとを継げという話もありましたが、実家は内科で僕は外科なので難しい。帰れば手術もできませんし、逡巡しているうちに父が亡くなってしまいました。2年前のことです。実家は父が亡くなって閉院しました。

実はすでに閉院していると思っていたのですが、休院だったらしく、中津市医師会から怒られたり、注意を受けたり。手続きが大変で、朝生事務長にはだいぶ迷惑をかけました。(「大変でした」と朝生事務長)

僕には「閉院した」と言ってたんですけどね。面倒臭かったのかも知れませんね。法的なことも分かっていたでしょうから、ズルズルきてたんでしょうね。

父を見ていたから開業医の先生の苦労が分かります。父は夜呼ばれて往診したり、休日も仕事をしていました。津久見の先生方の負担を減らすためにも、この病院をしっかりと運営していかなければならないと考えています。ただ、この病院のドクターの負担も増やすわけにはいきませんから、難しい問題です。特に今後は救急が課題になると考えています。病院が一つしかないということは救急車が直通で来ますし、難題です。大分市に全部送れば済む問題ではなく、大分県全体で考えなきゃならない問題だと思います。大分市自体も手一杯ですし、近隣の地区で輪番制にするなど、何か手を考えなければいけないと思っています。

―趣味はなんですか。

ないんですよ。強いて言えばゴルフで、20歳くらいからやっています。適度にやる分には他の医者とコミュニケーションも取れるし、体にも良い。父が長生きしたのもゴルフだと思います。

ほかは、魚釣りを始めたいかな。子供のころは川釣りが大好きでしたが40年以上やっていません。津久見は海に面しているし、時間が出来たら釣りに行きたいですね。


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2018年8月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 83.古生物学者、妖怪を掘る 鵺の正体、鬼の真実
古生物学者、妖怪を掘る 鵺の正体、鬼の真実

Twitter


ページ上部へ戻る