福岡市医師会会長 江頭 啓介
福岡市医師会長の江頭でございます。年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
さて、昨年も経済や外交情勢の悪化とともに、政局の混迷に国全体が翻弄された一年でした。昨年11月の電撃的な衆議院解散を受けて実施された衆議院選挙では、自民党が圧倒的な勝利を収め、約3年ぶりに政権に返り咲きました。とりわけ社会保障に関しては、あるべき姿の実現と安定的財源の確保に向けて、自公民3党の合意により「社会保障と税の一体改革」関連法案が可決・成立しておりますが、今後、与党が打ち出す社会保障・医療政策に対して我々医療従事者は注視していかなければなりません。新政権には、是非、長期的視点に立った社会保障・医療政策の道筋を定めていただきたいと考えております。
今世界は政治、文化、経済などあらゆる面で大変革の時代を迎えていますが、この様な時代において我々医療従事者はどのような役割を果たせるでしょうか。
人口減少、高齢化、産業構造の変化により、地域社会は変容し、自助・互助・公助で助け合い支え合う日本の美徳が壊れてきています。我々医療従事者は、医療・保健・介護・福祉の全体を見据え、主体的、包括的に責任を持ちこれらに関わりながら活動しており、その中で一人一人が果たすべき役割をしっかりと自覚し、「地域医療」という公益活動へ参加することがより良い社会を作ることにつながるのではないでしょうか。
この活動は「地域包括ケア」そのものであり、これからの地域社会を再構築し、その集大成が国を元気にする原動力になると思います。まさに、think globally, act locallyです。
最後になりますが、今年の干支は癸巳( みずのとみ) で、動物は蛇が充てられています。医師会のシンボルマークにも使われている蛇は医療・再生・知恵の象徴であり、我が国では富の象徴とも考えられています。
本年が景気回復、社会保障の更なる充実への始まり( 再生) の年となることを願いますとともに、皆様方にとりましても幸多き年でありますよう心より祈念申し上げます。