不器用だからこそ身につくんだ

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熊本市医師会ヘルスケアセンター 明石隆吉所長

昭和52年 久留米大学医学部を卒業し、熊本大学医学部第一内科に入局。熊本労災病院、熊本地域医療センター内視鏡検査部長を経て、平成17年熊本市医師会ヘルスケアセンター所長に就任、現在に至る。
■熊本大学医学部消化器内科学臨床教授

熊本市中央区本荘は医師の街である。その街の一角に熊本医師会ヘルスケアセンターはある。3階は熊本地域医療センターと名づけられた市医師会運営の病院とつながっており、2つの施設が連携していることは内情を知らずとも明らかだ。そしてこれらは、開業医を助けるための病診連携施設という側面を持つ。

今回の取材はヘルスケアセンターの、肺癌検診のデータを保存しておくための部屋でおこなわれた。膨大な資料が大切にしまわれ保管されている。それらを見上げるだけでも、この施設の存在意義がよく理解できた。

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談笑する明石所長(右)と庶務課長補佐の藤山真一さん。「仲良し2人組」とは書かないでくれと、2人から念を押された。

―ヘルスケアセンターとは何なのか、簡単に教えてください。

市の医師会が作った検診目的の施設だね。武見さん(第11代日本医師会会長武見太郎氏)が全国の医師会に検査センターと独自の病院が必要だと発言され、社会的な状況もあって、地域医療センター(医師会病院)に先んじて建てた。ERCP(=内視鏡から造影剤をいれて胆管・膵管を造影する検査)が確立されたころかな。

当初は人間ドックなどを受け持ち、医師会の会員が受け持つ検体はすべて検査する、という目標だね。こちらで収益をあげることができたので、地域医療センターを建てることができたという経緯があるわけ。市の委託を受けて集団検診、学童検診なんかをやっててね、市内の小中学校の心電図や検尿、脊柱側弯はすべてここで検査しているね。小学生の生活習慣病予防健診にも力を入れているよ。

(「検尿と心電図に関しては全国でも有数の水準にあります」と藤山さん。心臓と腎臓に関しては、市内の専門医が一同に集まり、精密検査を実施されるのだそうだ。そして子供たちが卒業するまでデータは経年管理されるという。「トップクラスの検診を子供たちに受けさせる風土がありますね」)

そもそも熊本は先進的なことをやろうという風土があるんだ。行政と医師会と基幹病院や専門医が三者で協力してやるのが熊本式の原点なんだが、その中でも特に小児科が有名だね。熊本の児童はこうやって検査を受けているから、突然死がほとんどないし、仮にあっても蓄積された検診データを徹底的に調べるね。脊柱側弯も早期に発見するし熊本市は他に比べて、手術する子供の割合が少ないよ。医師会ならではの社会貢献だね。

ヘルスケアセンターの今後の課題についても話しておこう。

大腸癌検診に関しては、個別化がすでにできている。潜血反応キットを市内で開業する病院で統一したからね。先日『大腸がん健診受診率向上のための「特定健診を利用した大腸がん健診受診個別化」の試み』という論文で、生活習慣病学会賞をいただいたんだよ。精密検査を受ける人を増やすのが課題だな。

内視鏡学会の論文では増えていると報告されているが、僕の周りでは胃癌検診も受診率が下がっているし、これも将来的には対策が必要だな。ペプシノゲンとピロリ感染を同時に検査すると、発見率がものすごく高くなるので、行政にはよく考えてほしい。これも採血なので、個別化ができるようになると思うね。あと、糖尿病検査の自己採血にも力を入れていきたい。この2つも今後の課題だな。

―どういった経緯でヘルスケアセンターの所長になられたのですか?

僕は7年前まで地域医療センターにいてね。そこで昭和60年ぐらいから常勤で内視鏡をやっていたんだけど、内視鏡医をする医者がいないということでこちらに転属という感じだなあ。

(「所長のなり手を探しておったんですよ」と、隣の藤山さんが説明)

今も内視鏡治療は隣りの地域医療センターでやるけどね。今はおもに対策型や任意型検診の方の大腸癌を早期発見することが、内視鏡医としての仕事だね。

―症状を自覚していない人を診るのは難しいのではないでしょうか。

病片が小さい場合が多いからそうだね。とはいえ今の日本の内視鏡はかなり発達してるから、早期に発見される人は多い。だから、進行癌の大きいものが見つかる、というケースはずいぶん減ってきたね。40くらいの年齢になったら検診は受けるべきだなあ。早期発見で死亡率はぐっと減らせる。

―消化器がご専門という話ですが、何かきっかけがあったのでしょうか。

僕は久留米大学の出身なんだけど、当時久留米の循環器はすごい有名でね。僕も循環器に入局しようと思っていたんだけど、熊本市内で開業していた親父が早死にしてね。それで帰ってきて熊大に入局したわけ。別に何も興味はなかったんだけど、消化器の方にね。

京大の川井啓市先生や杏林大学の相馬智先生と、乳頭切開を確立した熊大出の藤田力也先生という人がいてね。今は退官されたが、東大の病院にいた。この人を頼って新町(=熊本市中央区の町名)にある服部胃腸科の服部先生が勉強しに行ったんだが、この服部先生が僕の師匠筋だね。だから僕は藤田先生の孫弟子になる。操作だけなら今はコロンモデルがあるから良い練習ができるが、それでもちゃんとした師に恵まれなきゃならない。僕は恵まれたよ。

(「先生も後進の指導には熱心なんですよ」と藤山さん)

昔は全国からERCPを習いにきていたなあ。当時は地域医療センターが症例数で全国一だった。人に教えることによって、新たな気づきに達することもあるね。

―先生の検査は痛くないと聞きます。内視鏡に巧くなるコツがあるのですか?

僕は手先が器用ではなく不器用。でも不器用な医者ほどこういうのは得意なんだよ。不器用なヤツほど、1つのことを懸命にやらなきゃならない。だから巧くなる。要領の良いヤツが10回で覚える内容に千回の練習が必要な不器用なヤツは、いざ身に付いた時の鋭さが全然違う。不器用なりに修練を積み重ねた者が、数年経てば必ず上手になる。

僕は内視鏡にしか興味がなかったから数はやっているね。遠隔操作が知恵の輪を解くようで、検査自体が楽しくなった。それと、1度に10例も20例もまとめて検査しないと上手にはならないな。


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