「医療を通じて公に一肌脱ぐ」

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健康保険熊本総合病院 島田信也病院長

「熊本を代表する都市にある病院として、それに相応しい名前を」と、八代総合病院から「熊本総合病院」に改名したと語る島田信也病院長。新病院の建設が急ピッチで進んでいるが、新病院までの道程は平坦なものではなかった。

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【Profile】
1980 熊本大学医学部卒
1988 米国NIH 国立癌研究所
1993 熊本大学医学部第二外科助教/講師
2005 熊本市民病院病院外科部長
2006年10月より現職受賞=2005文部科学省新医療技術開発賞特許=消化管吻合部狭窄治療機械(特許庁第3617019 号)

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当院は社会保険庁が昭和23年に建てた病院です。八代ではもっとも古い公的病院で、市民の信頼に応えるために貢献してきました。

しかし平成15年に新研修医制度が始まって、医師が研修病院を自由に選べるようになり、医局からの派遣ができなくなりました。

歴史が長く、親方日の丸的な立ち位置でやってきた当院は、医師からの評判がよくないところがあり、医師の引き上げや退職が起こりました。

医師が減ることで仕事量が増え、疲労が重なって医師がまた減るという負のサイクルに入ってしまい、42人いた医師が25人にまで減少しました。その結果344床あった病床を100床閉鎖、閉院するのではという風評被害も起きました。

そんな中、全国社会保険協会連合会から、私に院長をやって欲しいと白羽の矢が立ちましたが、まわりの人は「あまりにも厳しいから行かないほうがいい」と言い、私も、行くべきではないと考えていました。

ところが、私の尊敬する先輩の医師が「お前で無理なら誰がやっても同じ」と言ってくれ、駄目で元々なら、という気概で院長に就任したのが6年前です。

着任した初日、病院からタクシーに乗ったら、運転手が「この病院で診てもらうのはやめた方がいいですよ。よそに買収されていますから」と言うんです。風評被害が本当にひどかった。そこで翌日全職員を集め、「6か月以内に閉鎖した病棟のチェーンを外し、必ず県を代表する優良病院になる」と伝えました。

手始めに、何週間もかけて八代医療圏にいる150余人の開業医を一人残らず訪ね、必ずいい医療を届けますと精一杯伝えると、先生方もこれに応えて下さり、次第に患者も戻ってきました。

また、職員との面接を2か月かけて行ない、夢を語り続けました。再建に懐疑的な職員もいましたが、この病院に勤めたおかげで子供を育てられたと感謝する職員も多く、「それならいっしょにがんばろう」と、意識改革とモチベーションを高め続けてきました。

さらに大学との連携を図るために、繰り返し熊大に足を運び、来たるべき病院の姿を伝え、院外広報誌でも巻頭言で私の思いを再三再四発信した結果、教授方にご理解を頂けて、整形外科と耳鼻科の誘致に成功しました。そして就任から6か月後には、実際にチェーンが外れたのです。

私自身も、医師たちが後に続くようにと願いながら、がんの研究論文を発表し、やがて「自分たちもがんばろう」という院風が育ちはじめました。

そして月の赤字がゼロ、その次の月は黒字、というようになってくると、「やれるんじゃないか。この病院はいける」と皆が思うようになって正のスパイラルが生まれました。就任した最初の月はさすがに赤字でしたが、それ以降の6年間はずっと黒字です。

就任2年目には、社会保険病院全52病院のうち、第3位の収益で、3年目には1位になりました。職員も達成感を覚えたからこそ、新病院構想に着工でき、今般の竣工を目前にできているわけです。

現在工事が佳境ですが、外観、インテリアともに基本的な部分は私が構想し、100年もつ建物を、という思いで設計しました。清水建設の全国衛生労働週間のイメージポスターにも採用されるほどで、ある技師は、「この会社に40数年いるが、最大の仕事」と言ってくれました。

建物は、ワシントンDCのNIH国立がん研究所に4年間いた時、街を散策した経験がヒントになっています。街の雰囲気や文化施設、行政、商業地が整然としているさまを見て、日本にもこんな建物があればいいのにと思いましたが、それを新病院で具体化できるとは夢にも思っていませんでした。

新病院は土地を有効活用するために低層階を5階、地上14階の高層階とし、鳩対策で面台を斜めに設計しましたが、結果的には機能美が造形美へとなりました。

医療を通じて公のために一肌脱ぐというのが当院のモットーです。それがやがていい国づくりにもつながるようにと願っています。


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