風を感じて

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鹿児島赤十字病院 松田剛正院長

「だいじょうぶ、道はあります。」

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【PROFILE】
1970 鹿児島大学医学部卒
1975 大阪市立大学大学院修了:医学博士
1975~77 ニューヨーク市立公衆衛生研究所留学(免疫学)
1977 鹿児島大学医学部第一内科
1982 鹿児島赤十字病院内科部長
2000 同病院院長

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花いっぱいの病院にしたくて十数年前にサクラの木を植えた。新入職員が入るころちょうど満開になるという。「最近もアジサイを植えたけど、なかなか難しいね」。

設立当時のサナトリウムとしての立地選定から、鹿児島市の南端近くに位置する鹿児島赤十字病院。リウマチ膠原病に重点をおいた診療体制を備える。

取材当日が誕生日だった松田剛正院長。5年越しの新病院計画も着工段階に入り、2014年の完成を見込む。就任して12年、「システム作りは楽しいですね」と語る松田院長に、病院のこれまでと将来を聞いた。

リウマチの専門施設を作るため1982年にこの病院にきました。当時はそういう施設がなかったことと、結核の療養所を前身とするロケーションを活かすためにも、リウマチ膠原病を特徴として打ち出しました。

当時の院長に、看板だけでも掲げさせてくれと掛け合い、リウマチセンターを作ったのをきっかけに、リハビリ施設、整形外科(関節外科)を作り、一通りの治療はもちろん、リウマチ膠原病患者が入院できる県内唯一の専門病院となりました。

時代と共に医療制度が様変わりして、連携の名の下に、一つの施設で医療を完結することが少なくなってきました。リウマチ疾患が悪化したときは急性期疾患になるけれど、通常は慢性疾患に分類されるので、そういう中で、この病院を存続させるためにも急性期病院として歩むことを決めた。急性期かそれとも慢性期に向かうかの選択は第一の曲がり角でした。

2000年に院長になり、経営の立て直しを始めました。リウマチに特化してからの病院経営は右肩上がりだったが、慢性疾患だけを扱っていると、だんだん経営が悪くなってくるのです。そこで急性期病院への転身と、新たな診療科を設けることが第二の曲がり角でした。

この地が鹿児島市と指宿市の中間地点にあり、当院を過ぎた辺りから脳外科疾患の患者が急変する例が多いことから、大学の脳外科からここで疾患をとめてほしいとの要望に応えて脳外科を新設。さらに日赤病院として、災害救護が使命であり、南薩方面の災害拠点病院としての役割にとどまらず日本全国に派遣し、そのために、医師、看護師の育成のために年間十数回の訓練をしています。災害救護のためにも、救急医療をする必要性があり、脳外科を端緒に救急医療に入り、さらに整形外科(関節外科)の中に脊椎外科を設けました。来年からは循環器も加わります。

脊椎外科には県内全域から患者が来ます。これは脊椎外科の武富栄二副院長の指導力の賜物であり、複雑な手術や、よそで手術をしたが調子が良くないという患者を診ています。手の外科も含め、県内ではここでしか治療できないという特徴は出せています。

当院の役割の1つに、鹿児島という地域特性から来る離島・へき地医療があり、トカラ列島の三島と十島を担当しています。私も若い頃は大学から派遣で屋久島に行きました。同世代の鹿児島の内科、外科の医師は大体経験されているでしょう。

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病院の未来を、400mのトラックによく例えるんです。勢いよくスタートして第3コーナーまではなんとか来れたけれど、直線100㍍でどう生き残っていくのかが現在の病院。最後の100㍍は2014年完成予定の病院が担うことになりますが、完成したら私は定年になるので、あとは若い人たちが走りやすいように、新病院も若い人たちの意見を多く取入れています。

救急医療を前提にすれば、脳外科、整形、循環器があるので、あとは外科が欲しいところです。また、医師会で救急担当の理事を務めているので、公的病院だけに頼るのではない救急医療をやろうと考えています。救急医療は大変だけど、職員全員の意識を変えるものであるし、取り組まないと活動的な病院として生き残れないでしょう。

今回の新病院では実現できませんでしたが、鹿児島の医療に必要なのはドクヘリでしょう。先月号で指宿病院の田中康博院長の記事を読んで、先を越されたと思いましたね。当院の場合は近くの県ヘリポートで代用できるにしても、院内ドクヘリは今回の新病院では叶いませんでした。ヘリも含めた未来への病院計画は作ってあるので、次代の人に活かして欲しいと思います。

想定外のことはたえず起ります。全体からするとまだ問題はありますが、でもある時、風を感じますね。追い風もあれば逆風もあり、風が止むこともある。全ては変化していくので、職員にはやりたいことをさせるのが一番かなと思います。赤十字は各病院が独立採算で、うちのような病院はますます厳しいでしょうが、大丈夫、なんとか道はあります。

趣味は日曜大工です。
自宅の周りの竹やぶも開墾したり、アウトドア好きも高じて、シーカヤックにはまったり、さらにその延長でログハウス作り。友人の山に出かけてチェーンソーで木を切り倒すところからはじめました。中断しながらもようやく窓が完成したところです。取りかかって10年以上経つので今年中には完成させたいのに、その矢先に医師会の理事になったので予定がくるいました。

でもログハウスは建てるのは目的じゃなくて、そこで薩摩琵琶を作りたいんです。鹿児島の伝統工芸なのですが、作る人がいません。5年ぐらい前に先生に弟子入りして作っていたんですが、この前亡くなりました。でも、指導のもとで2つ作れたので、今後も作っていきたいですね。

私の若いころは研修医制度の走りで、自分でカリキュラムを組んで病院を回りました。その後、大学院に進み、アメリカで免疫を学んだ後、大学病院でリウマチ膠原病の患者を診ていた時にちょうどこの病院に来る機会を得たので、大学の外へ数年出るくらいの気持ちでしたが、長くなりましたね。

いろんな人たちが協力してくれて、システム作りから病院を変えていくという楽しみはありました。先頭を走っている人はあまりストレスを感じないもので、後ろを走る人が感じるものです。でも、管理者としては啖呵を切りたいときもないこともないです(笑)。


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