【投稿】持論「交感神経過緊張症候群」について

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九州記念病院 岡山洋二

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【PROFILE】
熊本県宇土郡三角町の半漁半村の寒村で、軍医上がりの父の医院開業から3年目の昭和24年に生まれ、現在63 歳。5歳のころに熊本市の外れの加勢川の辺の中の瀬に医院を引っ越し、画図小学校、8歳時に熊本市水前寺の現在地に再度医院を引っ越して、出水小学校から出水中学校、熊本高等学校、3浪後にやっと熊本大学医学部に入学して3留後やっと卒業して熊本大学医学部整形外科教室入局、昭和60 年より九州記念病院に勤務し、13 年前に父の死去後、医療法人社団岡山会理事長、現在に至る。趣味は卓球、ボーリング、将棋3段、囲碁少々、コンピューター・プログラミング約30 年、物理学基礎理論(約40 年来の素光子説)

1990年頃から、腰痛症と呼ばれるゴミ溜的な病名(症候群)およびぎっくり腰の大半は、仙腸関節の疼痛に違いないと思う様になりました。そこで、仙腸関節とおぼしき部位に局所麻酔剤等を注入して、同部の疼痛を改善出来ることを実証してきました。下肢の疼痛やしびれ感は神経症状であるとの従来の一般常識に従い、この様な症例の場合は脊椎外科専門医に治療を依頼して来ました。数年前に仙腸関節由来の下肢の疼痛等の不定愁訴に関する論文に出会い、従来の神経障害一辺倒の考えを修正する切っ掛けとなりました。局注の結果を注意深く観察することで、局注後の症状の改善が注射部位である腰部に限らず下半身全体に及ぶ事を確認するに至りました。他の文献及び自験(仙腸関節造影の試み)により、仙腸関節内への刺入は簡単には行えない事を確認しました。これまでの仙腸関節内注入のつもりで行った来た手技が、全て関節外の局注(俗に言うトリガー・ポイント・ブロック)に過ぎなかった事を確認する事となりました。仙腸関節内注入として長い間信じて実践して来ました手技(実際は、仙腸関節近傍の局注)で、臀部や尾骨部の疼痛、さらには股関節(陰股部)周囲の疼痛も同時に改善する事を経験しましたが、仙骨裂孔よりの硬膜外ブロックと同様に、神経自体のブロックの効果であろうと一時期は解釈していましたが、同部位に末梢神経の本幹が存在することは無く、大きな疑問でした。新しい文献にて、同部に神経終末が豊富に分布している事を確認しました。これまでの仙腸関節近傍の局注で、下肢が熱く感じる様な症状が出現する事を確認し、同時に血圧の低下も伴う事を確認しました。そこで、局麻剤の局注により、何らかの機序にて末梢動脈が拡張し血行が増加して組織の体温が上昇した結果であると解釈しました。交感神経が動脈の血管壁の平滑筋の収縮を司っている事により、交感神経の作用をブロックする事で、血管が拡張して血行が増加して下肢の皮膚温が上昇したり血圧が低下によるという解釈を得ました。そこで、従来とは異なる新しい概念のトリガー・ポイントへの局麻剤の局注により、血管が拡張し血行が増加する事を発見した事となります。

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仙腸関節近傍の局注は、近傍の知覚神経のブロックによる神経痛を改善しているという従来からの常識の線上ではなく、専ら交感神経をブロックして支配血管を拡張し、血流が増加することで、阻血状態による症状(阻血痛)が改善するのではないかという結論になります。なお、例えば仙骨裂孔からの硬膜外ブロックに於ける知覚神経の麻酔効果はせいぜい数時間ですが、ブロック直後の血圧の低下及び数日間の疼痛改善効果が認められる事から、真の効果は近傍に存在する交感神経の作用をブロック事であると考えます。これと同じ機序で、頚部のトリガー・ポイントへの局注で、頚部交感神経節(星状神経節)のブロックと同様に、頭部や顔面を含む上半身の血流が改善する事で不定愁訴が改善する事を確かめ、臨床に応用しています。組織の支配血管の血行が低下すると、支配組織の酸素欠乏状態や栄養障害が生じる事になります。酸素欠乏状態で惹起される症状として、組織の栄養血管の内皮細胞で産生されるブラディキニンによる近傍の知覚神経の自由終末の刺激による疼痛やしびれ感(異常知覚としての過敏状態)が出現する事となります。また、緩徐な組織の栄養障害が長期間持続する事で、組織の機能障害が緩徐に増悪する事が推測されます。何らかのストレスを契機とする交感神経の過緊張状態が生じて末梢の支配動脈が過度に収縮し、血行が障害される事がこれらの病態の大半の原因ではないかとの推測から、交感神経過緊張症候群という新しい範疇の疾患群を提唱しています。RAを始め病因が未解明の多くの難病や俗に老化現象の表れと考えられている全身の諸々の組織の病態は、長期に渡る緩徐な血行障害が原因ではないかと推測し、臨床の場で治療効果が実証されつつあります。これまでの臨床の場で効果が認められた疾患を列挙します。

(1)整形外科疾患肩関節周囲炎(五十肩)及び進展した病態と考えられる変形性肩関節症、頚肩甲部筋肉痛(俗に言う交通事故による鞭打ち症が典型例)、腰殿部筋肉痛、上肢各部の疼痛やしびれ感や関節の拘縮状態(各種の腱鞘炎、肘部管症候群、手根管症候群、ギオン管症候群)、股関節周囲炎(五十肩の股関節版)及び進展した病態と考えられる原発性股関節症、膝関節周囲炎(五十肩の膝関節版であり膝窩筋腱炎や鵞足炎や膝蓋腱炎等)及び進展した病態と考えられる原発性膝関節症、下肢各部の疼痛やしびれ感(俗に言う坐骨神経痛の大半、足底腱膜炎)、骨粗鬆症、関節リウマチ、反射性交感神経性ディストロフィー(交感神経の過緊張状態の悪循環の極限状態)

(2)耳鼻科疾患三半規管障害に依るめまい症状(メニエル病)、蝸牛神経の障害に依る耳鳴、聴力障害

(3)眼科疾患外眼筋の疲労に依る眼精疲労、網膜の機能障害に依る視力障害、白内障、血行障害が原因と考えられるぶどう膜炎(推測)

(4)中枢神経疾患鬱病(交感神経の過緊張状態の悪循環により惹起される重度な一部の脳血行障害)、アルツハイマー型認知症を含む各種の認知症、パーキンソン病、各種の変性疾患、パニック障害、統合失調症

(5)バリアー(膜)機能障害
皮膚のバリアー機能障害により惹起される各種皮膚疾患、腸管のバリアー機能障害により惹起される消化器疾患(胃炎、胃十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群等)、間質性膀胱炎、気管支疾患(気管支喘息、慢性気管支炎等)、各種の動脈炎や動脈硬化症等

以上のレポートの全文は、九州記念病院のホーム・ページの下記のURLにあります。http://www.kkh.jp/ronbun/SacroIliacJointInstability.htm


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