9月27日夜7時から、呼吸器科病棟の一室で始まった262回目の勉強会。
この日も高山医師は家族に、「今夜は患者さんのために遅くなるから」と言って家を出た。ほぼ毎週のことである。そして夜の1時間、肺がんの治療をしている7人に講義をした。
前半の30分は中西洋一教授の作成した「肺がん治療を受けるために」をテキストに、毎回同じ内容を繰り返し、残りの30分が週替わりのテーマ。この日は、かかりつけ医との連携について話した。
講義が終わって、3人から、いま使っている薬の感想や質問が寄せられ、高山医師はていねいに返答していた。
参加者が去ったあと、こんなに長い間続けている理由を問うと、「患者にはそれぞれ主治医がいるが、1対1では医師と患者双方の息が詰まる。自分の存在はセカンドオピニオン的な立場になる。若い時には分からなかったが、病棟の責任者だった時にそう気づいた」と語り、「地域のかかりつけ医と病院の主治医、そして私の3人体制で肺がん患者をうまくサポートしたい」とも述べた。
前半の30分が毎回同じ内容なのは、「繰り返し説明しないと覚えにくいから」と高山医師は言い、さらに「医師がどんなに誠意を持って接しても、医師自身は、がんの痛みや抗がん剤の副作用による苦しみを、実際には知らない。対話相手としては、医師よりも、同じ肺がん患者のほうがふさわしいかもしれない」と話し、現在、院外の中立な立場のインタビュアーに依頼し、肺がん患者の声を聞き取っている最中だと言った。20人が目標だという。
最後に、肺がんというきびしい病気を相手に、生と死の狭間に足を踏ん張って立っているのはなぜかとの質問に、高山医師は、誰かがやらなければならないこと。立ち続けていたら、いつか明かりが見えてくるかもしれない、というニュアンスの返事があった。(川本)
一般参加も自由。諸事情で休む週もあるので、【医局】TEL:092-642-5378にあらかじめ確認して参加すること。