現場の感じ方を大切に

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熊本大学医学部附属病院 猪股裕紀洋(いのまたゆきひろ)病院長(59)

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1977―京都大学医学部卒業 医学博士(京都大学)
1979―大阪赤十字病院医師
1983―国立小児病院レジデント
1987―京都大学医学部附属病院助手
1991―アイオワ大学外科留学
1995―京都大学医学部講師
1996―同助教授
2000―熊本大学医学部付属病院小児外科教授
2009―同院長

昨年の東病棟の完成により、消化器、循環器、呼吸器、乳腺や婦人科疾患、小児といった臓器や疾患対象による機能的な病棟構成が完成。HCU(高度治療室)やSCU(脳卒中ケアユニット)の新設、MFICU(母胎集中治療室)の設置に伴い、熊本県から総合周産期母子医療センターの認可を受けた。今年は近い将来の病院の顔となる外来診療棟新設の着工が控える。

熊本大学は伝統的に基礎的な学問を重視してきたことから、研究に裏打ちされた臨床を行なってきました。それぞれ診療科が歴史の蓄積を経た独自性のある診療を行なっています。法人化されて、ある程度経営も考えねばならないので、独自性を出しつつ研究もというのが現状だと言えるでしょう。HIV研究で顕著な成績を上げていることが有名ですが、多くの領域に渡る疾患も診ています。

医療人の育成と、次世代への新たな先進医療開発を進めることが大学病院の使命ですが、なお日常業務で汲々としている状態があります。そこで、国の施策の一環である医師の業務分担に力を入れ、コ・メディカルの増員に力を入れてきました。医師が非常に忙しく処遇も厳しいが、国立大学病院では増員や給料をあげるのも難しいからです。数年前までは医師が車イスの患者を運んだり、レントゲンを撮る状況だったので、看護師を50人増員したり、正職員化を図るなどして負担の軽減に努めてきました。医師たちが一番実益を感じているのは、病棟や外来に配置したドクターズクラークの存在でしょう。診断書の記載など、事務作業の補助が可能となっています。

院長になってから4年目に入りましたが、寄附講座の特任教員や、診療助手などが増加してきました。非常勤医員が減ったという意味では処遇改善につながっていると思います。ただ、医師の定員が増えているわけではなく、県や企業の寄付講座もおよそ5年が目安なので、その後が問題かもしれません。病院・大学としては人を増やしたくても難しいので、外部資金に頼らざるを得ないという実情もあります。

昨年の病棟移転を契機に、病院情報システムも一新して完全電子カルテ化しました。最初は入力に手間ばかりかかると不満の声もありましたが、最近は慣れてきたようです。電子カルテは記録の保存性や視認性、情報の共有でのメリットがあるので、不断に改修を続けて効率的な運用をしていきます。

これまでは経営的にギリギリの状況だったため、様々な施策を制限せざるを得ない状況でしたが、診療報酬の改定でようやく一息つけました。恒常的に運営資金が削減されてきた中で、一度振り出しに戻れたわけですが、平成26年の改定でどうなるのかというところです。昨年度は経営状況がやや好転したことにともない、医療機器の新規導入・更新などに努めました。大学法人は経営がどうなっているのかわかりにくい部分がありますが、ある程度病院の裁量で使えるお金があるのは事実なので、ダヴィンチやハイブリッド手術室は導入を決定しました。

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8月から着工する新外来診療棟の完成イメージ図 提供=熊本大学医学部附属病院

現在2期目で、やりたかったことの半分ぐらいは達成できたかなと思います。診療をしながら院長も務めるのは思っていた以上に大変でした。専任院長になれば経営や運営に専念できますが、やはり診療現場での生の感じ方が大切だと思っています。

地域医療は、熊大としてさらなるサポートを図りたいと考えています。県の寄付講座では、医師を雇用して地域に送り出すという試みをしています。医師の確保が難しい中で、特任助教を一人作り、そして教室から一人出すという仕組みです。数多くの医師を送り出せたので、一定の成果があげられましたが、平成25年度で期限が来るため、その後について県や厚労省と議論しなければなりません。

そのほかにも地域の専門診療の底上げのための寄付講座があります。たとえば、新生児のうち、ICUで診ても障害を残して成長していく方の地域へのシームレスなケアの移行サポートを図る講座や、地域医療をやりたいという学生や若手医師は少なくなく、その意志を実効あるものにつなげる努力が、これも県からの寄附講座である地域医療システム学講座で進行中です。(聞き手=内藤)


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