「高校を出てすぐに働きたくて、准看護師になりました」。10年勤めたあと、持ち前の正義感のせいか勤務先のクリニックに疑問を感じて退職。「人と話すのが大好き」というコミュニケーション力を活かして不動産業界に転身した。折しも介護保険の始まったころで、高齢者の住まいに興味をもったという。だが、高齢者があまりに多くの施設情報に困惑しているのを目にし、生活から設計するためにケアマネージャーと福祉住環境コーディネーターの資格を取得して、高齢者に特化した不動産仲介に携わってきた。「高齢者が安心して暮らすには、住環境だけでなく心と身体の両面からのサポートが必要なのに、不動産業界はまだまだわかっていない。エレベーターのない5階建てのアパートを高齢者向け住宅だと紹介する業者もあります」と牧さんは話す。
「ひとくちに高齢者と言っても、元気な人もいれば、すぐに施設に入らねばならない人もいます。すべての方に理想の住宅を仲介したい」と語る眼差しはどこまでもやさしかった。
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