シリーズ”病院長に聞く” 一人一人がアーティスティックな職員に

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医療法人 社団 廣徳会 岡部病院 岡部廣直

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「幸せを呼ぶ魔法の絵」という本を監修した関係で、病院内にはアートがいくつも飾られている。写真の作品は岡部病院が運営する併設のイタリアンレストラン「サンヴィバン」にあるもので、作者は福岡市美術館でもアート展が開催されたChie 氏。「病院はもっとも癒しを必要とする場。医療とアートのコラボレーションの試みを続けたい」と岡部院長。

【PROFILE】

1984 九州大学医学部第一内科入局 1985 同第一内科医員 1987 同医学部附属病院救急医員 1990 同病院文部教官助手(麻酔蘇生学) 1994医療法人社団廣徳会岡部病院院長 2001 九州大学医学部非常勤講師 2003 岡部病院理事長

■医学博士(九州大学医学部)■日本麻酔科学会指導医■日本集中治療学会専門医■日本臨床内科医会認定医■健康スポーツ認定医■上海中医薬科大学認定鍼灸師

糟屋郡宇美町の高台にある岡部病院は、黒田藩の御典医であった亀井南冥(なんめい)を医祖とし、1907年の岡部宮前診療所の開設以来、今年で105年目になるという。岡部廣直院長は南冥の心得「医は意なり、意は学より生ず、方に古今なく要は治を期す」を信念として、糟屋郡の地域医療を守ってきた。就任以来18年、病院に一番に来て最後に帰ることを続けてきたという岡部院長に、「独特な病院」(院長談)について聞いた。

当院はいわゆる地域支援病院というよりも「地域『実践=戦』病院」として療養病床のケアミックス型の病院です。地域に本当に身近な存在であるために診療科目の充実を図っており、九大病院から専門医を招いています。

非常勤医を多く抱えるのは経営上厳しい部分もありますが、専門性で地域に貢献したいと思っています。医療機器の充実については、例えば64列のマルチスライスCTを128列に拡張して、老人にも負担が少ない短時間の診断、スクリーニングに努めています。

当院はペインクリニック(麻酔科)が主体で、痛みの医学は基本的には診断学が重要です。痛みの治療学としてのペインクリニック的手法や整形的治療、リハビリ、そして心療内科的なメンタルヘルスケアを行ない、これらが三位一体になってこそ痛みの治療ができるのです。患者から、腰が痛いからペインクリニック治療をしてほしいと言われても、整形外科学的な疾患ではなく、がん転移だったり、原発巣の可能性もあります。痛みは警告ですから、それを消すことではなく、活かした治療をしなければなりません。またリハビリセンターは、病院の規模としては大きな施設です。

地域社会との関わり忘れず

地域から必要とされる病院であるためには、積極的な関わりをもつことが大切です。私自身、在宅医療に30年関わってきて、通算で2千回以上の訪問診療をしてきました。

訪問の場で何もかもは出来ないので、患者の入院が必要なときには迅速な判断が必要ですから、病院の全体が見えている私自身が診療を行なっています。

九大病院に在籍していた当時から訪問診療に携わってきて、当時からの患者さんが「最期はよろしく頼むね」と言ってくれた以上、訪問リハビリチーム、栄養指導、宅配食なども含めて、その期待に応えたいと思っています。また、ふれあいの機会として、車椅子でも参加できるバス旅行や健康フェスティバル、チャリティイベントを開催し、毎回多くの地域住民が参加しています。

当院の望む教育と医療文化

全職員の顔を見るのが院長の仕事

職員教育のために月曜から金曜までの毎日、部門別や全体の朝礼・会議を行なっています。その全てに参加することで緊張感を出し、職員が自らテーマを設定して取り組んでいます。給食栄養科やレストランサンヴィバンの朝礼にも出席して衛生管理にも気を配っています。こういうことをする院長は日本で1人かもしれません。

そのおかげもあってか、病院評価機構種別Aの検査も1回でクリアしました。全職員が週1回は私と会うので、本当は嫌かもしれませんが嫌がられるのも私の役目ですから。

各部所長が参加する医療安全委員会の朝礼は特に重要です。常勤医も全員出席して前日のインシデント・アクシデントを報告してもらい、その場で解決できる問題はすぐに取り組みます。

どんな小さな問題も埋没させないようにするには、表出できるような雰囲気が必要です。

「責任の所在の明確な医療をしよう」ではなく、「責任の所在の明確でない医療をしてはならない」のですから、安全のための医療風土・文化を作らねばなりません。

巷では、安心・安全な、納得の医療などと標語のように言いますが、安心と納得は職員の心持ちや気構えなど、医療従事者の質を上げればいつでも可能ですから。

また縦横の関係を活かしつつ、各々の個性を活かして仕事をするための規範として職業的倫理観などを記した「16のベーシック」を用いています。大阪のホテルに何度か宿泊した際、2回目の宿泊時にホテルマンから「お帰りなさい」と迎えられたことが印象深くて、その後、偶然知り合った、そのホテルのフランス人マネジャーにその話をしたら、ホテル独自の教則本があることを教えられました。それをモデルとして職員向けに10年前に作り、全職員に配って、患者のおもてなしのために活用しています。

どんな医療をするにしても、医療従事者にとっての一番の命題は、医療人として、「他がために我が時をわかつ」ことだと思います。単なる合理化や専門外だから取り組まないというのは、医療人としてあるべき姿ではありません。患者のために自分の時間を犠牲にしてでも、それをいとわず、きちんとこなすべきです。

昨今は医療文化が壊れてきていて、リスクマネジメントという名の下に専門外を診ないというのは、逃げの姿勢にほかなりません。たとえば、5つ治療法を示すので、患者に自由に選んで下さいなんていう乱暴なことではいけない。もちろん、絶対にこの治療でなければならないと言い切るまではいかずとも、キャリアと信念をもって患者により良い選択を示すことも必要です。

医療は、臨床と研究と教育が重要です。教育の中でも日進月歩の医療においては自らを高めることは必須ですが、一番大切なのは患者の教育だといえます。患者が病院に立ち入る際、土足で入ってくる姿勢ではトラブルの元になります。やはり靴は脱いだほうがいいでしょう。お互いが認識をもって、私たちは医療文化をもって医療をする人間の質が高いことを患者に示すこと。それを受け入れて患者は靴を脱いで入ってくれるのだからお客様になられる。その関係を壊してはいけないし、また壊れているのに患者が権利だけを主張することのないように、患者自身のための患者教育をすることが肝要です。

その一環として、私の考えるホスピタルアートを展開してきましたが、本質は職員がアーティステックになることです。全職員が文化をもち、人としても格調高く振る舞うことです。すべての者が様々な領域について教育・勉強し、患者に土足で踏み込まれない病院風土をこれからも作っていきたい。そういう意味では、独特な病院かもしれません。

岡部院長の趣味など

私自身は、患者や職員のためにどれだけ自分の時間を割けるかを常に考えています。遠い所だと病院が気になってしまって落ち着きませんので、近場の温泉で英気を養っています。また、翌日のことを気にしなくても良い夜が月に2日くらいあるので、その時は一人ではしゃぎ過ぎてしまいますね(笑)。(聞き手内藤、写真綾部)


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