シリーズ”病院長に聞く” 医療者はたえず、さらなる高みへ

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労働者健康福祉機構 九州労災病院 糸満盛憲院長(67)

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糸満盛憲(いとまん もりとし)
北里大学名誉教授
沖縄県出身。
1970- 九州大学医学部卒。
1972- 北里大学整形外科。
1993- 同教授を経て2010 年より現職。
AO Alumni Association 日本支部の顧問・監事。日本骨折治療学会監事。
主な専門領域は股関節外科、外傷外科。
『AO 法骨折治療』原書名"AO Principles of Fracture Management"=日本語版総編集。『運動器外傷治療学』=編集(いずれも医学書院)など多くの著書・翻訳を手がける。

九州労災病院は昭和24年、日本初の労災病院、そして日本初のリハビリテーションセンターを備える病院として設立。昨年の5月1日には北九州市小倉南区に新築移転し、旧空港跡地にそびえ立つ。病院のこれから、地域医療における役割などを就任3年目に入った糸満盛憲院長に聞いた。

院長としての職責は政策医療と地域医療の充実、管理責任としての経営基盤の確立です。昨年度から黒字に転化し、今年はさらに黒字になります。

設立当時は戦後復興の真っ只中で、炭坑・鉄鋼が盛んなころでした。過酷な労働環境のなかで労災患者を救うために、急 性期の初期治療からリハビリテーションを通じて社会復帰するための病院として設立されました。

リハビリテーションセンターが変化し、炭坑は閉山、鉄鋼は縮小、さらに労働は自動化され、労災が減少しました。労災患者の入院患者に占める割合は、わずか3%です。労災医療の割合は減少し、地域医療が重要となりました。当院は地域医療支援病院の指定を受けており、地域の先生方と合同症例検討会や、開放型病床を採用して、地域の先生が当院で患者を手術し、その後のケアは当院が受け持っています。

地域医療支援病院であるためには、紹介状のある患者さんの紹介率が必要となります。これはうれしい誤算なのですが、昨年5月にこの地に移って、立地や交通の便が良く、紹介状のない一般の人が多数来院するようになりました。

もちろん、労災病院である以上、政策医療の重要性は不変です。アスベスト健診、振動障害の認定作業、さらに潜水病などの施設も整えており、最近では、メンタルヘルスケア、事業者への出張健診、健康管理のアドバイザーなど、幅広い勤労者医療を行なっています。昔のような激しい労働災害は減り、労働環境の変化や仕事内容の変化に伴う労災が増えています。とはいえ、一般医療で特殊医療の赤字を補填するのが実態で、政策医療に関しては国の支援がなければ厳しいのが実情です。

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建物写真は九州労災病院提供。院長撮影=本紙綾部。

新病院への移転を機に、救急医療・周産期医療・がん治療の充実という3点を重視しました。診療の97%は地域医療である以上、救急医療の充実は不可欠です。また北九州市は政令指定都市の中で最も高齢化が進んでいるエリアですが、小倉南区だけは住民の平均年齢が低く、小倉北区や刈田方面の職場に通う人のベッドタウンとして人口も増加しています。出産する女性が増加しているので、ニーズに応えるために去年の4月から産婦人科を再開しました。また、がん治療用のリニアックを導入し、がん治療のさらなる充実を図りました。放射線治療医やがん治療専門の看護師の確保が困難ですが、将来的にがん治療の拠点病院になりたいと考えています。

当院は、日本初のリハビリテーションセンターを備えた病院で、移転を機に障害者病棟と回復期リハビリ病棟を閉じ、従来の病床数を見直しました。これにより地域との連携が今まで以上にうまく図れています。つまり、急性期を当院で過ごした患者には回復リハ病棟を持つ地域の病院へ移ってもらうことで、通院負担も減りつつ、在院日数も短くなる点で病院にもメリットがあるのです。

急性期病院としての役割に呼応するように、北九州市全体で地域連携パスが動いています 。これは入院から退院までの治療・経過計画表を地域の医療機関で共有し、手術する病院と地域のリハビリ病院との連携を円滑に 進めるものです。現在は、脳卒中と大腿骨近位部骨折の地域連携パスが稼働しており、たとえば大腿骨なら、手術をして2〜3週間で回復リハ病院に移った後に地域の医院にもどすという3段階を経ます。当院も参加しており、スムースに患者の治療が進んでいます。

患者さんは職員の顔を見ています。大きな声と明るい笑顔であいさつし、患者や家族との対話は医療従事者が当然身に付けるべき技術であり、もっと大切なのは、職種間のコミュニケーションです。うまく転がらないと、どこかで突っかかり、それが患者へのマイナスに繋がってしまいます。

モットーは、一に体力、二に体力、三・四がなくて五に体力。体力さえあればたいていのことはできます。

体を動かすのが好きで、大学時代は山岳部で日本中の山に登りました。最近の運動はもっぱら散歩とゴルフ。朝五時に起きて30分ぐらい歩き、シャワーを浴びて仕事に向かうのが日課です。

外来は週一回、水曜の午前中で、紹介患者を主に診ていますが、ホームページを見て直接指名してくる方も多く、遠くは札幌からきます。

読書も好きで、あらゆるジャンルの小説を読みます。浅田次郎が一番好きな作家です。クラシックを聴きつつ、コーヒーを飲みながら小説を読むのが最高のリラックス法ですね。(聞き手=内藤)


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