自分を磨く【人間研究】 大和信春氏と博多で語る

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【やまとのぶはる】 はる研究院代表(研究者、スーパーシンクタンクマスター)
1948-山口県萩市生まれ。広島大学大学院修士課程( 実験心理学) 修了。
1984-私立研究所ヤマトリサーチ設立。 情報活性化理論、IST(情報統合技術)、心価経済学、和合工学、最善学などを創案・創唱。
◆企業理念完成支援、問題解決技法研修、経営免許講座、情報収集・管理技法研修など各種プログラムを開発。研究活動の傍ら、企業・団体の顧問活動、研修指導、講演活動にあたる
◆日本IST協会会長、成人要目研究所所長、国際人材開発機構代表。
◆著書に「和の実学」「企業理念」「心の自立」「益源」などがある。

大和信春氏のこと

おもてに出ることの滅多にない、人間と情報研究の第一人者大和信春氏を知る経営者は、一流と言われる人の中に多い。氏の言葉を自分が発見したかのように口にする著名人もある一方、固定観念ゆえに歪めてとらえる人も少なくない。自己啓発や経営系の出版社が著作化を申し出たこともあったが、右の理由で退けられたと聞く。

当紙は今年4月と5月に、氏が「経営免許講座」の主宰者として博多を訪れた際に会い、特集を組みたいと申し出た。そして、事前に内容を精読するという条件で了解を得た。

本紙読者には病院経営者や各職域のリーダーがおり、「自分を経営する」という意味でもすべての読者が対象になり得る。何度かの連載を楽しく読んでいただければ幸甚である。

「絶対浮力と関係浮力」

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「和の実学」より

―大和氏の研究や有効なプログラムは多岐にわたるが、非常に理解が容易なものの一つに「絶対浮力と関係浮力」がある。

氏はこれを「まりの浮力と茶碗の浮力」と説明することもある=左図。

 「人の生活や企業の経営が破綻することを、船の沈没にたとえることがあります。沈没せずにこの世に生息できる能力を〈浮力〉と考える時、一般にこれを『絶対浮力』と『関係浮力』の2種類に分けてとらえることができます」。

―私たちは漠然と、「自分に波はこない」と信じて毎日暮らしているが、それは根拠のない思い込みで、もしも大きな波に飲まれた時、いっとき沈むことはあってもすぐに浮かび上がれる絶対浮力=まりの浮力と、2度と浮かび上がれない関係浮力=茶碗の浮力の、どちらに自分や企業はあるだろうかと日ごろ考えて行動しておくことは何よりも大切だと氏は説く。

 「絶対浮力とは、自らに備わったもので成り立つ生息能力のことで、関係浮力は、失われうる条件に依存して成り立っている生息能力を言います。

絶対浮力を平たく言えば、一人で世の中に放り出された時、相手にされ、生かされる能力のことで、互恵能力、本物の人脈、問題解決能力、衣食住の調達能力などのことです。

それに対して関係浮力は、所属や役職、免許、学歴、家柄などによる収入力や権益、財産、見かけの美貌などです」。

―この指摘はするどい。私たちは関係浮力を重要視し、そちらに目を奪われがちではないだろうか。

 「世の中が安定している時にはどちらも区別がないように見えますが、今のような変動の激しい時代には、関係浮力の方は突如としてその効力を失う危険が大きい。事実、何らかの事情で破綻して、ゼロから再出発しても、絶対浮力の水準までは比較的スムーズに回復する傾向があります。逆に、いくらそばから盛り立てて弾みをつけようとしても、それにふさわしい浮力レベルが本人になければ、元のもくあみになってしまうだけです」。

―さらに、関係浮力の有害性の1つに、それを自己に備わったものと誤解して本来の絶対浮力を余計に貧弱にしてしまうと述べ、「関係浮力は虚財にすぎない」と言った。

 「その虚財を、確固たる値打ちものだと思い込まずにはいられなくなり、虚財が人間の価値の証しであり幸福へのパスポートであるかのように世間が認め、扱ってくれることを欲するようになります。そこで率先して、何かにつけて効果的にうらやましがらせようとします。虚財の権威を演出し、自分にも言い聞かせて安心し、なおさら絶対浮力の向上をおろそかにする悪循環がそこには見て取れますね」。

―そのみせびらかしを見せられて、関係浮力の虚財にあこがれてしまう人たちこそ気の毒だと氏は言う。金さえあったら、学歴さえあったら、見かけさえよかったらと、関係浮力の獲得競争に殺到し、あるいは一転して、金がないから、学歴がないから、見かけがよくないからと、すべてをそのせいにして人格の向上をなまけることになる、と警告するのである。

 「『虚財で楽をして高収入の人生』にあこがれる人たちには、おそらく世の役に立つという志向が欠けているのでしょう。そのあこがれ自体に〈役に立たずに高所得〉という危険な状態を、むしろ効率の良い生き方と見るような、近視眼性の無頓着が感じられます」。

―1面で波多江伸子さんが言った、「人は今まで生きてきたようにしか死ねない」の言葉が、重くのしかかってくる。

 「これからの時代、旧来の関係浮力に期待するのはまことに見通しが甘いと言うほかないですね。特に老後の幸せは、絶対浮力をいかに養うかにかかっています。定年退職して肩書きがなくなり、あるいはいよいよ動けなくなって、否応なく人々に迷惑をかけざるをえない存在になった時、何を根拠に周囲から笑顔で世話してもらえるのでしょう。今、個人で世の中に直接放り出されたら、どれだけ相手にされるか、どうすれば役立って生かされるかを考えておく方がいいでしょう」。

取材場所=博多バスターミナル8階のグラーノで。撮影は研修会場で本紙内藤による。


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