日本炎症・再生医学会で児玉龍彦東大教授
博多祇園山笠真っ最中の7月5日と6日の両日、ホテル日航福岡で第33回日本炎症・再生医学会が開かれた。九州初の開催。
メインテーマは「着実な成長を目指して」。会長を産業医科大学医学部第1内科学講座の田中良哉教授が務めた。 炎症・再生医学は目覚ましく進歩し、特にサイトカインなどを標的とした生物学的製剤の台頭は、炎症性疾患の治療に劇的変化をもたらした。またiPSの発見で、破壊された組織の再生に関する研究も大きな転換点に到達していることなどから、2つの国際シンポジウム「iPS細胞と幹細胞制御技術」と「炎症性疾患とキナーゼ阻害薬」のほか、8つのシンポジウムで構成され、教育講演も10題準備された。
田中会長が座長を務めた教育講演「予測の科学=IT創薬と放射線災害から」で、講師の児玉龍彦東京大学先端科学技術研究センター教授は「21世紀に入ってコンピューター設計された画期的な薬が生まれて来た。今年秋から世界最速のスパコン京が全面稼働する。他国も最速を競っており、新たなIT創薬競争が幕を開けようとしている」と話した。また福島被災地の除染について、内部被爆の国際的な専門家でもある児玉氏は、政府は未だに有効な除染をやっていないと痛烈に批判、私たちが今やれることは、被災地に足を運んで惨状がほとんど改善されていないことを知ることだと訴えた。