NPOのぞみ会九州・山口支部が医療講演会
5月27日、福岡市南区高宮のアミカス・ホールで、変形性股関節治療に関する講演会が開かれ、九州全域と山口県などから患者、家族など180人が参加した。
主催した「NPO法人のぞみ会」九州・山口支部の深野百合子支部長が「いろいろな情報から自分に最適な医療を選び、障害を抱えながらも望みをもって生きていくことが会の目標」とあいさつ。体験発表では松田喜代子さんが、10年で4回の股関節手術を経た経験を、また瀬谷良子さんは、自骨での手術を強く希望し、60歳を超えて手術をした経験を語った。
つづいて九州大学病院整形外科の中島康晴准教授が「人工股関節置換術・再置換術の最新知見」を講演し、変形性股関節治療の基本方針は、患者が苦痛なく社会生活を送れるようにすることであり、手術的治療をする場合は患者が股関節のことを意識しないような効果を目指すべきで、治療する側と受ける側の目標が乖離(かいり)しないように心がけ、関節温存術は最低15年以上を目指すべきと話した。さらに、人工股関節置換術の長期耐用性は飛躍的に向上してきたが、ゆるみ、摩耗、脱臼にはくれぐれも留意し、痛みのない生活を送ってほしいとコメント。また、人工股関節再置換術も大きく進歩したが、金属対金属の人工股関節は再置換率が高いので、新しいものには要注意。人工股関節のゆるみ、摩耗が進むと大きな手術になるため、定期的な受診を心がけてほしいとメッセージを送った。
参加者は最新のサンプルを手に取りながら講演に聴き入っていた。
質疑応答で、人工股関節置換術の手術を悩んでいる患者から、ベテランの先生と、最新技術に詳しい若手医師のどちらを選択すべきかとの率直な質問があり、中島准教授は、「目安ではあるが年間50回以上手術を行なっている病院を選択したほうがいい。医師の年齢はあなたのお好みで」と回答し、会場を沸かせた。