西日本日独協会 「日独交流150周年」記念行事で
日本とドイツの高齢化社会を比較して老後を考える国際シンポジウムが3月24日、薬院のKKRホテル博多で開催された=写真
主催したのは西日本日独協会(根本道也会長)で、会員と一般市民あわせて270人が参加した。
基調講演でドイツ大使館のC・アイルリッヒ福祉担当参事官は、ドイツ国民の年齢構成が逆ピラミッド型に推移しつつあることから社会保障制度の財源の危機を指摘し、それを魅力ある育児政策と家族政策、外国からの移住、それに社会保障制度の改革で乗り切ろうとしている現状を話した。
後半のパネル討論ではまず伊都の丘病院の舩津邦比古院長が、ドイツの市民技術・教養教室の制度を紹介し、この組織的活動が高齢者層の若さを保ち、さらに介護補助員を育成するのにも役立っている実情を、現場の映像を映して説明した。
また熊本学園大学の黒木邦弘准教授は、ドイツ・デユッセルドルフの「認知症カフェ」の活動を取り上げ、さらに「宅老所寄り合い」代表で社会福祉士の下村恵美子さんは、地域に自力で立ち上げた施設の活動を紹介した。
黒木准教授と下村さんは「お年寄りが人生の最後を迎えるまで、それまでと同じ生活を保てるように支えてあげること、そのためには孤立しないように人の輪に誘い、一緒に笑ってあげること」だと強調し、行政頼りではなく、周囲の人たちの温かい理解と無欲の行動力に支えられていると話した。
司会を務めた熊本学園大学の豊田謙二教授は講演で聴衆に分かりにくい箇所を咀嚼し、次の講演内容に聴衆の関心をうまく導いていた。