3人の認定看護師が技術を実演
福岡大学病院のメディカルホールで3月24日、福岡県褥瘡セミナーが開かれた。
内容は稲川利光NTT東日本関東病院リハビリテーション科部長の講演と、皮膚・排泄ケア認定看護師による実技「すぐに使える褥瘡ケアの技=WOCナースによる実践講座」、高木誠司福大医学部形成外科准教授の講演「高次機能病院との連携=七隈在宅褥瘡よかネットワークを立ち上げてみて」。300人の会場は参加者でほぼ埋まった。
最初に「生活再建の輪=治療、リハビリ、栄養管理」の題で講演した稲川部長は、福岡出身で九大農学部卒、千鳥橋病院リハビリテーションセンターに勤務した経歴や著書も多数あることから、講演のあとの休憩時間に、著書にサインを求める参加者も多かった=左写真。
看護はアートになる
「看護の知識に技術を提供し、患者や家族への思いがブレンドされることで、看護はアートになると言われている」。
そう前置きのあったあと、皮膚・排泄ケア認定看護師の松尾紀利子さん(福大病院)、原田起代枝さん、(九大病院)、高木良枝さん(福西会病院)の3人が実技の指導を行なった。
松尾さんはスキンケアについて担当し、皮膚の構造を会場のスクリーンに映し出しながら、皮膚の清潔や洗浄、乾燥への対応など、スキンケアのポイントを解説しながら実践してみせた。原田さんはおむつの構造と褥瘡発生の関係をメインに話した。また高木さんは、高齢者の皮膚について、「表皮細胞のバリア機能や新陳代謝の低下で皮膚の水分保持ができにくくなり、弾力性が低下して固くなることで容易に傷つきやすい特徴を持っている」として症例を挙げ、皮膚の損傷を減らす工夫について話した。
褥瘡受診の困難さ
福大の褥瘡対策室長でもある高木准教授は、在宅現場と大学をつなげた褥瘡のネットワークを七隈に立ち上げた経験を紹介し、「病院と在宅現場には違いがあり過ぎてトラブルになるケースもあるようだ。近隣の介護施設やアンケートを行なったところ、経済的な理由やコスト面がネックになり、充分な処置ができなかったという回答もあった」と話し、褥瘡を受診したくてもいろんな困難が地域にあると語った。
セミナー参加者には受講後、「日本褥瘡学会在宅褥瘡予防・管理師」取得に必要な受講証明書が発行された。