知っとったがよかばいＣＫＤ
合い言葉は？ちゃんと きをつければ だいじょうぶ C K D
腎臓専門医がとてもシュールな寸劇で予防よびかけ
福岡市医師会と福岡県腎臓病患者連絡協議会などが共催する市民公開講座「知っとったがよかばいＣＫＤ」が３月３日、アクロス福岡で開かれた。
人工透析や心血管病につながる慢性腎臓病（ＣＫＤ）をどう予防するかを学ぶもので、市民４１７人が集まった＝写真。
福岡市保健福祉局の恒吉香保子理事と江頭啓介市医師会長が「腎臓は沈黙の臓器。軽度も含め、国内およそ１千３３０万人がＣＫＤだといわれる。その予防を学んでほしい」とあいさつ。続いて７人の腎臓内科医師と看護師がキムタクや香取慎吾に扮した寸劇は、あまりのシュールさで、観客を不思議な世界にいざなった。
講演は３題あり、福岡腎臓内科クリニックの山田俊輔透析室長が「腎臓の働きとＣＫＤの意義」、九州大学医学研究院病態機能内科学の田中茂医師が「生活習慣病とＣＫＤ―糖尿病対策の重要性」、藤崎毅一郎九大病院救急救命センター特任助教が「ＣＫＤの予防と治療」についてそれぞれ説明、分かりやすい内容だった。
パネルディスカッションは、平方秀樹福岡赤十字病院副院長を座長に、九大大学院・包括的腎不全治療学・鶴屋和彦准教授、満生浩司福岡赤十字病院血液浄化療法内科部長、九大病院救急救命センター藤崎毅一郎特任助教の３人が行なった。
まとめで座長の平方副院長が「腎臓病の薬は今のところないが、糖尿病や高血圧、貧血などの予防や治療が、そのまま腎臓を守ることにつながる。最近は全身の臓器に対していい薬があり、それは腎臓にも好影響を与えることが分かっている。コレステロールを下げる薬にも同様の効果があるとされている。さらには、悪い生活習慣を是正することも腎臓を守る」などとし、「世界的に透析患者が減少傾向にあり、昇圧物質を抑える薬の普及が影響していると考えられる。腎炎で透析する人もに稀になっており、医療が腎臓を守る方向に働いているのではと思う。病いは気から起こると言うが、生活習慣さえ見直せばＣＫＤをこわがることはない。」と結んだ。
参加者のアンケートを集計した福岡市医師会によれば、生活習慣病が腎臓に関わっていることを初めて知った人が多かったという。以下は主な声。
- 腎臓の講座は初めだったが、ていねいな解説で分かりやすく、とても参考になった。
- 以前、急性糸球体腎炎になったことがあり、妹も腎盂炎になった。遺伝で昔から腎臓が丈夫ではないと思っていたが、今日の講座で意識を高めた。具体的に気をつけたい。
- 母がＣＫＤと診断され、一緒に来た。医師は堅い人ばかりだと思っていたので寸劇は最高だった。
- 生活習慣がいかに大事が分かった。腎臓をこれから意識したい。先生方が身近に感じられた。
- 生活習慣病のこわさが分かりました。福岡市だけでなく、各市町村で講座があれば助かります。
- ＣＫＤに限らず病気にならない予防について改めて考え、残された人生を出来るだけ元気で過ごしていきたいと思った。
- 寸劇がとても良かった。短いナレーションが入るともっと分かりやすかったと思う。生活習慣病予防が腎臓にも悪影響をおよぼすことを知った。
- 講座によっては専門用語ばかりで分かりにくいものもあるが、本講座は大変分かりやすかった。パネルディスカッションが身近な内容で非常に参考になった。
- 病院で検査を受ける際、３つの検査を受ける事を知りましたが、これまでに血液検査は受けていなかったので、病院によって検査方法が違うことを知りました。
- 「ちゃんと、気をつければ、大丈夫」という言葉に安心しました。腎臓を大切に守っていくために生活習慣を見直します。
