HALはそこまで来ている

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リハビリ中の情報を数値で得られる...そして疲れない

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体の重心がどう移動するかなど、患者とセラピストは情報を共有しながらリハビリを進めていく。(3月2日、福岡青洲会病院)

体に装着することで身体機能の拡張や増幅のできるサイボーグ型ロボットHAL(Hybrid Assistive Limb)。人が筋肉を動かそうとした時に脳から出る微弱な電気信号を筋肉で読み取り、それを基にパワーユニットを制御して、装着者の筋肉の動きと一体的に動作支援するもの。サイバーダイン㈱(本社=茨城県)が世界に先駆けて開発した。

福岡県内での使用は4病院。そのうち福岡青洲会病院(髙山昌紀院長=糟屋町長者原)では昨年8月から患者のリハビリに使用されている。

同院で脳神経内科・神経リハビリテーション科の部長をつとめ、厚労省で運動機能回復型ロボット認可の審査基準を作るワーキンググループ委員でもある井上勲医師は、「リハビリテーション用のロボットはすでに実用段階に来ており、医療器具としてどう使用するかという時代になっています。複数のメーカーから、機能回復を目的としたロボットが発売されそうな状況ですが、当院で使っているHALもふくめ、定義としては、ロボットではなく、実際にはロボティック・デバイスと称したほうが正しいかもしれません」と話す。

井上医師によると、機能が回復するためには、人間の意図によって手足を動かそうとすることが必要で、人工知能で自立したロボットを作ってしまうと、機能の回復は不可能になるという。

「当院で採用しているのは下肢を生体信号をもとにアシストするもの。今は福祉用となっていますが、今後は医療での活用が期待されます。ロボティック・デバイスを使うリハビリはこれから広がっていくでしょう」。

ロボティック・デバイスを使うと、運動情報や、生体情報を得られて、それをリハビリに生かせるメリットがあると井上医師は期待を寄せる。

「今までのリハビリはもっぱらセラピストの経験によって行なわれ、経験を客観的に伝えられませんでしたが、これからは科学に基づいて行なうべきです。そこで患者さんの情報が必要なわけです」。

生体情報を数値としてタイムリーに得られ、経時的に比較して治療ができることのほかに「HALは疲れない」という利点がある。

従来のリハビリではセラピストの肉体的負担が大きいが、ロボットによるアシストで負荷の軽減が期待できる。

この2つの点が大きなメリットとして挙げられ、今後さらに、装着時間の短縮やセラピストの習熟度が上がることでいっそう効果が上がるだろうと現場では見ている。ロボティック・デバイスを導入している施設間での情報交換や情報共有もたやすくなる。今はその模索をしているところだという。

しかし人間を超えることはないだろうと井上医師は言う。患者に一声かけたり励ましたり、表情を見ながらリハビリをコントロールすることは人にしかできないからだ。

今後、HALの応用分野は幅広く、医療のほか福祉・介護分野での自立動作支援、介護支援をはじめ、工場などでの重作業支援、災害現場でのレスキュー活動支援など、幅広い分野での適用が期待される。


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