「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎 著
2009年に映画化もされた作品です。若い女性画家、泥棒の男、その友達、リストラされた男、神を信じる少年、夫と離婚したがる女、その不倫相手...。いくつもの物語がからみ合い、物語は意外な展開を迎えます。
私はもともとあまり本を読むほうではなかったのですが、これを読んで本の面白さに目覚めました。読んでいるあいだは単調な話に飽きてしまいそうになっていたのですが、最後の最後にすべての話が手をつなぐように一つになったとき、うなりました。
たくさんの登場人物のほかに、歩道に立っていた金髪の女性、老犬、老夫婦など、名前もないものたちにもすべてに意味があり、何気なく読み過ごしていたことが重要なキーポイントだったりして、何度も何度も読み返しました。余談ですが、この作品に登場する泥棒の男・黒沢は伊坂幸太郎さんの他の作品にも登場します。私はこういうところも読んでいて心をくすぐられました。(同=八尋マキ)