認定看護師たちの言い分【聖マリア病院】

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【緩和ケア認定看護師】岩橋千代さん、大石知恵子さん

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緩和ケアに携わる職員の皆さん。きびしい仕事のなかにも笑顔がのぞき、チームワークの強さが感じられた。(1月30日)

聖マリア病院(久留米市)におよそ1千人いる看護師のうち緩和ケア認定看護師は2人。それが岩橋千代さん(写真手前中央=36)と大石知恵子さん(手前左=38)だ。

患者へのいろんな思いが積み重なって、ともに緩和ケア認定看護師の資格を取った仲である。同院で看護師を10年余り経験した末のことだった。

「緩和ケア認定看護師になるために久留米大学認定看護師教育センターで半年間、みっちり研修をうけました。予想以上に大変で何度も挫折しそうになりましたが、同じ志の仲間に助けられ、研修を修了することができました。研修を受けるために職場を退職しなければならない施設もありますが、聖マリア病院は出張として認めてくれました」と岩橋さんは言う。

彼女は緩和ケアチームに所属し、看護師になる前は陸上自衛隊でオーボエ奏者だった経歴を持つ。

「看護師はだれでも、困った人を放っておけない性格だから今の職業を選んだと思うんですね。人に関心がなければ続けられない仕事です。私が緩和ケアに進んだのは、回復の見込みのないがんの患者さんと何度も向き合ったことがきっかけです。私に何かできることはないかと考え、模索したんです」

大石さんの方は、看護師の仕事に行き詰まって一度はこの病院を去ったいきさつがある。

「患者さんに学ぶことばかりです」

「看護師になりたてのころ祖母をがんで亡くしたんですが、無知であるがゆえに何もしてあげられなかったという後悔がすごくあったんです。それでホスピス(=緩和ケア病棟)を選んだのですが、家に帰っても仕事で頭がいっぱいで、昼もとても忙しく、夜勤でナースコールが鳴っても待ってもらうこともあったりして、必死に頑張っても対処できないことで、すごい罪悪感に襲われてしまったんです」

すべてを抱えこんで精神的に追いつめられ、30歳の時に病院を辞めた。

「もうここに戻るつもりはなかったんですが、産休中の職員の代わりとして復帰を勧められ、短期のつもりで戻ってみると、患者さんとのふれあいがすごく楽しかったんです。今まで見えなかったこともいっぱい見えてきて、患者さんや家族の反応のなかで、自分はここにいようと思ったんです。それで2年前に認定看護師の資格を得ました」

自分が誰かの役に立つと知ることは大きな力になると彼女は話す。

「もちろん今もきつい思いをすることは多くて、患者さんの苦悩を見るにつけ、もっといい方法はなかったのかと眠れないこともあります」

岩橋さんも大石さんも、子を育てる母親としての日々が、今の仕事に大きく役立っていると言う。

「母親になってから、命に向き合う感覚みたいなものが変わりました。生も死もいっそう身近になったというか...。死は誰にも訪れるもの。いつか私が同じ場所に立った時、『ああ、あのとき自分はこう思ったなあ』と、客観的に自分を見られるのかもしれません」

患者から学んだこと、受けた影響はすごく大きいと2人は口をそろえる。

「死が間近にせまって、ずっと泣いていた患者さんが、最後には笑って私の将来を案じてくれた時、その人がとても大きく見えました。そういう、言葉で言い表わせないことをいっぱいもらえるんですよ。その意味では自分を成長させてくれる最高の場所にいさせてもらっているんだと思います。ここにいることには意味があるんだろうなと」

「緩和とは『ゆるめる・やわらげる』という意味で、精神的な症状や、身体的あるいは経済的な問題、そして社会的なものや人間関係など、全人的な苦痛(トータル・ペイン)をちゃんと見て、なにが原因でこの状態になっているかを探るんです。さらにはスピリチュアル・ペイン、生きる意欲のようなところもあつかい、ホスピス病棟では『自分らしく生きる』という患者さんの尊厳に向けて全力をあげます。大学ではコミュニケーション・スキルなども学びましたけど、患者さんを前にしたら感性と感性で関わってしまいますよね。患者さんのプラスの変化、次のステップに行けたとき、看護職を選んで本当に良かったと思いますね」。


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