グループホームの現場から

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

グループホームの現場から

グループホームの現場から

認知症ケアの切り札として登場したグループホームは、介護保険制度施行と同時に、認知症の人の暮らしを支える新しいサービスとして実績を重ねてきた。
ケアの現場では、個別に尊重されるべき1人の人として、利用者に向き合うことの大切さを知り、認知症の人の、その人らしい暮らし方や、自己決定を支えていくことを使命と感じながら実践している。
認知症という障害があっても、1人ひとりの利用者にはさまざまな力や可能性があり、社会に貢献できる存在であることに改めて気づかされてもいる。
そして、この気付きを一事業所で完結させようとしていたケアを、利用者と地域社会とのつながりや、その人が長い年月の間に培ってきた人間関係、こだわりや習慣を尊重した利用者主体のケアを大切にして、楽しいケアのあり方というものを改めて問い直すきっかけになっている。

感謝の念を持って3つの「かける」を

私たち介護職員は、知らず知らずのうちに利用者に対して、「命令」、「指示」、「押し付け」、「管理」をしており、いま盛んに言われている「居場所」づくりを本来のケアとして、グループホーム事業の仲間と共有したいと思っている。
居場所はただの場所ではなく、《人間関係・もの・環境》であるといわれる。
わたしは認知症の利用者とのコミュニケーション(関わり)に、次の3つの「かける」をキーワードにしている。
1つは、微笑みかける。2つは、肩に手をかける。3つは、話しかける。

グループホームは1ユニットたった9名しかいない。認知症が進んでいる利用者の前をうっかり無視して通り過ぎようものなら、部屋に閉じこもられたり、不穏状態になられたりと、何度も失敗を繰り返してきた。だから職員に、毎日9名の利用者には必ず、ほほえみとスキンシップと、声をかけることを忘れないように、口酸っぱく指導している。
ノンバーパルコミュニケーション(非言語表現)や、「人は見た目が9割」の著書のとおり、私たち介護をする側の表情、仕草、態度、声の抑揚などが、利用者に大きな影響を与えている。
だから利用者に接するときは、受容、寄り添い、傾聴、安心安全などを強調してはいるが、新人職員はもちろんベテラン職員も、「ご飯を食べとらん」と言う利用者に「さっき食べたでしょう」、「何度おなじことを言うの」と言う職員の声に接すると、背中から冷や汗が出る思いがする。
利用者は感情が豊かだから、言葉の最後に「いっしょでよかった」、「助かったよ」、「楽しかった」、「うれしかった」、「ありがとう」という言葉を添えるように心がけ、肯定的な相づちにも、「そうそう」、「本当ね」、「いいですねえ」と声をかけたい。しかし、お世辞はだめである。目の前にいる利用者をそのまま認めることである。
「きのうより出来たじゃないですか、いいですよ」、「ボクは好きですよ、そのままでいいと思いますよ」はいい。しかし間違っても「すごいね」、「大したものだ」なんて言ったら逆効果になるのがオチである。
私は福沢諭吉の言葉「一つ世の中で一番大切な事は感謝の念を持つ事である」を忘れないようにしている。感謝の念を持って目の前にいる利用者に接するとき、認知症グループホームでは、穏やかな生き生きとした普通の暮らしが続くであろう。
甲木敏光=㈳日本認知症グループホーム協会福岡県支部長


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る