ボサノバとレゲエとワインと

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第5回 日本腎と薬剤研究会学術大会2011

ボサノバとレゲエとワインと

何か月か前、ボサノバのギター演奏を極めたという女性の医療従事者がカフェを借り切って、だれでも聞ける演奏会を行なった。
カフェ側も宣伝したので店内は満員状態。近所の主婦やOLの姿もちらほらあった。
いよいよ始まるね...そんな期待が満ちていた。

開演時間が来た。
まず、司会をつとめる同僚医師が出て来て、自分の略歴を紹介しはじめた。それが10分。次に、演奏者の恩師で彼女にギターを提供したという医師が進み出て、自分の経歴紹介とギター自慢にまた10分。ようやく女性医師がギターを抱えて登場したと思ったら、彼女の学歴から始まって、外国留学でいかに優秀だったかの説明が10分あった。合計30分。まだ音は一度も鳴らない。ここがブラジルなら暴動が起きているに違いない。

演奏はよかった。たしかに上手だった。
そして30分もおあずけにした甲斐あってか、会場は音学の授業時間みたいに変容していて、演奏に気を良くした私がリズムに合わせてテーブルを小さく叩いたら、周囲から刺すような抗議の視線が飛んで来た。
カフェ側も尋常なボサノバ演奏だろうと思って、ブラジルの酒カシャッサまで準備してくれていたが、それを飲むのは私1人で、ほかの人は背筋をぴんと正して物音一つ立てず、「ほほう、これがご高説をたまわったボサノバなるものですか」みたいな真面目顔で聞いている。あんたらは脳みそでボサノバを聞いているのか?

知人にダミオンという名前のジャマイカ人がいる。24歳で、福岡に住んでいる。母親は祖国ジャマイカで歌手をしており、ダミオン自身も歌手志望とあって、とてもうまい。そのうち紙面に登場してもらうつもりでいるが、もしも彼に「ジャマイカの歌ってどんなの?」と聞いても、たぶん30分も解説はしないだろう。ポケットからミュージックプレーヤーを取り出し、すぐに歌いはじめる。そして私が、レゲエとは違うねと質問して初めて、ジャマイカの音楽はそれだけではないですよと教えてくれる。順序としてはこれがまともである。
音楽は、聞かせるが先。

美術館に絵を見に行ったら幕で覆われていて、絵画とはなんぞやの講義を30分聞かなければ除幕しないぞってことはない。観せるが先だから当然だ。

だからワインを飲む場合も、飲むが先。話に耳を傾けていい相手はソムリエ以外には居ないと言える。なぜならソムリエはワインの普及が主目的の一つだから、うんちくを縷々(るる)述べるような「ワイン博士」になろうなんて思っていないからである。
ソムリエはさらりと話したあとすぐに飲ませ、脳みそではなく舌で、ワインのおいしさ、楽しさ、歴史、国ごとの味の違いとその理由などを伝える。
本紙の9月20日号に登場したシニアソムリエの久保井剛氏もそうだ。
彼はワインの席で、まず飲ませて会場をほろ酔い気分にさせたあと、フランスにいるソムリエはフランスのワインしか飲めず、日本では各国のワインが選べることをうらやましがっているとか、過日フランス人のソムリエを連れて夜の博多を歩き、焼き鳥やお好み焼きやおでんを食べさせたとか、そのフランス人が日本で買ったおみやげは、めずらしいフランスワインだったとかを、笑いとともに披露していた。
むつかしいことは言わず、せいぜい、葡萄の品種カベルネソーヴィニヨンはフランスの国土から一本もなくなってしまったことがあるという話くらいである。
その久保井氏がかねがね言っているのは、知識を満載しなければワインが飲めない一部のオタクが、ワインを難しいものにして、国民のあいだに広がるじゃまをしている。そのことに気づかないのだという。
なるほどと思う。
人を楽しくさせるためにある酒だ。学びはソムリエ、味は「すぐに」が鉄則だろう。


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