日本腹部救急医学会が第47回総会

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「若手医師の育成が緊要な課題」と山下会長

タイム紙"世界の100人" 菅野武医師語る「人の輪の力は素晴らしい」

日本腹部救急医学会第47回総会

福岡大学医学部教授 山下裕一会長

福岡国際会議場で8月11、12日の両日、およそ1400人が参加して第47回日本腹部救急医学会総会が開かれた。同学会は代々、基本理念を「若手の登竜門」として継承しており、今総会のテーマもそれをふまえて「若さとプロフェッショナリズム」とした。今年3月17日の開催予定が、東日本大震災の発生で延期されたが、会長が全国の医師から集めたアンケートで97%が「妥当」と答えた。

総会開催に際して山下裕一会長(福岡大学医学部教授)は「救急医療における医師不足の改善は、若手医師やコメディカルの育成が緊要」と位置づけ、初日午後からの会長講演でも、日本の外科医のリアルな現状を示し、そこからうかがえる問題点や近い将来予測などを説明した=写真上。

このほか米タイム紙が「世界の100人」に選んだ菅野武内科医(志津川病院=宮城県南三陸町)と、石黒保直外科医(釜石病院=岩手県釜石市)が登壇し、東北大震災に医師として関わった経験や反省点、汲み取るべき教訓などを話した。

総会への応募演題総数は1010を越え、例年にない演題が準備された。デンマークの医師Jens GHilling を招いての招聘講演もあった。

日本腹部救急医学会第47回総会2

山下会長は講演で、厚生労働省の「医師の需給に関する検討会報告書」を例に「病院の医師数は横ばいだが患者の数は増えている。その一方で診療所の医師は増えるが患者は減っていく。総じて医師の数は今の1.5倍必要だと予測されている」と話し、日本の医師数は世界で27位の低い位置にあるとも指摘した。さらに、外科医の絶対数は右肩下がりが続き、10年後以降は臨床で支えられなくなる可能性もあるとして、「多忙と治療リスク」という労働環境を速やかに改善する必要があると訴えた。また心臓外科医の労働環境へのアンケート調査結果を示し、モチベーションを高めるものとして「やりがい達成感」と「手術手技の向上」を挙げ、地位や名誉はいらないとする外科医が多いことがうかがえると述べた。

ワークショップ「胃・十二指腸潰瘍穿孔の治療法」に聞き入る総会参加者

ワークショップ「胃・十二指腸潰瘍穿孔の治療法」に聞き入る総会参加者

最後に「術者になりたくて外科に来たのに、医療業務以外の仕事が多いのが現状で、現実に基づいた人員配置や改善が求められる。クレームやトラブル、訴訟が多いから外科医を望まないとのデータもあり、数字の上で最近は減少しているが、4人のうち3人の医師は何らかのトラブル経験がある。担当医と患者家族は、患者を治すという目標で一致しているから、福大では主治医のやる気を削がないために、別の窓口を設けている。組織的な対応が必要だろう」と語った。

南三陸町の志津川病院で勤務事中に地震に見舞われた菅野武医師は、足元に津波が迫る中、患者を4階から5階まで人力で搬送した体験を、病院の窓から撮影した動画も示しつつ、「患者さんのそばにいることしかできなかったが、自分も被災している看護師や技師が総力で患者を守ることに奮闘した。病院の最上階には医療設備を設けるべきだろう」などと話した。

海岸線から6㌖のところにある釜石病院の石黒保直医師は、被災地から次々に運び込まれるケガ人にどう対処したかの経験を詳細に説明した。

絞扼性イレウスの診断と治療について考えたワークショップ、「世界の100人」の菅野武医師

絞扼性イレウスの診断と治療について考 えたワークショップ、釜石病院の石黒保直医師。

写真上から=絞扼性イレウスの診断と治療について考えたワークショップ、「世界の100人」の菅野武医師、釜石病院の石黒保直医師。

横浜から参加した30代の医師は「震災の2週間くらいあと現地に入った。全国の医師の動きは速く、すでに数が過剰な地域もあった。薬が足りない状況でも医者同士が連絡を取り合って融通しあったようだ。私は往診を担当したが、医者がそばにいるだけで安心するとの言葉を被災者から聞いた。放射能汚染については、地元で頑張るかふるさとを捨てるかは、なかなか難しい問題だ」と話していた。


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