第22回 日本心エコー図学会学術集会【シンポジウム1】

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「New Device時代の心エコー法の役割」

◆座長

産業医科大学 第二内科 尾辻 豊
島根大学医学部 内科学講座第四 田邉 一明

僧帽弁クリップにおける心エコー法の役割
Department of cardiovascalar Medicine,Cedars-Sinai Medical Center,University of California,Losangeles,USA
塩田 隆弘

会場では活発に質問や意見交換がおこなわれた。

会場では活発に質問や意見交換がおこなわれた。

開胸術施行が困難な僧帽弁閉鎖不全症に対し、経皮的カテーテルを用いてクリップを前尖、後尖にかけ、逆流現象を諮る手技が、近年米国、欧州で試みられている。特に欧州では、すでに臨床上実用化され、2010年には、例数は少ないものの、その短期性高率は97%と報告されている。

心エコー法のこの手技への貢献度は極めて高い。第一に閉鎖不全の重症度判定、どのようなタイプのものかの判断に心エコーが必須であり、第二には左室の大きさや機能、第三に肺高血圧の有無も重要なポイントとなる。理学所見と心エコーのこうした情報から、患者の症状が、そもそも僧帽弁閉鎖不全によるかどうかを判断しなければならない。

米国ではこの手技はエヴェレストという名で治験中で、僧帽弁中央の弁尖からの逆流にのみ適応となり、クリップが使用されることとなっている。適応を決める際、まず、経胸壁心エコーで、僧帽弁閉鎖不全の重症度を判定し、何らかの治療が必要と判断された場合、経食道心エコーを施行する。これにより、逆流が弁内の内側ないし外側からのものでないことを確認し、さらに、クリップがかけられる程度の弁異常であることを確認する。

新カテ室では、心房中隔穿刺部の選定、クリップの位置確認、特に、クリップの方向を僧帽弁に対し最良の角度になるよう導くなど、心エコー画像は成功不成功の一つの鍵となる。また、カラードップラー法は、逆流の大きさや位置を示し、クリップ装着後の有意な逆流量減少の確認に供することができる。術後、心房穿刺により生じた短絡の程度を確認することも精査項目に入る。

術中経食道エコー法による僧帽弁形成術の評価
新座志木中央総合病院循環器科 相川 大

◆目的:僧帽弁逸脱症の診断において、3次経食道エコーデータから切り出した2次元エコー画像の臨床的有用性は十分に検討されていない

◆方法:僧帽弁逸脱症の術前評価として経食道エコー(Plillip社製iE33)で3次元画像と従来の2次元画像を記録、かつ術中に逸脱部位を確認した53例を対象とした。僧帽弁を前尖lateral section・middle section・medial section、後尖lateral scallop・middle scallp・medial scallopの6部位(計318部位)に分け、逸脱の有無についての術前経食道心エコー図診断を術中所見と照合した。3次元データから切り出した2次元画像の解析(同社製QLAB)は、収縮末期時相で複数の2次元画像を切り出すことで行った。

◆結果:画像記録に要した時間は2次元画像(13min)に比して3次元画像(min)が有意に短かった(P<0.001)。従来の2次元画像と比し3次元データから切り出した2次元画像は6部位のいずれにおいても、同等以上の感度・特異度・陽性適中度を示した。全体では感度98%vs.87%、特異度98%vs.75%、陽性適中度97%vs.61%、陰性適中度98%vs.61%、陰性適中度98%vs.93%、でいずれも3次元データから切り出した2次元画像が高値を示した。

◆結語:経食道心エコーによる僧帽弁逸脱症の逸脱部位同定において、3次元データから切り出した2次元画像は従来の2次元画像に比して、画像記録に要する時間が短く、かつ診断精度が高かった。

外科的弁論縫縮術後慢性期における再発性虚血性僧帽弁逆流の機序
鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学 桑原 栄嗣

◆背景:虚血性僧帽弁逆流(MR)症例での弁論縫縮術(MAP)施行後にしばしば再発性虚血性MRが生じるがその機序は明らかではない。

◆仮説:MAPは僧帽弁論後部を前方へ移動させるため、MAP後には後尖tetheringがより増強する。そのため後尖の可動性の低下および弁尖接合の後方への変位が、MAP後の再発性虚血性MRの機序となる可能性がある。

◆目的:MAP前および後の弁尖形態とMR重症度の関連を検討し、前尖および後尖のtetheringと術後慢性期の再発生MRとの関連を検討すること。

◆方法:MAPを施行した虚血性MR30例において、術前および術後慢性期の僧帽弁尖形態や可動性および弁尖tetheringとMR重症度を比較検討した。

◆結果

  1. 術後慢性期に9例に有効なMRを認めた。
  2. MR非再発例に比べてMR再発例では弁接合は虚血性MR例で有位に後方および心尖方向に変位し、後尖の可動性は優位に低下していた。
  3. 多重解析により、後尖tetheringの増強(a2の増強)および弁接合の後方への変位(d1の延長)は術後再発性虚血性MRの有位な決定因子であった。

◆結語:僧帽弁形成後の後尖tetheringの増強および弁尖接合の後方への変位が術後慢性期の再発性虚血性MRと関連している。

大動脈弁形成術における心エコーの役割
神戸大学大学院医学研究科内科学講座 循環器内科分野 川合 宏哉

大動脈弁閉鎖不全症に対する外科的治療法の術式として、大動脈基部拡大や交連部の支持機能不全が存在し、大動脈弁病変は軽微な症例に対して、自己大動脈弁を温存して大動脈基部置換を行う手術が行われ、さらに近年、大動脈弁病変が存在する症例にも形成術により自己弁を温存することが可能になりつつある。

この形成術の適応拡大に伴い、術前に大動脈弁を詳細に評価する必要性が高まり、開放・閉鎖という正常の大動脈弁機能が大動脈弁尖のみで作動するものではなく、弁輪部・弁尖・バルサルバ洞・交連部・洞大動脈接合部(ST junction)で構成される機能的大動脈弁複合体の異常によって起こる、と捉えられる。そして、弁尖の形状ならびに動きにより大動脈弁閉鎖不全症を3型に分類する。

Ⅰ型は正常弁尖でかつ大動脈基部拡大による閉鎖不全で、Ⅱ型は弁尖の組織変化は少なく過剰な弁尖運動を示すことを特徴として大動脈逸脱や有窓化が属し、Ⅲ型は弁尖の組織変化が高度で弁尖運動が制限されリウマチ性や退行変位による弁病変が属する。

この分類においてⅠ型・Ⅱ型の大動脈弁に対する術式として弁形成術が選択され、自己弁温存が可能となりつつある。ここで術前の術式選択や機能的大動脈弁複合体の評価に経食道心エコー図検査は必須かつ重要である。

経カテーテル的心房中隔欠損症閉鎖術における心エコー図の治療ガイドとしての役割
岡山大学病院循環器疾患集中治療部 谷口 学

心房中隔欠損症に対する経カテーテル的閉鎖術において、心エコー図は治療前の適応評価、治療中の手技ガイド、そして治療後のフォローアップという役割を担っている。

治療ガイドでは、治療の状況を正しく判断し、多くは心エコー図の専門家ではない術者に、分かりやすいきれいな画像を使って、スピード感をもって情報を伝えていく。治療ガイドの失敗は、ガイドワイヤーによる心穿孔、閉鎖栓の脱落といった合併症につながる可能性があり、緊急手術になる場合もあるため、的確な情報を提供する責務がある。

しかし一方でダイナミックでスピーディーな治療ガイドと、術者と心エコー図施行医との連携が治療成功の大きな鍵となり、心エコー図のポテンシャルを大きく発揮できる。さらに、三次元経食道エコー図も利用できるようになり、海外では局所麻酔で治療を行うことができる新腔内心エコー図もこの治療に広く使われている。

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)における心エコー検査の有用性
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 竹田 泰治

会場にかざられた看板

会場にかざられた看板

高齢化社会となり大動脈弁狭窄症(AS)は増加し、大動脈弁置換術件数は成人弁膜症手術の中では最も多い。しかし、超高齢化、重篤な合併症の存在など、高リスク症例が少なくない。このような症例に対する治療法として経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が開発され、欧米では広く施行されている。本邦でも2010年4月より臨床治験が行われている。

現在、本邦で用いられている人工弁では、TAVIを施行し、成功した。その際の経験によりTAVIにおける心エコー検査の有用性について確認することができた。TAVI術前では心エコー検査により、ASの重症度や新機能、大動脈弁輪と冠動脈開口部の位置関係、冠動脈開口部周囲の粗大石灰化の有無、他弁疾患の重症度、心室中隔の張り出しの程度を評価し、手術適応の有無やアプローチ部位を選択した。

さらに、弁論径を測定することで、用いる人工弁のサイズを決定した。TAVI術中には、経食道エコーを用いて、弁留置部位決定のサポートをし、弁留置後には合併症の有無について評価を行い、人工弁周囲逆流や流出路狭窄、収縮期僧帽弁前方運動などの合併症を迅速的に感知することができた。TAVI術後には、治療後の心機能の変化や留置した弁機能を心エコー検査で確認した。

以上のように、高リスク大動脈弁狭窄患者に対する治療法として有望であるTAVIの施行において、心エコー検査は術前、術中、術後にわたり、重要な役割を果たした。

心房中隔欠損症に対するカテーテル治療における経食道心エコー法の重要性
東京女子医科大学循環器小児科 富松 宏文

◆背景:心房中隔欠損症(ASD)に対するカテーテル治療(ASO)が本邦では2007年から実施できるようになった。ASO実施には経食道心エコー法(TEE)によるガイド下に行うことが義務付けられており、TEEは本治療にとって重要な役割を担っている。

◆目的:ASO適応決定におけるTEEの有用性を明らかにすること。対象:2008年1月から09年12月までの間にASO適応決定のためTEEを試行した103人。平均年齢24歳(1歳から84歳)。

◆方法:TEEによるASO適応決定の実際とASO実施の結果を適応外と判断した例についてはTEE所見と手術所見を比較した。

◆結果:ASO適応ありは78人、そのうちASO実施例73人、待機中5人、ASO実施例の中で実施中およびその後に問題が生じたもの3人。適応外としたものは25人。その内訳は治療適応があるものの技術的にASOの適応外としたのが14人、小欠損もしくはPFOで治療の適応がないもの8人、ASDが検出されなかったもの3人、技術的にASO対応外とされた14人の中で、手術実施例8人、手術待機中5人、手術リスクが高く経過観察となったもの1人。ASO対象外とした理由は、ほぼ全周にわたりrimが短いか存在しない全欠損に近いものが8人、後下縁が短いものが3人、super rimがほとんど存在しないものが3人であった。手術施行例における手術所見は、前例ほぼTEE所見と一致していた。実施例における問題事象は脱落2人、(留置後と留置前が各1人)、タンポナーデ1人。

◆結語:ASOにおいてTEEは必須の手技であるが、ASO前の評価においてもTEEは重要な役割を果たしている。


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