九州大学大学院医学研究院 整形外科学教授 岩本 幸英 会長
今回の学会のテーマは「軟骨をめぐるInteractive Researchの成果」とさせていただきました。基礎と臨床の間で熱のこもった情報交換と議論を行い、軟骨研究をさらに発展させて欲しい、という願いを込めたものです。
本学会は四半世紀前に軟骨研究に関わる基礎研究者と骨・関節疾患の治療に携わる臨床医との研究交流の推進を目的として、軟骨代謝研究会という名称で設立されたので、本学会のテーマは、学会創立当時の精神を継承したものとも言えるでしょう。
軟骨は、化学が進歩を遂げた現在でも謎に満ちた神秘的な組織です。分子生物学の発展を機に、軟骨の科学も著しい進歩を遂げましたが、軟骨の中には未だ多くのブラックボックスが隠されています。軟骨代謝の全貌解明や人為的な操作の実現にはまだまだ時間がかかりそうです。したがって、軟骨は人体を構成する組織の中でも特に手強く、またそれだけ魅力ある研究対象だといえるでしょう。
今後さらに軟骨の基礎研究を深めることにより、先天性の骨格形成障害、骨折、関節炎や関節症など、軟骨代謝が鍵となる疾患の病態解明や治療成績の改善が実現することを願っています。
今後さらに軟骨の基礎研究を深めることにより、先天性の骨格形成障害、骨折、関節炎や関節症など、軟骨代謝が鍵となる疾患の病態解明や治療成績の改善が実現することを願っています。
本学会は基礎研究者と臨床研究者が軟骨をキーワードとして一堂に会する学会ですので、プログラム構成においても基礎・臨床それぞれのトピックスを取り上げ、互いに議論を深めながら学べるように配慮いたしました。
特別講演は、理化学研究所の池川志郎先生、米国の Linda J Sandell 教授、オーストリアの Felix Eckstein 教授にお願いいたしました。
そして、今回初の試みとして、変形性関節症に関する研究の唯一の国際学会であるOsteoarthriti-s Research So-ciety Intern-ational(OARSI)と本学会の共同のcospons-ored sympo-siumを行います。この企画が、国際間のinteractive researchへの発展にもつながることを願っています。