年頭所感
新年明けましておめでとうございます。
皆様には、健やかに2011年の新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
さて、21世紀の最初の10年が経過しました。我が国においては、バブル崩壊後の失われた10年からの再生が試みられましたが、民主党政権誕生後も期待されたほど政策実行能力もなく、昨年の参議員選挙の結果、衆参ねじれた状態で新しい年を迎えました。
日本経済新聞社が民間の主なエコノミスト15名に対し日本経済に関するアンケートを実施しており、その中で政権交代後の民主党政策に満足しているかとの問いに、「満足している」と回答した数は0だったということが新年早々新聞に掲載されておりました。
現政権から出された政策は、思想に一貫性がなく、さまざまな矛盾が生じてきています。
医療界においても、地域医療の崩壊から再生へと政策転換が行われると期待されましたが、残念ながら崩壊への道をたどり続けているようです。「千乗の国を導くに、事を敬して信」という言葉が論語にあります。国を治める原則は、軽率な政治を行って信頼を失わないこと、まさに我が国を導く政治家にとって、今こそ肝要なことだと思います。
昨年、「新成長戦略」が閣議決定され、経産省は「産業構造ビジョン2010骨子」で報告書を出しており、規制緩和、国際医療交流、特区構想など、「医療は成長産業」ということで、利益誘導が全面に押し出されております。この恩恵は周辺産業だけが受けて拡大していくことになり、命と健康を守るという不断の努力を重ねている医療関係者は、将来に対する不安に呻吟し、「医療は非営利」という言葉が我々を縛っていくことになるかもしれません。
医療に規制緩和はなじまないものであり、医療・福祉・介護は、人が生きていくうえでの必要最低条件で、そこに利潤を求めてはならないものです。国民が望んでいるのは社会保障であり医療の充実です。我々医療提供者は、ぶれることなくこの国の適切な医療の在り方を提言し続けていくことが重要で、国民の支持を得て医療費全体の規模を拡大すること以外、地域医療の崩壊を食い止めることはできません。
今年は、県知事選をはじめとして、統一地方選挙を控えています。新高齢者医療制度、医療圏や基準病床数の設定など医療・介護の連携を含めた地域医療計画の見直し、事業税緩和措置や控除対象外消費税、医師の偏在、特定看護師の問題等々、現在の状況を医療関係者の皆様と共有していかなければなりません。
課題は山積していますが、時代の流れに埋没するのではなく、変革をチャンスと捉え、本年は『行動』の年として邁進するつもりです。
しばらくは大変な時期が続きますが、関係の皆様と心を一つにしてしっかりと取組んでまいりたいと思っておりますので、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。