「長寿社会の生きがい学の確立を目指して」
-生きがいとは何?生涯生きがいを持って地域で暮らす-
【座談会1】長崎国際大学 潮谷 義子 学長(前熊本県知事)
2009年の平均寿命は女性86.44歳(25年連続世界1位)男性79.59歳(世界5位)で全世帯総数の4割を占めます。これに伴い高齢者像も変わり65~69歳の86.6%、70~74歳の56.3%が「支えられるべき高齢者は自分の年齢より上の年齢」と意識しています。
高齢者は前向きで退職希望年齢の調査でも「70歳くらいまで」が26.4%います。しかも就労への準備として健康体力作り、PC操作、資格取得に努める方もいます。今後は高齢者は65歳以上でいいのかを国、医療は人口問題を考えねばなりません。
【座談会2】高千穂大学人間科学部 小向 敦子 教授
「生きがいと死にがい」についてお話しします。人は死ぬ時に「惜しまれたい」また死後「覚えていて欲しい」ために何をすべきか。死を前にして「助けられる」のではなく「助ける」ことを支えに生きていけます。認知症の介護は「相手が覚えていてくれる」からやる訳ではありません。団塊の世代は親を介護する「最後」の世代で、子に介護されない「最初」の世代となります。30年後半には今の2倍近い大量死の時代が来ます。その臨終の場面を「涙」から「笑い」へと変えられる大往生が求められてくるでしょう。
【座談会3】久留米大学文学部 上原 紀美子 准教授
専門の法律の立場を離れてお話します。高齢者は高齢社会を支える貴重なマンパワーです。少し前にアラフォー女性世代の登場で年齢がそれまでに持っていたイメージも変わりました。それと同じく65歳が高齢者なのか年齢区分を変える時期だとも思います。
生きがいについてですが、この学会の準備では研究者だけでなく地域の人たちやボランティアが皆、手弁当でやってくれました。他人の目標を共通の目標にし、人と人が関わりあって支え合う、そこに私は生きがいを感じました。人との関わりは高齢者だけの問題ではありません。皆さん、老いこそ出番です。