日本の医療界をリードする国立病院機構
バンダビルド大学看護学部大学院新生児 NP専門課クリニカルインストラクター
エクランド 源 稚子 さん
「優れたチーム医療体制を構築するリーダーへの提言」
21世紀を担う医療界のリーダーが福岡に集合し将来を見つめる。それも「医療の格差をなくす」という素晴しいテーマで私のパッションの深い部分に響きました。日本最大の病院ネットワークである国立病院機構と、東京医療保健大学は画期的なパートナーシップを組み、将来の日本になくてはならないチーム医療構築のために貴重なメンバーの養成を可能にしてきた。
そればかりか2010年4月には、草間朋子看護学研究科長・学部長のリーダーシップのもと、東京医療保健大学東が丘看護学部及び大学院看護学研究科が創設され、優秀な人材を集めて日本初の試みを開始した。それは、病院施設内の急性期分野を含む、広い範囲においてチーム医療へ貢献するための知識と技能を持つ看護人材の養成である。これは、看護教育の歴史においてばかりではなく日本の医療の歴史において大変貴重である。国立病院機構が歴史の転機を迎えているとも言えるのではないだろうか。
10年3月に出された厚生労働省「チーム医療推進に関する検討会」の報告書は、優秀な看護人材の能力と可能性を大いに社会に還元するための一つの提案をした。医師と連携することにより、看護師が特定分野において活躍を拡大する、特定看護師(仮称)である。それはチーム医療を前進させるために不可欠な要素である。
チーム医療はグローバル現象となっているといっても言いすぎではない。65年に小児分野で始まったナースプラクティショナー(NP)という職種は、豊かな看護経験の上にさらに高度な医療知識を積み上げ、医師を含めた他業種と提携し米国の医療にへ貢献している。NPは社会とともに進化しており専門化も進み、NPの見られない分野は医療界にないといっても言いすぎではない。
専門分野は新生児集中治療、ウィメンズヘルス、老年、精神、小児、成人、ファミリーなどで、それぞれ認定試験のある国家資格である。資格を持つNPらは診察、処方等幅広い医療を行っている。NPは都心でも過疎地でも地域の医療を担う医療者として貴重な存在である。
私の20年以上の米国の医療環境での体験はまず、人間として成長する環境を提供し、さらに現在、新生児集中治療分野におけるNPとしての感性を磨く環境を可能にしている。それは、優れたチーム体制の中で医療を体験するチャンスを与えられたからである。役割分担という限りあるものではなく、役割と責任共有というフレキシブルな世界である。
医療の格差をなくすという貴重なテーマを考えるにあたり、新生児専門の急性期NPの現場から様々な職種の連携の姿を実際に紹介し、チーム医療のあり方、応用、可能性を探りたい。国立病院機構ならではのチーム医療の将来は、日本の医療に限りない可能性を提供することを願って止まない。